ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

約束によって救いを得るユダヤ人 信仰によってユダヤ人と同じ国民となる異邦人

 

 さばきつかさが治めていた頃、(まだ、王のいなかったイスラエル)の地に飢饉があり、ユダのベツレヘムのエリメレクと妻ナオミと、ふたりの息子マフロンとキルヨンの四人は、モアブの野へ行き、約十年の間、そこに滞在しました。

 その滞在中に、夫エリメレクは死に、ふたりの息子はモアブ人の娘を妻に迎えました。しかし、ふたりの息子も死んでしまいました。

 

 神の約束の地ユダヤ人の地を離れ、モアブ人の地に立ち退いたエリメレクの四人の家族は、妻ナオミひとりとなり、残ったのは、死んだふたりの息子の妻モアブ人のオルパとルツのふたりです。

 

 カナンの地の飢饉が去ったことを聞いて、傷心のナオミは、ユダの地へ戻るため帰途につきました。

 二人の嫁は、ナオミを愛していました。ナオミといっしょにいたかったのです。

 しかし、ナオミは、若い二人の嫁の将来を案じて、それぞれ自分の家へ帰って、それぞれ新しい夫を持ち、平和な暮らしができるようにと願いました。

 

 亡き二男の嫁オルパは声をあげて泣き、ナオミに別れの口づけをしましたが、亡き長男の嫁ルツは、ナオミにすがりついて離れませんでした。

 ルツは言いました。

 「あなた(姑のナオミ)を捨て、あなたから別れて帰るように、私にしむけないでください。あなたの行かれる所へ私も行き、あなたの住まれる所に私も住みます。あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です。(モアブ人のルツは、自分の母の家を捨てて、ユダヤ人の義母ナオミの娘になることを選びました。ルツは、ナオミとともにおられるユダヤ人の神をも愛していたのです。ルツは、モアブ人であることを捨てて、ナオミの民族ユダヤ人の間に住むことを選び、モアブの神々を捨てて、ナオミの神、イスラエルの神の民となることを選びました)

 あなた(ユダヤ人ナオミ)の死なれる所で私(モアブ人ルツ)は死に、そこ(ナオミが葬られるユダの地)に葬られたいのです。もし死によっても私があなたから離れるようなことがあったら、主(天地万物を造られた全能の神)が幾重にも(ユダヤ人のナオミから心を離した)私(モアブ人ルツ)を罰してくださるように。」(ルツ1:16,17)

 

 ルツの決意は固いものでした。

 モアブの家を捨て、モアブの家族を捨て、ユダヤ人のナオミとナオミの神、すなわち、イスラエルの神の覆いに入ったのです。

 

 ナオミがベツレヘムの地に着くと、町中はナオミのことで騒ぎ出しました。しかし、夫とふたりの息子に先立たれたナオミは、全能者がつらいめに会わされ卑しい者とされたことを告げました。

 

 モアブの娘ルツは、イスラエルの神の規定に従って、姑ナオミを養うために、落穂拾いに出かけました。朝からずっと働くルツに、畑の所有者のボアズは「ほかの畑に落穂拾いに行ったり、ここから出て行ったりしてはいけない。」と優しく声をかけて、また、畑で働く若者たちに、落穂拾いしているモアブ人のルツのじゃまをしてはいけない、と命じ、のどが渇いたら、若者たちの汲んだ水を飲みなさいと、言いました。

 外国人のルツがいじめられないように、取り計らってくれたのです。

 

 ルツは、顔を伏せ、地面にひれ伏して、ボアズに言いました。

 「私(ルツ)が外国人(モアブ人)であるのを知りながら、どうして親切にしてくいださるのですか。」(ルツ2:10)

 

 ボアズは、モアブの家、モアブの神々を捨てて、姑ナオミについて来て、ユダヤ人の家にはいり、イスラエルの神を自分の神としているモアブ人ルツの噂を聞いていたのです。

 

 モアブは、ルツに言いました。

 「主があなた(ルツ)のしたことに報いてくださるように。また、(外国人の)あなたがその翼の下に避け所を求めて来たイスラエルの神、主から、豊かな報いがあるように。」(ルツ2:12)

 

 ボアズは、エリメレクの親類であり、エリメレクの畑を買い戻す権利を持つひとりでした。

 エリメレクの土地を買い戻すときには、死んだ者の名をその相続地に起こすために、死んだ者の妻であったモアブの女ルツも買わなければなりません。

 ボアズよりも近い関係の買い戻しの権利のある親類は、外国人のルツをも買い戻さなければならないのなら、買い戻すことはできない、と言いました。そして、買い戻しの権利を、ボアズに譲渡したので、ボアズがルツを買い戻しました。

 

 ボアズはルツをめとり、モアブ人ルツは、ユダヤ人ボアズの妻となりました。そして、ひとりの男の子を産むと、ナオミはその子をとり、胸に抱いて、養い育てました。

 近所の女たちは、「ナオミに男の子が生まれた。」と言って、その子をオベデと呼びました。

 

 オベデは、ダビデ王の父エッサイの父です。モアブ人ルツが産んだオベデは、イスラエルの王ダビデの祖父となったのです。

 

 ユダヤ民族の父ヤコブは、アブラハムの父テラの血縁を色濃く受け継ぐ者です。

 アブラハムと、アブラハムの妻サラは、テラの息子と娘であり、アブラハムとサラは異母兄妹です。

 アブラハムには、同じ母から生まれたふたりの兄弟がいます。ナホルとハランです。

 ナホルとハランの娘との間にベトエルが生まれ、ベトエルには息子ラバンと娘リベカが生まれました。

 アブラハムとサラのひとり子イサクの妻は、アブラハムの兄弟ナホルとハランの両方の血を引くリベカです。

 イサクとリベカの子ヤコブの妻は、アブラハムの兄弟ナホルとハランの両方の血を引くラバンの娘のレアとラケルです。

 

 神が、アブラハムの子孫と呼ばれるイスラエルは、アブラハム、ナホル、ハラン、サラの父であるテラの血を保有する民族です。テラ一族です。テラの息子アブラハムと、アブラハムの兄弟であるもうふたりの息子ナホルとハランの子孫と、娘のサラの血を引く、テラの子孫です。

 

 アブラハムが、カランの地を出てカナンの地に入った時、アブラハムの兄弟ハランの息子、すなわち、甥のロトも一緒でした。ロトは、テラの孫です。

 

 ロトは、低地に住みました。罪深いソドムの町が天からの火で焼かれるとき、ロトとロトのふたりの娘は、御使いに手をつかまれてソドムの町から連れ出されました。

 ソドムの町から逃れて入ったツォアルに住むのを恐れた彼らは、ツォアルを出て山のほら穴の中で住みました。

 男の人と出会うことのない娘は、父ロトに酒を飲ませて、お父さんによって子孫を残すことをはかりました。ロトはふたりの娘がしたことを知りませんでした。

 ロトのふたりの娘は、父ロトによって身ごもり、姉はモアブを、妹はベン・アミを産みました。モアブはモアブ人の先祖であり、ベン・アミはアモン人の先祖です。

 

 モアブ人は、テラの息子のハランの息子ロト(アブラハムの甥)の子孫です。

 テラの一族のイスラエルの中に、アブラハムの甥ロトの子孫の血も加わりました。

 ロトの子孫モアブ人ルツはイスラエルの神の覆いに入りました。そして、ユダヤ人の姑ナオミを愛するモアブ人ルツは、なんと、ダビデ王の曾祖母(そうそぼ、ひいおばあさん)となったのです。

 イスラエルの王は、イスラエルの神の御翼の下に避け所を求めて来たモアブ人ルツの血、すなわち、アブラハムの契約を持たない外国人の血の入ったオベデの、孫のダビデであり、ダビデの系図にキリストはお生まれになりました。

 

 天地万物を創造された全能の神、主、イスラエルの神は、ユダヤ人を愛する者、イスラエルの神の御翼の陰に身を避ける者を、喜んで祝福し、豊かに恵んでくださいます。

 

 「神よ。あなたの恵みは、なんと尊いことでしょう。

 人の子らは(恵み深い主の)御翼の陰に身を避けます。」(詩篇36:7)

 

 終わりの時代には、人間は二つの霊に分かれます。

 神に立ち返る「人の子の霊」と、神の御子キリストに逆らう「反キリストの霊」とに分かれます。

 人の子の霊は、キリストのことば(神のことば、真理)に従います。

 反キリストの霊は、獣の霊であり、悪魔の言葉(偽り)に従います。

 

 人の子の頭は、神のことばを語るキリストの霊であり、光の神、いのちの主です。

 獣の子の頭は、神に逆らう反キリストの霊であり、闇の王者、死の悪魔です。

 人の子の霊は上に上り、獣の霊は下に下るのです。

 

 「主はこう仰せられる。

 主は太陽を与えて昼間の光とし、月と星を定めて夜の光とし、

 海をかき立てて波を騒がせる方、

 その名は万軍の主。

 『もし、これらの定めがわたしの前から取り去られるなら(昼間に太陽が光らず、月と星が夜空に暗く、海が波立たず湖のように静かになるなら)、―主の御告げ。―

 イスラエルの子孫も、絶え、いつまでもわたし(主)の前で、一つの民をなすことはできない。』」(エレミヤ31:35,36)

 

 実際、世の初めから、太陽は昼間の光であり、月と星は夜空に光っています。また、海は、波が寄せては返しています。

 それゆえ、神がユダヤ民族に誓われた約束は保たれています。

 ユダヤ民族は、御救いの約束を持つ民族です。

 選びによれば、先祖たち(アブラハムの契約、ヤコブの契約、モーセの契約、ダビデの契約、預言者たちの預言、神の御子キリストの契約)のゆえに、神に愛されている者なのです。

 

 異邦人の完成がなると、イスラエルはみな救われます。

 「救う者がシオンから出て、ヤコブから不敬虔を取り払う。

 これこそ、彼ら(神と契約を持つアブラハムの子孫イスラエル)に与えたわたし(主)の契約である。

 それは、わたし(主)が彼ら(ユダヤ人たち)の罪を取り除く時である。(神がイスラエルの上に神の霊を注ぐと、ユダヤ人たちは我に返って悔い改め、神に立ち返るのです)」(ローマ11:26,27)

 

 ユダヤ民族には、神の御救いの約束があります。

 異邦人は、神の御救いの約束があるユダヤ民族を祝福し、イスラエルの神の御翼の陰に身を避けるならば、報いを受けます。

 

 「イスラエル」とは、信仰によって御救いを得る、信仰の勝利者である神の民の名前です。

 ルツは、愛と信仰によってイスラエルに加えられて、イスラエルの王を生むオベデの母となりました。