ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

新たなガン 父が死を迎えるために備えさせたこと ②


  家族がお昼ご飯に帰って来る事もなく、滞りなく終わりました。それから、病院へ向かいました。次は父に天国のお話をしなければなりません。家族もそばにいるし、話しそびれました。どうしよう。もう、明日一日しかない。これを話さなければ帰れない。心は落ち着きません。

  父は家族に「あいつは何しに来た。見舞いに来たんやないか?」と怪訝そうにしてたそうです。

  病院から夕方家に帰ると、神棚や仏像等父が大切にしていたものが無くなっている事に気付いた家族は、「どうするの!おじいちゃんが知ったら怒るよ。」と心配そうです。でも、全責任は私にあるという事で許してくれました。「病院に来るのが遅いと思ったら、こんな事しとったんやね。」と呆れてました。

  天の神を知る私にとっては、一番重要な事です。父を天国に導かなければなりません。父に永遠のいのちを得てもらわなければなりません。父を永遠に滅ぼさないためにしている事です。


  その晩、夢を見ました。私の隣に立っていた白い着物を着た父が、振り向く事無く真っすぐ前を見て、ゆっくりと歩いて私から離れて行きます。私は父に向って追いかけながら叫びます。

  「お父ちゃん、行かんでもええて。そっちへ行ったら、あかんて!」私の叫び声がまるで聞こえないかのように静かにゆっくりすべるように去って行きます。追いかける私は父の腕を掴もうとしても掴めず、目には見えない境界線で私の足は止まってしまい、もう追いかける事は出来ず、ただ見届けるしかありません。父は進んで行きましたが、私はそれ以上進めません。足が動かないのです。

  目覚めた後も、どういう意味の夢なのか、もやもやしていました。家族に、神から父の死が示されている事は伝えていませんでした。夢の事も言えませんでした。

  荷物を受け取るために東京に帰らなければなりません。今日話すしかありません。朝からずっと神に祈り続けました。「天国の話を父にする時に家族が居ませんように。偶像を片付ける事を滞りなく成し遂げるように守り、成功させて下さった主よ。この事も妨げるものなく伝える事が出来るようにお守り下さい。父が怒らないで話を聞いてくれますように。」

  一時、家族が病室から出た時がありました。今だ。この時を逃してはならない、天国の神様の話をしました。父は落ち着いて耳を傾けています。

  地上の神は天国まで連れて行ってくれない事。天国にはいのちの神がいる事。天国には永遠に生きるいのちが無いと入れない事。永遠のいのちを得させるためにキリストが天から地上に来て、十字架にかかって死を滅ぼして下さった事。キリストを神として信じる人は天国で永遠に生きる事。日本の神、アメリカの神っていうように分かれてなくて、世界中に天国の神はキリストひとりしかいない事。

  「天国には果物の木が沢山あっていつも実がなっていて、自由に取って食べていいんやよ。皆新しい30歳位の体になって、死ぬ事も老いる事も病気になる事も、悲しみも嘆きも苦しみも無いんやよ。」父の顔が輝きました。「キリストが皆の目の涙をぬぐい取って下さり、皆が喜び楽しんでいる平和な神の国やよ。イエス様がそこに入れてくれるんやよ。キリストを信じて、お父ちゃんも行こうね。私もそこへ行くから。そこでまた会えるから。」

  かつての体験を思い起こしました。私が祈って貰っている時の事でした。突然、祈っているその人が「あなたによく似た男性が見えます。誰でしょう」と言われたのでした。

  その時の事を父に話しました。「父だと思います」と答えたと話した時、横たわる父は顔を歪めて背けました。神に敵対していた父は、神が怒っているのだと思ったのかも知れません。

  祈りの人が「神はいわれます。『この人は悲しみの多い人です。』」と言われた、と伝えると、顔を背けていた父は、(なんで俺の事を知っている⁉)と驚いたように、こっちを見ました。

  祈りの人が、「イエス様が両手を広げてこの男性がご自分のもとに来るのを待っておられます」と最後に言った言葉も伝えました。

  こうして、何とか、無事帰省した目的を果たす事が出来ました。病院から駅に向かいました。                                  

  道中、届けられる七箱の荷物の受け取りに間に合うように、速やかに片付ける事が出来るように、父に信仰が与えられるように、家族が父の死に備えられるように、悲しみから守り支えられるように、祈る事する事が多くて頭の中がぐるぐるしてました。