ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

神の祝福はテラとともにあった

 

 「これはテラ(アブラハムの父)の歴史である。

 テラはアブラム(後のアブラハム)、ナホル、ハランを生み、ハランはロトを生んだ。ハランはその父テラの存命中、彼の生まれ故郷であるカルデヤ人のウルで死んだ。

 アブラムとナホルは妻をめとった。アブラムの妻はサライであった。ナホルの妻の名はミルカといって、ハランの娘であった。ハランはミルカの父で、またイスカの父であった。

 (アブラムの妻)サライは不妊の女で、子どもがなかった。

 テラは、その息子アブラムと、ハランの子で自分の孫のロトと、息子のアブラムの妻である嫁のサライとを伴い、彼らはカナンの地に行くために、カルデヤ人のウルからいっしょに出かけた。しかし、彼らは(途中の)カランまで来て、そこ(カランの地)に住みついた。

 テラの一生は二百五年であった。テラはカランで死んだ。」(創世記11:27-32)

 

 アダムからキリストまでの系図の書かれた聖書に、何故か、聖書の中であまり目立たない存在のテラの、子孫の系図が詳しく書かれています。

 

 テラは、神が契約を結んだアブラム(アブラハム)の父です。

 テラは、偶像の地ウルに住んでいました。シュメール文明の栄えた地です。ウルの地で、偶像を作って売る職業を営んでいたようです。とても裕福な人でした。

 異教の神々への信仰が盛んなウルの地で、偶像礼拝者であったようです。

 

 文明の終わりに差し掛かる頃、多くの人々が他の所へ移住していたようです。テラも、息子のアブラムと、亡くなった息子ハランの子である孫のロトと、アブラムの妻であるサライを連れて、カナンの地へと向かいました。

 

 アブラムと妻サライは、ともにテラの子どもで、異母兄妹であることが聖書に書かれています。

 

 ゲラルに滞在中のことです。

 アブラハムは、妻サラの美しさゆえに、夫である自分が殺されてしまうことを恐れて、妻を妹だと偽りました。サラを召し入れたゲラルの王アビメレクの夢に神が現れて、サラはアブラハムの妻であること、そして、サラをアブラハムに返さなければ、必ず死ぬことを告げられました。

 アビメレクは非常に恐れて、アブラハムを呼び、なぜ騙したのかと問い詰めました。

 すると、アブラハムは弁明しました。

 「この地方には、神を恐れることが全くないので、人々が私の妻ゆえに、私を殺すと思ったからです。

 また本当に、あれは私の妹です。あの女(サラ)は私の父(テラ)の娘ですが、私の母の娘ではありません。(異母兄妹です)それが私の妻となったのです。」(創世記20:11,12)

 

 このところを見ると、アブラハムの妻サラの父親は、アブラハムの父テラであることがわかります。すなわち、二人は異母兄妹なのです。

 

 古い時代は一夫一婦制ではなく、一夫多妻制だったので、母親の違う兄妹同士の結婚や、今では罪に定められる近親者同士の結婚が普通になされていたようです。

 

 テラにも複数の妻がいたようです。

 サラの母親とは異なるテラの妻からは、アブラムとナホルとハランの三人の息子が生まれました。

 ハランには娘のミルカと息子のイスカとロトがいました。しかし、ハランは、ウルの地で亡くなり、ハランの父、すなわち、アブラムの父テラは、亡き息子ハランの子ロト(テラの孫)を連れて、アブラムと妻サライを伴って、ウルの地を出たことになります。

 

 アブラムとサライはテラの息子と娘、また、ロトはテラの孫です。また、ロトは、アブラムの甥であり、サラの異母兄弟の子(甥)です。

 テラの息子ナホル(アブラムの弟)は、テラの亡き息子ハランの娘のミルカと結婚しています。アブラムの弟ナホルは、兄弟ハランの娘、すなわち、姪のミルカと結婚しました。

 そして、アブラムの弟ナホルとアブラムの姪(ハランの娘)ミルカとの間に、ベトエルが生まれています。

 

 ベトエルは、アブラハムの甥(アブラハムの兄弟ナホルの子)であり、アブラハムの姪の子(アブラハムの兄弟ハランの娘ミルカの子)に当たります。

 また、サラにとっても、甥であり、異母兄弟の孫(姪の子)ということになります。

 そして、アブラハムの父テラにとっては、孫であり、また、ひ孫ということになります。

 

 カランの地で、父テラが亡くなると、アブラハムは、妻サラと甥のロトを連れて、カナンの地に向かいました。

 

 ウルから出て来たのは、テラとアブラムと孫のロトと、アブラムの妻サライでした。サライは、テラの娘でもあります。

 テラのもうひとりの息子、アブラムの弟のナホルは、姪(兄弟ハランの子)のミルカと結婚し、後からウルから出て、カランの地に移住したようです。アラム・ナハライムのナホルの町は、カランの地ではないかといわれています。

 

 アブラハムと不妊の女サラとの間に、イサクが生まれました。

 イサクの妻は、アブラハムの兄弟(妻サラにとっても血の繋がった兄弟ナホル)の子ベトエルの娘のリベカです。

 

 リベカは、アブラハムにとっても、サラにとっても、兄弟ナホルの子ベトエルの娘であり、甥の娘ということになります。また、兄弟ハランの娘ミルカの孫、すなわち、姪の孫に当たります。

 アブラハムの子イサクの妻リベカは、テラのひ孫(テラの息子ナホルの子ベトエルの娘)であり、テラのやしゃご(テラのひ孫の子、すなわち、テラの息子ハランの娘ミルカの子ベトエルの娘)です。

 

 リベカには、兄ラバンがいました。

 アブラハムと妻サラのひとり息子イサクと、親族(アブラハムとサラの血縁)からめとったイサクの妻リベカの双子の息子のうち、弟のヤコブは、母リベカの兄ラバンの家で、母リベカの兄のふたりの娘レアとラケルを妻としました。

 ヤコブは、従兄妹結婚をしたことになります。

 ヤコブは、アブラハムの孫であり、ヤコブの妻は、アブラハムとサラの兄弟ナホムの孫であり、もうひとりの兄弟ハランのひ孫に当たります。アブラハムの父テラのひ孫であり、やしゃごに当たります。

 

 アブラハムもナホムもハランもテラの子であり、アブラハムの妻サラもまたテラの子です。

 アブラハムとサラのひとり子イサクは、テラの孫です。

 イサクの妻リベカは、テラのひ孫(テラの息子ナホルの子ベトエルの娘)であり、また、テラのやしゃご(テラの息子ハランの娘ミルカの子ベトエルの娘)に当たります。

 

 アブラハムの契約と祝福を相続するアブラハムの子孫ヤコブは、テラのひ孫(テラの息子アブラハムの孫であり、息子ナホルの孫)であり、テラのやしゃご(息子ハランのひ孫)に当たります。

 ユダヤ民族の父ヤコブには、テラの三人の息子アブラム、ナホム、ハランの血が入っているのです。

 

 ヤコブには、二人の妻(伯父ラバンのふたりの娘レアとラケル)と、二人のそばめ(レアの女奴隷のジルパと、ラケルの女奴隷のビルハ)がいます。

 ヤコブは、二人の妻と二人のそばめ、四人の女によって十二人の息子を得ました。ユダヤ民族十二部族の族長です。

 

 レアの子は、ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルンの六人です。

 ラケルの子は、ヨセフとベニヤミンの二人です。

 レアの女奴隷ジルパの子は、ガドとアシェルの二人です。

 ラケルの女奴隷ビルハの子は、ダンとナフタリの二人です。

 

 妻であるレアの子とラケルの子は、純粋なテラの血族です。

 そばめであるジルパとビルハの子は、ほかの血が混じっています。

 

 レアから、ダビデ王を出したユダ族、また、祭司の務めを担うレビ族が出ています。

 ラケルから、十二部族の長子の権利を持つヨセフ族、イスラエルの最初の王サウルを出したベニヤミン族が出ています。

 

 神は、「アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神、主」と名乗られました。

 アブラハムも、イサクも、ヤコブも、また、アブラハムの妻サラも、イサクの妻リベカも、ヤコブの二人の妻レアとラケルも、テラの血族です。

 神の契約は、テラの血統に与えられていると言えるのではないでしょうか。

 

 神は、アブラハムと契約を結ばれましたが、実は、アブラハムの父テラも神に覚えられている人のようです。

 それゆえ、テラの系図が詳しく聖書に記載されています。

 もうひとり、ダビデ王の父も預言に出ています。

 

 「エッサイの根株から新芽(イスラエルの王となるエッサイの息子ダビデ)が生え、その根から若枝(「ダビデの子」と呼ばれるキリスト)が出て実を結ぶ。(キリストにあって、イスラエルの使命は全うされる。イスラエルは、全地における祭司の国民であり、地上のすべての民族は、ユダヤ人から出るキリストによって祝福される。アブラハムの契約、すなわち、アブラハムの子孫イスラエルに約束されたことはことごとく、このキリスト〈神の御子〉にあって成就する)

 その上に(「ダビデの子」神の御子イエス・キリストの上に)、主の霊が留まる。」(イザヤ11:1、2)

 

 神は、ダビデをエッサイの子と呼ばれました。ダビデの父エッサイも、神に覚えられた人なのです。

 

 世を水で滅ぼす時、神はノアに箱舟を造るように命じられました。ノアの信仰によって、ノアの家族は救われたように思いますが、「ノアの神」とは呼ばれていません。

 聖書には、「セムの神」と書かれています。

 そして、セムの系図から、アブラハムが生まれています。

 信仰の継承に、ノアの子セムにスポットライトが当たっています。神の御計画は、セムの子孫アブラハムにあるからです。

 

 そのように、アブラハムの選びの土台には、父テラの信仰があったように思います。

 御救いは、テラの血統によって完成されるのです。

 

 アブラハムには、妻サラの子イサク以外に、女奴隷エジプト人のハガルの子イシュマエルと、そばめケトラに生まれた六人の息子がいます。

 イシュマエルは、母ハガルの国エジプトから妻を迎えました。

 イサクの子ヤコブには双子の兄エサウがいます。エサウはヘテ人の娘をめとりました。カナンの地の住民です。エサウは、カナンの娘たちが父イサクに気に入らないのを知ると、イサクの異母兄弟のイシュマエルの娘(エジプト人の女から生まれた娘)をめとりました。

 

 イシュマエルも、エサウも、アブラハムの子孫から外されています。アブラハムの血肉の子孫ですが、神は彼らを、「アブラハムの子孫」とは呼ばれません。

 神は、「イサクの子が、アブラハムの子孫と呼ばれる。」と仰せられました。

 また、イサクから出た双子の男の子について仰せられます。

 「エサウはヤコブの兄ではなかったか。

 ―主の御告げ。―

 わたしは(神に心を向け、神のものを得ようと、人と戦い神と戦って、信仰の勝利を得る)ヤコブを愛した。

 わたしは(神に対しての求めもなく、この世のことでいっぱいの)エサウを憎み、彼の山を荒れ果てた地とし、彼の継いだ地を荒野のジャッカルのものとした。(エサウは、正しく管理する能力も知恵もなく、管理されない彼の地は荒地となり、まことの価値を悟ることのない愚か者である)」(マラキ1:2、3)

 

 神は、テラの血筋を重んじておられるようです。

 神が選ばれる者の父もまた、神に選ばれた者なのでしょう。

 

 神は、モーセと契約を結ばれました。神は、イスラエルに、祝福と呪いを置かれました。神に聞き従うならば、祝福を、従わず背くならば、呪いを用意されたのです。

 

 そして、ゲリジム山を祝福の山、エバル山を呪いの山とされました。

 祝福の山ゲリジム山には、民を祝福するために、レアの子シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ラケルの子ヨセフとベニヤミンを立たせられます。

 エバル山には、呪いのために、レアの子ルベンとゼブルン、レアの女奴隷ジルパの子ガドとアシェル、ラケルの女奴隷ビルハの子ダンとナフタリを立たせられます。

 

 テラの血統に固められたレアの子とラケルの子が祝福の山に立ちます。

 「アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神、主」と仰せられるイスラエルの神は、テラの血族を誇らしく思っておられるようです。