ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

光の影と実体

 

 地上にあるものは、影です。実物のように見えて、実は、本体の影です。地上にあるものは、天にあるものの写しと影です。

 

 神はイスラエルを神の民として造られました。

 最初、神は、神を畏れる正しい人アブラハムを選び、アブラハムの妻九十九歳の閉経したサラに、御霊によるイサクを与えられました。イサクの不妊の妻リベカに御霊によって双子の男の子を与えられました。双子が胎内にいる時に、神は母リベカに、「兄が弟に仕える」と言われたのです。

 

 神は、産まれる前から、弟ヤコブを選んでおられました。神は、ヤコブをイスラエルと呼ばれました。そして、ヤコブの子らに、アブラハムに与えたカナンの地を相続させることを語られました。

 

 神は、カナンの地にヤコブの子孫を導き、モーセを通して、彼らユダヤ民族を神の民として任じられたのです。ヤコブの子孫は、神がヤコブに与えた名前イスラエルを名乗りました。

 

 全世界、全民族の中で、神はイスラエルを御自分の民として、任命されたのです。イスラエルは、神に従い、天地万物の創造主に仕える民となりました。

 

 イスラエルは、神に仕える民です。地上に神に仕える民が置かれました。神は、イスラエルに、天にあるものの写しを与えられました。食べ物と飲み物についての規定や、律法や祭りや新月や安息日、生贄や献げ物、神の幕屋、聖所と至聖所など、神の命令を守りました。しかし、これは、次に来るものの影でした。本体はキリストにあるのです。

 

 律法は、後に来るすばらしいものの影であり、その実物はありません。イスラエルは、神の計画のために、天にあるものの写しと影に仕えていました。

 

 実物は、天から来られた「人の子」でした。天にあるものの写しと影に仕えていたイスラエルに、神は、真の光、天にあるものの実物を遣わされたのです。

 

 彼は、エデンの園でエバを惑わした蛇に神が仰せられた、「おまえの頭を踏み砕く『人の子(女の子孫)』」だったのです。

 

 神が天からイスラエルに遣わされた人の子は、肉体をもって処女から生まれた、神の御子(神のひとり子)でした。人の子イエスは、「永遠の契約を立てるあなたの子孫」とアブラハムに語られた、アブラハムの子孫です。

 

 モーセは、イスラエルに律法の契約を与えました。これは、天にあるものの写しと影です。神は、主の命令に聞き従うなら祝福を、聞き従わないならば呪いを与えると仰せられ、契約の民イスラエルの前に祝福と呪いが置かれました。

 

 神の律法を完全に守れる人はいません。しかし、完全に守る「人の子」が、イスラエルに現れたのです。それが、神が天から遣わされた神の子羊イエスでした。神の律法は、人の子イエスに置いて全うされました。イエスは、律法が守れず、律法の呪いの下にいるイスラエルを、律法の呪いから救い出す、唯一のキリストです。

 

 イエスは、自ら律法を全うして、律法の契約を古いとされました。古くなった契約によって裁かれることはありません。イエスは、律法の呪いを、罪の無いご自身の血で贖われました。イエスが、律法の呪いを受けるイスラエルに代わって、ご自分で罪の呪いを受けられたのです。

 

 傷を見出せない、罪のないイエスの血は、永遠の贖いを有効にする贖いの子羊の血です。律法の呪いは、もはや問われることがありません。

 

 神と新しい契約を結ぶ「人の子」(ダニエル書7:12の天の雲に乗る人の子、イスラエルが待ち望むメシア)は、イエス・キリストでした。モーセの律法の次に来た契約は、キリストの血による契約です。十字架で罪の赦しの贖いの血を流した後、よみと死に勝利して、死から甦られ、復活のからだで弟子たちに現れました。そして、弟子たちにもうひとりの助け主、聖霊を与えることを約束して、天に上り、天にあって大能者の御座の右に着座されたのです。

 

 イエス・キリストは、人間が設けたのではなくて、主が設けられた真の幕屋である聖所で仕えておられるのです。

 

 最初の契約は、人間が設けた幕屋で仕え、天にあるものの写しと影に仕えていました。イスラエルは、影を実物だと思っていました。律法を守ることが天の神の御前で生きる生き方でした。律法を完全に守れない呪いに怯え、思いは暗くなっていました。

 

 それで、神が、天の実物(永遠のいのちで生きている神の御子)を地上に遣わされても、イスラエルにはわかりませんでした。律法が天にあるものの写しと影ならば、天から下って来られたキリストは、天にあるものの実体です。

 

 神とイスラエルを繋ぐ律法によっては、神とひとつになることはできません。律法は、御国を味わうものでもありません。彼らは、ぼんやりと光の写しを見ているだけです。

 

 神が与えられた新しい契約は、律法を全うしたイエスと結ばれました。天から出られた方、神から出られた方、神の御子キリスト・イエスです。神もキリストも永遠の方です。新しい契約は、永遠の契約なのです。

 

 イエス・キリストを信じる者は、永遠の契約を受ける者です。天にあるものの実体と結ばれる契約なのです。天にあるものの実体と永遠の契約を結ぶためには、受ける側も永遠の存在でなければ成立しません。

 

 イエスは、御霊を与えて、永遠に生きる新しい人に造り変えてくださいます。肉なる者が御霊によって新しく生まれて、永遠の契約を結ぶ霊の子とされるのです。

 

 天にあるものの実体の写しと影(律法や形式)に仕える者は、写しと影のような存在です。天にあるものの実体(イエス・キリストや聖霊)に仕える者は、イエス・キリストに似た者となるのです。