地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのを御覧になった主(天地万物を造られた神)は、地上に人を造ったことを悔やみ、心を痛められました。
「そして、主は仰せられた。
『わたし(全能の神である創造主)が創造した人を地の面から消し去ろう。人をはじめ、家畜やはうもの、空の鳥に至るまで。わたしは、これらを造ったことを残念に思うからだ。』
しかし、ノアは、主の心にかなっていた。」(創世記6:7,8)
すべての肉なるもの(生きているもの)が、その地上でその道を乱し、地は、神の前に堕落し、地は、暴虐で満ちていました。(生きものたちは、いのちの根源であられる神から遠く離れ、いのちは踏みにじられ、木々や植物、土地など神の被造物は汚され破壊されてうめいていました。
しかし、ノアは、その時代であっても、神とともに歩む正しい人で、環境に流されず罪を犯さない全き人でした。
神は、大水で世界を滅ぼされたときに、箱舟にいれてノアとノアの家族を救い出されました。救い出されたノアは、救い出してくださった神を、ノアの三人の息子セム、ハム、ヤペテのうち、セムの名で「セムの神」と呼びました。
人を造られた全知全能の神は、再スタートした人の世で、「セムの神」と呼ばれました。
セムの神は、セムの子孫アブラハムを選んで、アブラハムを召し出されました。
暴虐で満ちた世を水で滅ぼすときに、御救いの民の父として「ノア」を選ばれた神は、次に火で滅ぼすことを定めておられます。
その火の滅びから救い出される民の父として、神は「アブラハム」を選ばれました。
神は、アブラハムと契約を結び、割礼を命じて、アブラハムとアブラハムの家をほかの人や家と聖別されました。そして、アブラハムを、神の御救いの民の父として導かれました。
アブラハムを召された神は、アブラハムに仰せられました。
「あなた(アブラハムとアブラハムの子孫)を祝福する者をわたし(創造主であり、救い主であり、裁き主である全能の神、主)は祝福し、あなた(アブラハムとアブラハムの子孫)を呪う者をわたし(救い主である裁き主)は呪う。(すなわち、神は、アブラハムとアブラハムの子孫を呪う者を決して救わない。彼らは必ず、滅ぼされる)
地上のすべての民族は、あなた(アブラハムと、アブラハムの子孫イスラエルと、アブラハムのひとりの子孫ダビデの子のイエス〈神がイスラエルに遣わされる救い主である、神のひとり子キリスト〉)によって祝福される。」(創世記12:3)
「アブラハムの神」は、契約の人を「信仰の父」と呼び、(多くの国民の父)また、(高貴な父)の意味の名前の「アブラハム」と呼ばれました。
神は、アブラハム(高貴な父)と妻サラ(王女)の間にお与えになったひとり子イサクに、アブラハムの契約を受け継がせて、イサクを「アブラハムの子孫」と呼ばれました。アブラハムは、イサクを祭壇で神にささげました。そして、全能の神、主は、「アブラハムの神、イサクの神」となられました。
神は、イサクの息子ヤコブを相続人として選ばれました。
弟のヤコブは、兄のエサウから長子の権利を買ってアブラハムの契約(カナンの地)を受け継ぎ、また、兄になりすまして、視力を失った老年の父イサクからアブラハムの祝福を相続しました。
ヤコブは、神と戦い、人と戦って勝利し、先祖の契約と祝福とを手に入れたのです。
アブラハムの神は、ヤコブに現われて仰せられました。
「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である。わたしはあなた(ヤコブ)が横たわっているこの地(カナンの地)を、あなたとあなたの子孫(ヤコブとヤコブの子孫〈イスラエル〉)とに与える。
あなたの子孫(イスラエル)は地の塵のように多くなり、あなたは、西、東、北、南へと広がり、地上のすべての民族は、あなたとあなたの子孫(アブラハムの契約を受け継ぐヤコブとイスラエル)によって祝福される。
見よ。わたし(全能の神)はあなた(イスラエル)とともにあり、あなたがどこへ行っても、あなたを守り、あなたをこの地(カナンの地)に連れ戻そう。わたしは、あなた(ユダヤ民族の父ヤコブ)に約束したことを成し遂げるまで、決してあなた(ヤコブの子孫〈ユダヤ民族〉)を捨てない。」(創世記28:13-15)
「アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神」は、レビの子モーセに現われ、エジプトの奴隷であったヤコブの子孫〈ユダヤ民族〉を、四百年間の奴隷の家であったエジプトから救い出されました。
アブラハム、イサク、ヤコブと契約を結ぶ全能の神は、エジプトを懲らしめ、神が契約を結ばれたアブラハム、イサク、ヤコブの子孫「イスラエル」を、エジプトの手から救い出されました。
神は、イスラエルを荒野に導き、モーセを通して契約を結び、イスラエルを御自分の民とされました。
ヤコブの子孫ユダヤ民族は、神の民としてほかの民族と聖別されて、神の律法を受けました。神のことば「聖書」はイスラエルにゆだねられました。
ヤコブの子孫は「イスラエル民族」となり、全能の神、アブラハムの神は「イスラエルの神」となられました。
ノアを水の滅びから救い出された全能の神、主は、「セムの神」と呼ばれ、また、「アブラハムの神」と呼ばれました。
「アブラハムの神」は、寄留者であったアブラハムの子孫を四百年の間奴隷として苦しめたエジプトの手からアブラハムの子孫救い出すために、モーセに現われたとき、御自身を「わたしは、あなたの父の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。」と仰せられました。
アブラハムに現われた「全能の神」は、「アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神」と名乗られ、また、ヤコブの子孫モーセを通して、御自身みずから「イスラエルの神」と名乗られました。
アブラハムの神は、「イスラエルの神」となられ、アブラハムの子孫は、「イスラエル」となったのです。
ノアとノアの家族を大水の滅びから救い出された全能の神、主は、次には、火の滅びを定めておられます。
「(ノアの)当時の世界は、その水により、洪水におおわれて滅びました。
しかし、今の天と地は、同じみことばによって、火に焼かれるためにとっておかれ、(神を恐れず神を信じない)不敬虔な者どもの裁きと滅びの日(千年王国の終わり)まで、保たれているのです。」(ペテロ第二3:6,7)
「主の日は、盗人のようにやって来ます。
その日には、天は大きな響きをたてて消えうせ、天の万象(天体のすべて)は焼けてくずれ去り、地と地のいろいろなわざは焼き尽くされます。(地上でなされた人間のわざは跡形もなくなり、また、天の万象は焼け溶けてしまいます)」(ペテロ第二3:10)
神は、天の万象が焼け溶けてしまう火の滅びから救い出すために、「イスラエル」を造られました。彼らは御救いのために造られた神の民です。
水の滅びから救い出すために、神は、ノアに箱舟を造らせました。
火の滅びから救い出すために、神は、とこしえのイスラエルを造られます。
神は、血肉のアブラハムの子孫を、「神の民イスラエル」として聖別されました。
神は、血肉のイスラエルに、御自身のひとり子(神の御子イエス・キリスト)を遣わして、神が契約を結ぶイスラエルを火の滅びから救い出すために、神の御子イエス・キリストの御名による聖霊のバプテスマと火のバプテスマを施されます。
神は、「神の御子イエス・キリスト」と、キリストの名によって与える「真理の御霊」によって、永遠のいのちを得させられる「とこしえのイスラエル」を新しく創造されます。
今度の裁きは、大水ではなく、天と地を燃やす火によります。人は、火をくぐり抜けて救われるのです。
肉のイスラエルのままでは、火に焼け溶けてしまいます。
神は、「神の子羊イエスの血」によって「罪の贖われたもの」とし、また、「キリストの御霊」を与えることで、肉に死んで御霊によって生きる「新しい人を創造」されます。
「新しい人」は、永遠のいのちを得させられ、火に強い復活のからだを着る人です。新しい人は、「とこしえのイスラエル(永遠のいのちを得させられ、永遠に生きるイスラエルの王イエス・キリストの国民)」です。
大水の滅びから救い出されたノアは、水で洗われた地上に住みました。
しかし、火の滅びは、天の万象を焼き尽くします。もはや、地もなく、天もないのです。火の滅びから救い出される「とこしえのイスラエル」には、正義の住む「新しい天と新しい地」が用意されます。
ノアが箱舟に入って、大水の滅びから救い出されたように、神の御救いの約束のあるイスラエルは、神の御子イエス・キリストの御霊によって「新しいイスラエル」に造り変えられて、火の滅びから救い出されます。
この新しいイスラエルは、「とこしえのイスラエル」です。永遠のいのちを得させられて、復活のからだを着る神の子どもたちです。
神の子どもたちの住む所は、神の御子イエス・キリストと同じ「天の御国」です。神の子どもたちは、父なる神のおられるところに住まうのです。
彼らのうちには、キリストがお授けになったキリストの御霊がおられます。彼らは御霊によって、神の子羊イエスの父を「アバ、父。」と呼ぶ、キリストの兄弟姉妹なのです。
神は、ノアの家を「救いの家」とされました。
神は、とこしえのイスラエルを「救いの家」とされるのです。
とこしえのイスラエルには、二種類のイスラエルがいます。アブラハムの血肉の子孫のイスラエルと、アブラハムの信仰の子孫のイスラエルです。
アブラハムの血肉の子孫は、契約による選びの民です。しかし、神が遣わされたキリスト、すなわち、神の御子イエス・キリストの新しい創造を受けなければ、永遠のいのちを得ることはできません。
アブラハムの信仰の子孫は、神の御子イエス・キリストと御霊によって新しい創造を受けて、異邦人の中から救われ「新しいイスラエル」に加えられた人々です。彼らは、アブラハムの契約に、信仰によってつぎ合わされます。
血肉のイスラエルが神の家の実子とするならば、信仰のイスラエルは、信仰によって神の家の養子として迎え入れられた人たちです。
養子である異邦人は、実子のユダヤ民族に高ぶってはなりません。神は、養子の数を満たして彼らを集めたならば、その後、実子であるユダヤ民族のみなを救うことを定めておられるからです。
「奥義とは、イスラエル人の一部がかたくなになったのは(神の御子イエス・キリストに不遜で心を頑なにしているのは)異邦人の完成のなる時までであり、こうして、イスラエルはみな救われる、ということです。」(ローマ11:25,26)