ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

御使いにまさる人の子

 

「神は、かつてどの御使いに向かって、こう言われたでしょう。

 『あなたは、わたしの子。きょう、わたしがあなたを生んだ。』

またさらに、

 『わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。』

さらに、長子をこの世界にお送りになるとき、こう言われました。

 『神の御使いはみな、彼を拝め。』」(へブル1:5-6)

 

 神がイエス・キリストを生みました。処女マリアの胎に神のひとり子を、肉体を持つ人の子として宿らされたのは、天地万物を造られた創造主です。

 天の神は、ダビデの子孫であり大祭司アロンの子孫でもあるマリアの胎を借りて、ひとり子を人の子とされたのです。

 

 神は、処女マリアから生まれたイエスに、御救いの任務を授け、キリストの油を注がれました。

 預言者の油、祭司の油、王の油、三つの油を持つキリストは、ベツレヘムで処女から生まれ、ナザレ人として歩まれたナザレのイエスです。

 

 イスラエルでは、神に預言者の油を注がれた預言者が神のことばを告げ、また、神に祭司の油を注がれた大祭司アロンとその子孫が祭司の務めをしました。そして、王の油を注がれたダビデ王とその子孫が王となったのです。

 

 イスラエルは、神が目的をもって造られた神の民です。神と契約を結ぶ民です。生けるまことの神、全地を治める全能の神に仕える民族です。神は、御自分の民イスラエルに祭司と預言者と王を立てて、他の民族と区別して、神の民として守り導かれました。

 神は、民の罪を贖うメシアをイスラエルに遣わし、その方が永遠に治める王となることを知らせておられました。その方は、神の契約のない異邦人の啓示の光となる人の子キリストです。

 

 神の約束は、ダビデ王とともにありました。神は、ダビデに、ダビデの家から救い主が立ち、そのダビデの子が王となって永遠に治める平和な世が来ることを告げておられました。

 

 神の御子イエスは、ダビデ王の血と大祭司アロンの血を引くマリアの胎に宿りました。御子イエスは、預言者の油、祭司の油、王の油の三つの油を併せ持つ、神が遣わされたキリストです。神がダビデに約束された永遠に堅く立つ平和の王です。

 

 使徒3:22,23には、モーセがイスラエルに命じたことばが書かれています。

「神である主は、あなたがた(イスラエル)のために、私のようなひとりの預言者(キリスト)を、あなたがたの兄弟たちの中からお立てになる。この方があなたがたに語ることはみな聞きなさい。

 その預言者に聞き従わない者はだれでも、民の中から滅ぼし絶やされる。」

 

 それは、神がモーセにこう告げられたからです。

 「わたしは彼らの同胞(ユダヤ民族)のうちから、彼ら(イスラエル)のためにあなたのようなひとりの預言者(キリスト)を起こそう。わたしは彼の口にわたしのことばを授けよう。彼は、わたしが命じることをみな、彼らに告げる。

 わたしの名によって彼が告げるわたしのことばに聞き従わない者があれば、わたしが彼に責任を問う。

 ただし、わたしが告げよと命じていないことを、不遜にもわたしの名によって告げたり、あるいは、ほかの神々の名によって告げたりする預言者があるなら、その預言者は死ななければならない。

 あなたが心の中で、『私たちは、主が言われたのではないことばを、どうして見分けることができようか。』と言うような場合は、預言者が主の名によって語っても、そのことが起こらず、実現しないなら、それは主が語られたことばではない。その預言者が不遜にもそれを語ったのである。彼を恐れてはならない。」(申命記18:18-22)

 

 イエス・キリストは、父なる神のことばを語りました。ユダヤ人たちに真理を解き明かしました。また、その後起こることをも告げられました。イエスは、モーセが語った、イスラエルに立つモーセのようなひとりの預言者であり、預言者たちによって預言されていたキリストでした。

 

 また、イエス・キリストは、まことの聖所で仕える、メルキゼデクに等しい大祭司です。死から復活して永遠に生きておられるキリストは、天そのものに入られ、変わることのない祭司の務めを持っておられます。

 「あなたは、わたしの子。きょう、わたしがあなたを生んだ。」と言われた主が、「あなたは、とこしえに、メルキゼデクの位に等しい祭司である。」とも言われています。(へブル5:5,6)

 

 神の御子イエスは、神にとって特別な存在です。また、神御自身が神の霊によって生んだ人の子(肉体の人)であり、また、死から復活した新しい創造の御霊の子(霊の人)です。

 

 神の御子は、神のひとり子でした。肉体をもってイスラエルに遣わされたイエスは、肉体によって霊なる神と隔てられていましたが、肉に死んで死から甦ると、御霊によって霊のからだの霊の子として生まれました。御霊による新しい創造です。

 

 神は、御霊による新しい創造のキリストについて、「わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。」と言われたのです。一度肉体を持った人の子(神の御子イエス)に、復活のいのちを与えて、神の子どもとされたのです。霊においては、神のひとり子でしたが、からだにおいても神の御子キリストとして、神に迎え入れられました。

 

 キリストは神の子どもたちの長子です。神の子羊の贖いの血で贖われた人の子たちの長子となる神の子羊イエスを世に送るときに、神は、「神の御使いはみな、彼(神の子羊キリスト)を拝め。」と言われました。

 

 キリスト・イエスにあって、新しい創造を受ける人は、神の子どもです。

 イエス・キリストを神の祭司としてイエス・キリストの御名で祈り、イエス・キリストを神の預言者としてイエス・キリストのことばを信じ守り、イエス・キリストをイスラエルの王として天から来られるのを待ち望む人は、御霊によって新しく生まれ、新しい創造を受けた新しい人であり、キリストの兄弟です。

 

 神は、御子に肉体を造り、御使いよりも、しばらくの間、低いものとされました。肉体を持つ御子は罪のきよめを成し遂げ、御救いのわざを成し遂げられてすぐれて高い所の大能者の右の座に着かれました。

 御子は、御使いたちよりもさらにすぐれた御名を相続し、御使いよりもまさるものとなられました。

 

 神は、贖いとなられた神の子羊キリストを拝むように、すべての御使いに命じられました。また、キリストの血で贖われ、キリストの御霊によって新しく生まれたキリストの兄弟である人の子たちもまた、御使いに勝る神の子どもとされるのです。