ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

イエスの母マリア


  ユダ族ダビデの系図にあたるヨセフの許嫁、処女マリアのもとに御使いが現れ、マリアの胎内に神の聖霊による子が宿ることを告げました。

  「恐がることはない、マリア。あなたは神から恵みを受けたのです。あなたは身籠って、男の子を産みます。名をイエスとつけなさい。その子は優れた者となり、いと高き方の子と呼ばれます。また、神である主は彼にその父ダビデの王位をお与えになります。彼はとこしえにヤコブの家を治め、その国は終わることがありません。」

  処女の身で子を宿すことを不思議に思うマリアに、御使いは言いました。「聖霊があなたの上に臨み、いと高き方の力があなたをおおいます。それ故、生まれる者は、聖なる者、神の子と呼ばれます。神にとって不可能なことは一つもありません。」

  マリアは「あなたのおことば通りこの身になりますように」と、神の計画を受け入れました。

  また、御使いは、マリアの許嫁の夫ヨセフの夢に現れて言いました。

  「ダビデの子ヨセフ。恐れないであなたの妻マリアを迎えなさい。その胎に宿っているものは聖霊によるのです。マリアは男の子を産みます。その名をイエスとつけなさい。この方こそ、ご自分の民をその罪から救ってくださる方です。」

  ヨセフと結婚したマリアは、夫ヨセフに守られて、ベツレヘムの地でイエスを産みました。

  その地の羊飼い達に御使いが現れて、言いました。「恐れることはありません。今、私はこの民全体のための素晴らしい喜びを知らせに来たのです。きょうダビデの町(ベツレヘム)で、あなたがたのために、救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。」

  羊飼い達は急いで行って、マリアとヨセフとみどりごとを捜し当て、この幼子について告げられたことを知らせました。話を聞いた人達は皆、羊飼いの話したことに驚きました。しかし、マリアは、これらのことをすべて心に納めて、思いを巡らしました。

  御使いがつけた名イエスと名付けられた幼子を、主に献げるために、ヨセフとマリアはエルサレムへ連れて行きました。

  そこで、主のキリストを見るまでは、決して死なないと、聖霊のお告げを受けていたシメオンが幼子イエスを腕に抱き、神を褒めたたえました。また、宮を離れず、昼も夜も、断食と祈りをもって神に仕えていた、女預言者アンナもそこにいて、神に感謝を献げました。

  その後、東方から、ユダヤ人の王がお生まれになったことを、星で知り、星に先導されてやって来た賢者達は、母マリアとともにおられる幼子イエスを見て、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げ、ひれ伏して拝みました。

  マリアは、御使いのことばによって身籠り、生まれたイエスに関わる様々な証言を心に留めていました。

  ヨセフとマリアはイエスを連れ、ガリラヤ地方のナザレに行って、住みました。マリアは、他の女と変わらない普通の女性でした。その証拠に、ヨセフとマリアの間に男の子達や女の子達が生まれています。イエスの弟や妹達です。マリアがキリストを産んだ事以外は、彼女自身は特別な人ではありませんでした。

  イエスは、バプテスマのヨハネから水のバプテスマを受けました。水からあがったイエスに、聖霊が鳩のように下り、イエスの上に留まるのをヨハネは見ました。バプテスマのヨハネは、イエスを見て、「見よ。世の罪を取り除く神の子羊」と言い、イエスが神の子であることを証言しました。

  
  さて、ガリラヤのカナで婚礼があって、イエスも弟子達も母マリアもそこに居ました。葡萄酒が無くなった時、母マリアがイエスに向かって「葡萄酒がありません」と言いました。

  すると、イエスはいわれました。「あなたはわたしと何の関係があるのでしょう。女の方。わたしの時はまだ来ていません。」

  母はイエスが神の人だと知っていました。しかし、母親のマリアが息子イエスに言ったことで、神は働かれません。マリアとイエスの間に、ひとりの女が神の人イエスにお願いするという、神が介在される関係が始まりました。イエスは、ヨセフの子から、公に神の御子としての歩みが始まっていました。

  母マリアもその事に気づきました。母は手伝いの人達に言いました。「あの方が言われることを、何でもしてあげてください。」

  イエスは常に、天の父と繋がっていました。御父に聞き、御父に従われたのです。御父に従って、イエスは彼らにいわれました。「水瓶に水を満たしなさい。」イエスにいわれた通りに、手伝いの人達は水瓶をふちまで一杯にしました。

  イエスは彼らにいわれました。「さあ。今汲みなさい。そして宴会の世話役のところに持って行きなさい。」彼らは、持って行きました。

  宴会の世話役は葡萄酒になったその水を味わい、こんな良質な葡萄酒をよくも今まで取って置いたと驚いて、花婿を褒めました。

  水が葡萄酒になった事を知っていたのは、水を汲んだ手伝いの者達と弟子達でした。イエスはこの事を最初のしるしとして行い、ご自分の栄光を現わされました。

  
  イエスは、母マリアにお願いされたから、わざを行ったのではありません。葡萄酒が無くなり、右往左往する手伝いの者達の様子を見、天の父の号令によって、水を葡萄酒に変えられたのです。

  マリアが、父なる神、イエスを遣わされた神の存在にへりくだりました。すると、神の時が来て、父である神がイエスに命じ、すべての者は神の御手の中で動きました。

  イエスのことばに従う者達、神のわざを味わう者達、神のわざを目撃する者達、すべての働きが出揃って、イエスの栄光が現れました。

  これは、神が遣わされた者としてのイエスの栄光であり、また、この栄光のわざを見て、神の御子イエスを地上に遣わされた神、天の父が褒めたたえられるためなのです。