ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

新たなガン 父に死を迎えるために備えさせたこと ③


  アパートに帰宅して間もなくして、荷物を受け取りました。すぐさま軒下で実家にあった偶像の数々を解体し、町の分別に従ってゴミとして処分しました。父を天国の神のもとに行くのを妨げるものは取り除かなければなりません。真剣でした。霊の世界は目で見える所より真実です。目に見えない敵(悪魔)は常に執念深く働いています。神に魂を奪われないために必死で戦います。

  一方、父の方は私が帰ったその晩、寝たまま大きな声をあげて、自分の名前や家族を誰かに報告したそうです。まるで、敬礼して上官に挨拶している人のようだった、と家族は言います。「おじいちゃん、どうしたの。おじいちゃん。」と声をかけても続けていたそうです。家族は私が父に神の話をした事を知りません。両手を広げて自分を持っていてくれたイエス様に挨拶したのだと、私は思いました。

  その二日後、体の変化を感じたのか、父は家族に自分の兄弟姉妹を呼んで欲しいと言いました。夜中です。「もう遅いから、明日にしよ。」と家族が言うと、「話せんようになってからでは遅い。話せるうちに会いたい。呼んでくれ。」家族はそれもそうだ、と思い親戚に連絡しました。

  父の兄弟姉妹は来てくれました。夜中の2時,3時です。何を話したかは知りませんが、父は安心したようです。その翌日に満足した顔して、微笑んで亡くなったそうです。

  一方、私は風邪で寝込んでいました。咳をゴホゴホしながら横になっている時、私の口から「死んだ。」と言葉が出ました。その後、家族から電話が入りました。私が無意識に言葉を発した時刻に、父は召されていた事がわかりました。

  まさか、検査入院中に亡くなってしまうとは考えてもいませんでした。咳は治まりましたが、声が全く出ません。音すら出ません。口パク状態のまま、三日前に過ごしていた実家に戻りました。

  遺体となった父は、ただの物体のように感じました。この中に父はいない、と察しました。父の体であったはずなのに、これは父ではないという不思議な感覚。人の実体は身体ではなくて、その人の霊にある、と分かった瞬間でした。父の魂が父なんだと理解出来た経験でした。

  父の遺体は一晩家にありました。眠るように横たわる父の布団の周りで父を囲むようにして、家族も眠りました。翌日手伝いに来てくれた親戚と家族のためにお弁当を買いに行った時の事です。本当に父は神の元に帰る事が出来るのかどうか、が気掛かりでした。

  「主よ。お父ちゃんはちゃんとあなたの元に帰るでしょうか?救われましたか?天国に行けますか?」主に問い続けていました。そして、「もし、天国に行くなら、天にしるしを見せて下さい。私は心配です。私に分かるように教えて下さい。」と強く願いました。

  車から降り、お弁当屋さんへの途中で、空を見ました。目に綺麗な彩雲が入りました。こんな綺麗な彩雲は初めてでした。今まで何回も見ましたが、ピンクだったり、青や黄色、一色だったり、二色、三色だったり。でも、その時見ていた彩雲は虹色でした。虹が雲になったようでした。しかも、はっきりとした色です。その上、色は虹色だけではなく、後から黄金色になっていくのでした。黄金色の彩雲しかもあんな大きな彩雲を見るのは初めてでした。

  「お姉ちゃん、見てん。あの綺麗な彩雲。お父ちゃんは天国へ行くよ。」姉も天のしるしの目撃者となりました。

  葬儀の用意です。御棺に入れるとその体を覆うように白い着物(死に装束)が掛けられました。この時、先日実家で見た夢。白い着物を着た父が私から去って行く夢。神は私に父の死を示しておられたんだ。とはっきりと理解しました。父は進んで行くのに、私は一歩も進む事の出来なかったあの不思議な境界。あれは生と死の境界線だったと思いました。

  私は神に従って父の死の霊的備え、父の魂が永遠に生きるために働き備えました。父はこの世の営みのために備えていました。

  10日間の検査入院にも関わらず、多額な現金を家に用意してくれていました。それで、葬儀などの支払いに困る事はありませんでした。墓地も購入してくれていましたし、しっかり者の父は最後まで驚くほど冷静に考え込んで家族が困らないようにしてくれていました。膝を悪くして車椅子の母のために、母の下着等必要品をタンスの中一杯に買い揃えてあり、その間やまたあちらこちらの引き出しに現金を入れて置いてくれていました。また、ティッシュペーパーやトイレットペーパー等の生活必需品を倉庫に大量に保管してくれていました。

  白い着物の父の夢が、病気を知ってから早すぎる父の死は神の摂理の中にあった事を裏付け、偶像を処分した事が父の死を早めた訳ではないと、誰もが責める事なく、私に悔いを残さないようにしてくれました。また、空の彩雲は深い慰めを与えてくれました。

  神のご配慮に感謝しました。