初めに神が天と地を創造した。
天地万物が造られる前からおられた神。宇宙の始まりが数十億年前とも数百億年前とも言われていますが、それ以前から存在する神がおられるようです。
神は、永遠の昔からおられる、と聖書にあります。始まりも終わりも無い方のようです。年を経た方です。
永遠の昔からおられる神が、天と地を造られたようです。天地が造られる、つまり、宇宙が造られる以前は、塵のひとつも存在していなかったようです。
この全知全能にして永遠に生きる霊なる神が、万物を創造されました。聖霊も天使も神のひとり子も、この神から生まれました。創造の源であり、すべてのものの存在の根源である方です。
すべてのものを生んだこの神を、すべてのものの父と呼びます。
人は父親と母親から生まれます。しかし、母の胎に胎児の内臓を造り、骨組みを組み立てられたのは、神です。父親も母親も知らない胎の中で密かに造られました。
ダビデは言います。「あなたは私を母の胎から取り出した方。母の乳房に拠り頼ませた方。生まれる前から、私はあなたに、すがって来ました。母の胎内にいた時から、あなたは私の神です。」
神は、そのひとり子イエス・キリストの父であり、すべての人の父なる神なのです。
最初の人アダムは、ひとりでした。アダムの妻エバはその後で、アダムのあばら骨から造られたと言います。つまり、エバはアダムの一部であって、人はひとりなのです。
後から造られたエバに胎があり、子どもは女から生まれ、女は母親と呼ばれます。しかし、もともと人はひとりであって、生むのは、父なる神なのです。それで、人の父、またすべてのものの父は、父なる神おひとりなのです。
父なる神はすべてを計画し、すべてを治めておられる絶対的主権者です。御子イエスは父なる神の計画に従い、父なる神に遣わされてベツレヘムのダビデ王の系図に生れました。
父は、霊なる神の御子に肉体を造り、人の子として、世に遣わされました。神の御子は、父なる神からイエスと名付けられ、ユダヤ人の間に住まわれました。
御子は、神が天と地を創造されたとき、神の傍らにいて、父なる神とともに創造された方です。
創造主である父なる神は、創造主である御子なる神を、人の子として地上に遣わされたのです。
御子である人の子イエスは、地上においても、天上のごとく父と一つものとして、父を仰ぎ、父から受けたことばを語り、父のご意思に従われました。
イエスは、人々が見失っている、彼らの真の父を知らされました。しかし、自分は肉の父親と母親の子であると思っている彼らには理解出来ませんでした。
生まれた時から一緒にいる、父親と母親が、自分の父母だと思っている者には、葛藤があります。不完全な父母の元でうめき苦しみます。
父母もまたそうです。胎から生まれ出るまでは、自分の子がどんな顔をしているのか、どんな性質で何を好むのか、何もわからないのです。たくさんある赤ん坊の中から選び取った子どもではありません。こういう子どもが欲しいと発注して受け取ったわけではありません。女の胎に宿り、生まれ出た子どもが、自分の子と呼ばれる子どもになるのです。
神は、ご自身に似せて、最初の人をかたち造られました。非常に良かった、とあります。神が満足される、とても良いものだったようです。
神を父と思う人は、父なる神に似た者となります。肉の父を自分の父と思う人は、肉の父親に似た者となります。
イエスは、まことの父を知らせるために来られました。父親や母親を見て、失望したり、嘆いたり、劣等感を抱いたり、自暴自棄になることは、正しいことではありません。
何故なら、まことの父は、完全なる父である創造主、神なのです。すべてのものを所有しておられる父です。愛と憐れみと恵みに満ちた聖なる父なのです。
人は神のことばに反逆して、神の敵である悪魔を信頼しました。悪魔を選んだのです。それで、聖なる神、まことの父を離れ、悪魔の陣営に入り、悪魔の子どものように生きる者となりました。
かつて、狼に育てられた人間の子が発見されました。姿形は人間なのに、狼のように四つ足で歩き、狼のように鳴き、生肉にかぶりつきました。
狼に育てられたので、狼の子になっていたのです。言葉もわかりません。顔つきも狼そのもの、行動も狼そのものでした。
洋服が着せられ、人間としての教育が始まりました。長い年月をかけ、やっと少し言葉を覚えました。体は大人なのに、5~7歳の知能くらいまでは回復したそうです。
神が生まれさせるから、神の子では無いようです。神の子だと本人が自覚し、その意識で生きなければ、神の子になりません。
父母から生まれたと思っているうちは、この世の子どもです。天上のことはわかりません。神によって造られた者、神がまことの父である、という意識になった時から、神の子としての教育がされます。
完全なる父を仰いで、心は世から解放されますが、神の似姿には及びません。時間がかかります。イエスは、父なる神が真の父であることを知らせるとともに、父なる神の子どもがどういうものであるのかも、ご自分において示してくださいました。
イエスは、自分を神として崇め奉るキリスト教を創造するために、世に来られたのではありません。イエスの願いは唯一つ。父なる神が、崇められ、父が栄光を取られることです。
イエスは、人々にまことの父を知って欲しい、と望んでおられます。まことの父、イエスの父なる神が礼拝されることを願っておられます。
父なる神が唯一まことの神であり、崇められるのにふさわしいお方だからです。
天の父のもとに帰ったキリスト・イエスの願い通りに、父は、地上に聖霊を送り、御霊によって、主キリストの民を教え、養育し、神の子としての新しい創造を施しておられます。
天上で生きる新しい人は、肉の努力やこの世の知恵によらず、御霊によって生まれ、御霊によって創造され、父なる神を、「アバ父」と呼ぶのです。