「なくなる食物のためではなく、いつまでも保ち、永遠のいのちに至る食物のために働きなさい。それこそ、人の子(キリスト)があなたがたに与えるものです。」とイエスがいわれた。
すると、ユダヤ人はイエスに言った。「私達は、神のわざを行うために、何をすべきでしょうか。」
イエスは答えていわれた。「あなたがたが、神が遣わした者(イエス・キリスト)を信じること、それが神のわざです。」
そこで彼らはイエスに行った。「それでは、私達が見てあなたを信じるために、しるしとして何をして下さいますか。どのようなことをなさいますか。私達の先祖は、荒野でマナを食べました。『彼は彼らに天からのパンを与えて食べさせた』と書いてあるとおりです。」
かつて、神はユダヤ人の先祖に、荒野で天からパンが降るようにされました。モーセは、ユダヤ人に天からパンを与えて食べさせたので、ユダヤ人は神が立てた預言者だと信じ、モーセを恐れ従った、というのです。
イエスは彼らにいわれた。
「あなたがたに告げます。モーセはあなたがたに天からのパンを与えたのではありません。しかし、わたしの父は、あなたがたに天からのパンをお与えになります。というのは、神のパンは、天から下って来て、世にいのちを与えるものだからです。」
モーセが与えたパン(マナ)は、天から降って来たものでしたが、それは、肉体を生かすための食物であり、天の食物では無い、とイエスはいわれたのです。
永遠に生きるわたしの父が、あなたがたに天からのまことのパンをお与えになる、といわれました。神が与える神のパンは、天の神から出て、天から下って来て、世にいのちを与える方であり、永遠のいのちに至る天の食物なのです。
イエスのいわれたパンは、人物をさしていました。しかし、マナをイメージする彼らは、もはや飢える事の無いお腹を満たすパンを求めました。彼らにとって、いのちとは肉体の命をさしていました。
そこで彼らはイエスに言った。「主よ。いつもそのパンを私達にお与え下さい。」
イエスはいわれた。
「わたしがいのちのパンです。わたしに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者はどんなときにも、決して渇くことがありません。
わたしが天から下って来たのは、自分の心を行うためではなく、わたしを遣わした方の御心を行うためです。
わたしの父の御心は、子を見て信じる者が皆永遠のいのちを持つことです。わたしはその人達をひとりひとり終わりの日に甦らせます。」
ユダヤ人達は、「わたしは天から下って来た」というイエスのことばにつまづきました。
イエスは続けていわれました。
「わたしはいのちのパンです。あなたがたの先祖は荒野でマナを食べたが、死にました。しかし、天から下って来たいのちのパンは、それを食べると死ぬことがないのです。
わたしは、天から下って来た生けるパンです。誰でもこのパンを食べるなら、永遠に生きます。またわたしが与えようとするパンは、世のいのちのためにわたしが与える私の肉です(霊的に死人となった世の人々にいのちを与える、生贄の神の子羊です)。」
すると、ユダヤ人達は、「この人は、どのようにしてその肉を私達に与えて食べさせることができるのか」と言って互いに議論し合った。
イエスは彼らにいわれた。
「わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、永遠のいのちを持っています。わたしは終わりの日にその人を甦らせます。わたしの肉はまことの食物、わたしの血はまことの飲み物だからです。」
生贄の子羊となられたイエスの十字架の死を記念して、罪を贖うキリストの肉と血を覚える新しい神の契約(聖餐)にあずかる者は、永遠に生きる者とされるのです。
イエスが父のことばを霊的食物として食べ、父によって生きているように、霊的食物として日々イエスのことばを食べ、キリストの御霊とともに生きる者はキリストによって生きるのです。
このいのちのパンは、ユダヤ人の先祖が食べて死んだマナとは異なり、永遠に生きるために、神が用意された天から下って来た、まことのパンです。
いのちを与えるのは御霊です。肉は何の益ももたらしません。イエスが話された真理のことば、神のことばは、霊であり、またいのちなのです。
霊を生かすのは、御霊です。御霊が与えるパン(キリストの肉)と葡萄酒(キリストの血)が、新しい契約です。そして、キリストのことばを思い起こさせ、真理へと導き入れます。
永遠に生きるのは霊であって、肉体ではありません。肉体の食物を食べても、肉体はやがて死んで滅びます。肉体の食物では、霊は生かされません。
いのちにはいのちのパンが必要です。天から下って来たパン、いのちのことば、キリストのことば、神のことばです。いのちのパンを食べる者に御霊が宿られます。
そして、キリストの十字架の贖いのわざを覚え、キリストのことばによって生き、御霊とともに生きるのです。
肉に従う者は肉的なことをもっぱら考えますが、御霊に従う者は御霊に属することをひたすら考えます。
神が遣わしたイエスを信じ、天から下って来たまことのいのちのパンを食べ、御霊によって、からだの行いを殺すなら、永遠に生きます。いのちのパンを食べ、神の御霊に導かれる人は、誰でも神の子どもです。
キリストは、永遠のいのちを与える「いのちのパン」なのです。