ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

新しい葡萄酒と新しい皮袋

 

 「イエスは一つのたとえをパリサイ人や律法学者たちに話された。

 『だれでも、新しい着物から布切れを引き裂いて、古い着物に継ぎをするようなことはしません。そんなことをすれば、その新しい着物を裂くことになるし、また新しいのを引き裂いた継ぎ切れも、古い物には合わないのです。

 また、だれも新しい葡萄酒を古い皮袋に入れるようなことはしません。そんなことをすれば、新しい葡萄酒は皮袋を張り裂き、葡萄酒は流れ出て、皮袋もだめになってしまいます。新しい葡萄酒は新しい皮袋に入れなければなりません。

 また、だれでも古い葡萄酒を飲んでから、新しい物を望ません。「古い物は良い。」と言うのです。』」(ルカ5:36-39)

 

 イスラエルはまことの神と契約を結び、神の律法を授けられた唯一の民族です。イスラエルは、神から授けられた律法を数千年の間、家の掟として守ってきました。

 アブラハムから受け継いだ肉の割礼と、モーセを通して授けられた律法は、まことの神に選ばれた民族の証でした。

 

 イスラエルは、アブラハムの契約を受け継ぐ民族であり、アブラハムの祝福が約束された唯一の民族です。

 神が造り、御自分の民として選ばれた祭司の国民です。長い歴史のある民族です。神に与えられた律法を守るために事細かく注意事項を付け加え、子どもや小さい者も守ることができるようにと先人たちの知恵によって整えられてきました。

 

 イスラエルにとっては、ユダヤ人のアイデンティティーであり、威信です。聖なる神との契約の中にある聖なる選びの民であり、ほかの民族が持つことのできない祝福なのです。

 

 イスラエルにメシアが遣わされるという、神の約束がありました。メシアは、イスラエルの栄光であり、異邦人の啓示の光です。メシアが現われると、イスラエルは真理の光に輝く世の光となるはずです。

 

 神に約束されたメシアは、神の御子であり、罪を贖い死を滅ぼす神の子羊でした。イスラエルは神の子羊イエスを十字架で屠り、罪の生贄の子羊イエスの贖いの血によって、罪の赦しを完了させました。

 

 神は、神がイスラエルに遣わされた贖いの子羊イエスを神の御子キリストであると信じる者を義とされます。律法によっては義とされることのなかった神の民イスラエルは、神の御子イエス・キリストの贖いの血によって罪を赦され、神が遣わされたメシア(イエス・キリスト)を信じることで義とされるのです。

 

 十字架につけられた主イエス・キリストは、神の義でした。神は、神の義であるイエス・キリストを信じ受け入れる者を義とされます。ここに神は、アブラハムに見出された「信仰の義」を完成されます。

 

 アブラハムの信仰は、神の御子イエス・キリストにおいて、完成されます。アブラハムは神を信じて義とされ、イスラエルは神が遣わされた主キリスト(イエス・キリスト)を信じて義とされるのです。

 

 神に遣わされた主イエスは、新しい律法を持って来られました。

 モーセを通して与えられた律法は、神の子羊イエスの贖いの血によって完成されました。律法を完全に守られた神の御子イエスが、律法の違反の呪いを十字架の贖いの血で取り去られたので、律法はもはやイスラエルを罪に定めることができなくなったのです。

 イスラエルはひとりのユダヤ人(ナザレのイエス)によって律法を守ることを完成する恵みに預かり、神の子羊イエスの贖いの血によって律法の呪いから解放せられたのです。

 イスラエルは律法によってではなく、律法を完成させられた神の御子イエスをイスラエルの王(メシア)として信じるならば、イスラエルの神に義とされるのです。

 

 信仰の義で始まったアブラハムの契約は、イスラエルの信仰の義で完成するのです。神の義は、信仰とともにあるのです。

 

 律法を完成されたイエス・キリストは、アブラハムに与えた肉の割礼の契約とモーセに与えた律法の契約を古いとされました。

 新しい契約は、十字架で死なれたイエスを甦らせ、死から復活させられた神の霊(聖霊)によって与えられます。

 

 この聖霊を与えられるのは、イエス・キリストの十字架の死と復活の救いのわざの完成によります。復活のキリストは、聖霊のバプテスマを授けるメシアです。イスラエルは、死からいのちを救い出す新しい契約を与えられました。永遠のいのちの契約です。

 

 しかし、古い契約に慣れ親しんできたイスラエルは、新しい契約を望みません。よく熟成した葡萄酒を好み、新しい葡萄酒を望まないのです。

 

 イエス・キリストは、新しい葡萄酒とともに、新しい皮袋も用意されます。

 古い葡萄酒(肉の割礼と律法)は、古い皮袋(アブラハム、イサク、ヤコブの子孫イスラエル)に入れられました。

 古い葡萄酒が熟成し、神の時に、その葡萄酒が神に受け入れられて、神の律法の契約は完成しました。イスラエルが神のために熟成させた葡萄酒は、イエス・キリストの血となってイスラエルに流されました。

 

 神の御心を満足させる葡萄酒(キリストの血)は神に献げられました。神はこの完成された古い葡萄酒を受け取られて、新しい天の葡萄酒(新しい御霊による心の割礼と新しい御霊による律法)をイスラエルに授けられました。

 

 新しい葡萄酒は発酵します。勢いを持って新しいいのちを生み出していくのです。いのちの躍動は、ユダヤ民族に留まりません。イスラエル民族の神であった神の霊は、イエス・キリストの贖いの血の力によりユダヤ民族の垣を超えます。

 天の葡萄酒は死人を生き返らせ、いのちを生んでいくのです。ユダヤ民族の垣はイエス・キリストの十字架によって破られました。神の御子イエス・キリストの贖いの血は、世界に及びました。ユダヤ人と異邦人との隔ての壁は破られ、主イエスの贖いの血の赦しを受ける者、神の御子イエス・キリストを信じる者たちをイスラエルの中に加えられました。

 

 神の契約はイスラエルから移ることがありません。契約の民イスラエルの中に、イエス・キリストを主とする異邦人が加えられてきます。新しく加えられる民を入れる新しい皮袋が必要です。ユダヤ民族の皮袋では張り裂けてしまいます。古い葡萄酒を入れた古いイスラエルの皮袋はもう引き延ばす余裕がありません。また、発酵の激しい新しい葡萄酒(キリストの御霊)を入れるためには、新しい皮袋が必要です。

 

 神は、世界中の神の子どもたちを入れる新しいイスラエルを創造されます。神が遣わされたメシアであるイエス・キリストを救い主と信じる新しいイスラエルです。

 

 神は新しく創造した天からの葡萄酒(キリストの御霊)を、新しく創造する天からの皮袋(御霊によって生み創造されるイエス・キリストを主とする、新しいイスラエル)に入れられます。七つの御霊の教会です。

 

 神と契約を結ぶイスラエルは、アブラハムの血肉の子孫のユダヤ民族です。古い葡萄酒を守り育てたイスラエルです。古い皮袋のイスラエルです。彼らは、罪の贖いの神の子羊イエスを生み、子羊イエスを屠って、永遠のいのちを与えるキリストの血とキリストの御霊を地上にもたらしました。

 

 新しく創造されるイスラエルは、イエス・キリストの贖いの血とキリストの御霊を受ける神の民です。土台に神の契約を持つイスラエル(ユダヤ民族の契約)があり、その上に契約の成就である救い主イエス・キリストを礎石として置き、その上に建て上げられる神の神殿(聖霊の宮)のイスラエルです。

 

 新しい葡萄酒(天に引き上げられるイスラエルに与えられた契約の聖霊)と新しい皮袋(イエス・キリストを主とする新しいイスラエル)は、神(キリストの御霊)によって創造されるイスラエルの新しい契約であり、新しい天と新しい地を相続する新しいイスラエルです。