ルーマニアのイリエ・コロアマ師は当時、度々来日して、ご自身の体験談を話しておられました。
ある時、お母さんのお話をされました。彼のお母さんはユダヤ人でした。彼女は乳がんで死を待つばかりでした。
日本がまだ朝の連続ドラマ「おしん」のように、口減らしに子どもを売るくらい貧しい生活をしていた時代の事です。イリエさんが生まれる以前の事でした。
病院のベッドで瀕死の状態でした。その頃は、ガンは不治の病でした。
ある人にキリストの福音を伝えるために、宣教師がその病院を訪れました。ところが、宣教師は部屋を間違えて、そのユダヤ人の女性のベッドに近づきました。
顔を見て、部屋を間違えた事に気づきました。でも、やせ細った瀕死の女性の姿があまりにも憐れで立ち去る事が出来ませんでした。
神はこの女性に福音を語るように促されました。この部屋に入ったのは、神の導きかも知れないと考え、その場で、目の前に横たわる女性にキリストの福音を語りました。
弱弱しい体ながら、目だけはしっかりと宣教師を仰いでいました。理解した彼女はすぐさま、イエスを受け入れました。
宣教師は祈りを導きました。彼女もイエスを主と信じる祈りをしました。すると、奇跡が起こりました。
その女性の乳がんだった乳房の下から新しい乳房が出てきて、体から乳がんの乳房が取れたのです。
癒しではなく、奇跡が起こったのでした。彼女は喜びに満ちて神をほめ讃えました。それから、神に熱心に祈り仕える人となりました。
ユダヤ人として生まれたイエスを、ユダヤ人が十字架にかけたとして、クリスチャンからひどい目にあって来たユダヤ人は、クリスチャンと彼らの旗印の十字架を恐れ、クリスチャンの神であるイエスを憎んでいました。
ユダヤ人にとっては、クリスチャンは悪魔の民、彼らを先導するキリストは悪魔だったのです。ユダヤ人の彼女がキリストの福音を聞いた事、信じた事から奇跡は始まっていました。
祈りの中で、神は彼女に日本の国を示されました。彼女は日本がどこにある国なのかは勿論の事、そういう名前の国がある事も知りませんでした。
戦前の日本は、海外に住む一般国民にはなじみのない国でした。
神は日本のために祈るように、このユダヤ人女性に語られました。神がこの国に計画を持っておられる、というのです。
「この貧しい小さな国がこののち、経済大国になる。経済大国になる事が、わたしがあなたに語ったしるしとなる。この国のために祈りなさい、といったのが確かにわたしであるのを知るであろう。」
果たして、あの青っぱなを垂らしていた貧しい子供達の日本は大国アメリカに次ぐ経済大国となって、世界に躍り出たのでした。
コロアマ師はお母さんからこの話を何度も聞かされ、幼い時から地図で見つけるにも小さな日本のために祈って来られたのでした。
創造主である神はイスラエルと契約を結ばれました。そして、ユダヤ人から神の救い主キリストを生む事を約束され、イエスをユダヤ人のダビデ王の系図から誕生させられたのです。
イエスは、ユダヤ人に創造主である父なる神について、永遠のいのちについて、神の国について福音を説いて回りました。
ユダヤ人には、この創造主が天から遣わされたキリストの福音を世界中に知らせる任務が与えられたのです。
神はユダヤ人の事をご自分の民と呼ばれます。ユダヤ人は神の民といわれています。この神の民のユダヤ人女性、ルーマニアに住む神の民である人に、日本は祈られて来たのです。
神にどんなご計画があるのでしょう。経済で世界の国々に貢献して来た日本に、次は何を用意されているのでしょう。
物質的な事に忠実に熱心に働いてきた日本に、もっと優れた働きを備えておられるのでしょうか。
創造主に仕えるという霊的な事でしょうか。永遠に残る本当に価値あるものの働きがこの小さな不思議な国、日本に用意されているのでしょうか。
原爆を投下された広島や長崎の人々が、アメリカを恨んでいない事には驚きます。広島や長崎は、日本の盾となり世界に平和を発信しつづけ、日本に平和をもたらせています。
もし、彼らがアメリカを恨み続けていたら、憎しみを生み、平和を愛する心は育たなかったでしょう。広島、長崎は、平和をつくり出すものです。
聖句に、「平和をつくる者は幸いです。その人は神の子どもと呼ばれるからです」とあります。
広島、長崎に神の子が多く起こされますように、と祈ります。
日本では国民に何かを恨んだり、憎み続けるというような教育はされていません。憲法九条のもとに、第二次世界大戦以降、戦争放棄した日本は、平和で豊かな国になりました。
この平和を体験する日本は、世界の平和のために何か成す事があるのでしょうか。
著作本 『人はどこから来てどこへ行くのか』鍵谷著 (青い表紙の本)
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