アブラハムの契約を受け継いだヤコブには、二人の妻レアとラケル、二人のそばめジルパとビルハとがいました。
ヤコブは、ラケルを愛していました。
姉のレアがきらわれているのを御覧になった主は、レアの胎を開き、ヤコブの子どもを宿らせました。しかし、妹のラケルは不妊の女でした。
「ラケルは自分がヤコブに子を産んでいないのを見て、姉のレアを嫉妬し、(夫)ヤコブに言った。『私(ラケル)に子どもを下さい。でなければ、私は死んでしまいます。』
ヤコブはラケルに怒りを燃やして言った。
『私(夫)が神に代わることができようか。おまえの胎内に子を宿らせないのは神なのだ。』」(創世記30:1,2)
そこで、ラケルは、自分の女奴隷によってヤコブの子どもの母になることを願い、女奴隷ビルハをヤコブに妻として与えました。女奴隷ビルハはみごもり、ヤコブに男の子を産みました。ビルハは、またみごもって、二番目の男の子を産みました。
ヤコブに四人の男の子を産んだレアでしたが、相変わらず、ヤコブの愛は不妊の女のラケルにありました。レアは自分が子を産まなくなったのを見て、自分の女奴隷のジルパを夫ヤコブに妻として与え、ジルパによって子どもをさらに二人得ました。レアの女奴隷は、ヤコブに二人の男の子を産んだのです。
妻レアは、ヤコブに四人の男の子を産みました。
妻レアの女奴隷ジルパは、ヤコブに二人の男の子を産みました。
妻ラケルの女奴隷ビルハは、ヤコブに二人の男の子を産みました。
ヤコブはラケルを愛していました。
レアはラケルと取引してヤコブを得ました。ラケルは、レアの息子のルベンが見つけてきた恋なすびを得るために、夫ヤコブがレアと寝るように計らいました。
神はレアの願いを聞かれたので、レアはみごもり、ヤコブに五番目と六番目の二人の男の子を産みました。その後、レアは、女の子も産みました。
レアも、レアの女奴隷も、ラケルの女奴隷も、ヤコブの子どもを産んでいるのに、ヤコブが最も愛する妻ラケルは不妊の女で、子がありませんでした。
神の契約によりアブラハムの子どもは空の星のようになると、仰せられました。
その時、アブラハムには、ひとりの子どももいませんでした。妻のサラが不妊の女だったからです。その後、妻サラは年老いて閉経し、子をみごもる望みがなくなったときに、神は働かれました。
神は、閉経した八十九歳のサラの胎内に、アブラハムの子どもを宿らせたのです。神は、その子を「イサク」と名づけられました。
神は、無から有を生じさせられる全能の神、主です。人にはできないことでも、神にはできます。神は人知をはるかに超えた偉大なお方です。
神は、アブラハムの契約を受け継ぐ跡取りを、アブラハムの妻サラから生まれるイサクと定めておられました。神はイサクと契約を立てられます。アブラハムに相続地として与えたカナンの土地の約束も、地上の全ての民族の祝福の基となるキリストの誕生も、アブラハムに与えた祝福の約束も、アブラハムとサラのひとり子イサクのものです。
神は仰せられました。
「あなた(アブラハム)の妻サラが、あなたに男の子を産むのだ。あなたはその子をイサク(「笑う」の意)と名づけなさい。わたし(全能の主)は彼(イサク)とわたしの契約(神がアブラハムと立てた契約を継承する相続人の契約)を立て、それを彼(イサク)の後の子孫のために永遠の契約とする。」(創世記17:19)
「イサクから出る者が、あなたの子孫(アブラハムの子孫)と呼ばれるからだ。」(創世記21:12)
イサクが生まれたとき、アブラハムは百歳、サラは九十歳でした。
「サラは言った。
『神は私を笑われました。(九十歳の女が子どもを産んだことを)聞く者はみな、私(九十歳のサラ)に向かって笑うでしょう。』
また彼女は言った。
『だれがアブラハムに、「(不妊の女で年寄りの)サラが子どもに乳を飲ませる。」と告げたでしょう。
ところが(実際に)私(サラ)は、あの年寄り(百歳の夫アブラハム)に子(イサク)を産みました。』」(創世記21:6,7)
神のことばは現実となり、約束の子イサクは生まれ、アブラハムの契約の跡取りとして土地の契約と祝福の契約を相続しました。イサクの子孫は「アブラハムの子孫」と呼ばれるのです。
イサクの妻リベカは不妊の女でした。イサクは自分の妻リベカのために主に祈願しました。主はイサクの祈りに答えられたので、リベカはみごもりました。
リベカの胎内には双子の男の子がいました。神は、二人が胎内にいるときから、弟のヤコブが、父イサクの相続人となることを定めておられました。
弟のヤコブが長子の権利と神の祝福を勝ち取りました。ヤコブは、信仰により、父祖アブラハム、父イサクの契約を勝ち取ったのです。
神は、信仰によって勝ち取ったヤコブを祝福して、「イスラエル」という新しい名前をお与えになりました。イスラエルは、信仰の勝利者である神の民の呼び名となりました。
アブラハムの妻サラは不妊の女でした。しかし、神の御力によって、ひとり子イサクを産みました。
イサクの妻リベカは不妊の女でした。しかし、イサクはリベカのために祈願し、イサクの祈りに答えられた主の御力によって、ヤコブを産みました。神は、弟のヤコブが父祖アブラハムの契約を相続するイサクの子孫と定めておられました。
ヤコブが愛した妻ラケルは、不妊の女でした。
もうひとりの妻レアは、ヤコブに六人の息子を生んでいました。
レアの女奴隷ジルパは、ヤコブに二人の息子を生んでいました。
ラケルの女奴隷ビルハは、ヤコブに二人の息子を生んでいました。
不妊の女ラケルには、子どもがいませんでした。
「神はラケルを覚えておられた。神は彼女(ラケル)の願いを聞き入れて、その胎を開かれた。
彼女(ラケル)はみごもって男の子を産んだ。そして『神は私の汚名を取り去ってくださった。』と言って、その子をヨセフ(「加える」の意)と名づけ、『主がもうひとりの子を私(ラケル)に加えてくださるように。』と言った。」(創世記30:22-24)
神が不妊の女ラケルの胎を開かれたので、ラケルはみごもりました。
ラケルの子どもは、祈りの子です。祈りによって得た子どもです。
イサクは、アブラハムに約束された約束の子です。不妊の女の妻サラの胎に、神が宿されました。
ヤコブは、不妊の女の妻リベカのために祈願した夫イサクの祈りに答え、神がリベカの胎内に宿された子どもです。
ヨセフは、不妊の女のラケルの願いを聞かれた神がラケルの胎を開いてヤコブに産んだ子どもです。長子であったルベン(妻レアの息子)が神と父イサクに罪を犯したために、ラケルの長子であるヨセフに長子の権利が与えられました。それで、ヨセフは、ヤコブの十二人の息子たちの実質の長子となりました。
イサクも、ヤコブも、ヨセフも、普通の人の出生とは異なります。
祈りと深い願いによって不妊の女の胎に宿り、待ち望まれた「生」です。それは、神の働きによるものです。
神は、あえて、不妊の女として、母親の胎を閉じておられました。胎が閉じられた女は、神に祈り求めます。不妊の女にとって、「生」は人間の肉の努力の及ばない神秘的なものとなります。そして、目に見えない大いなる存在に望みを置く女となるのです。
サムエルも不妊の女ハンナから生まれました。
主がハンナの胎を閉じておられた、と聖書にあります。
夫エルカナには、ふたりの妻がありました。もうひとりの妻は、ペニンナと言い、ペニンナには子どもがありましたが、ハンナには子どもがなかったのです。
心の痛むハンナは、主に祈って、激しく泣いて、誓願を立てて言いました。
「万軍の主よ。もし、あなたが、はしための悩みを顧みて、私を心に留め、このはしためを忘れず、このはしために男の子を授けてくださいますなら、私はその子の一生を主におささげします。」(サムエル第一1:11)
主はハンナを心に留められ、ハンナはみごもり、男の子を産みました。そして、「私がこの子を願ったから。」と言って、その名を「サムエル(「神は聞いてくださる」の意)」と呼びました。
そして、神に誓ったとおり、ハンナは、乳離れしたサムエルを連れて主の宮に行き、祭司エリに言いました。
「主は私がお願いしたとおり、私の願いをかなえてくださいました。それで私もまた、この子を主にお渡しいたします。この子(サムエル)は一生涯、主に渡されたものです。」(サムエル第一1:27,28)
幼子サムエルは、祭司エリのもとで主に仕えました。
このサムエルは、イスラエルの最後の士師であり、偉大な預言者であり、霊的リーダーです。最初の王ベニヤミン族のサウル王に油を注いだ預言者であり、神がサウル王を退けられた後に、ユダ族のエッサイの息子である羊飼いダビデに「イスラエルの王」の油を注いだ預言者です。
神によって得た子どもは、自分の肉の子どもではありません。神の恵みによって与えられた特別な生命です。その子の存在は、神がおられることと、神が祈りを聞かれる方であることを証ししています。
ヤコブの妻ラケルは、ヨセフが生まれたとき、もうひとりの子を加えてくださるように、と祈りました。
長い間待ち望んだ初子です。ラケルは、ひとり子で満足せず、もうひとりの子を加えてくださるように、「ヨセフ(「加える」の意)」と呼んだのでした。
神は、この願いを聞き入れて、ラケルにもうひとりの子ベニヤミンをお与えになりました。
ヨセフはヤコブの十一番目の息子ですが、十二部族の中で長子の権利を持つ部族となりました。ユダヤ民族の長子の名前は「加える(ヨセフ)」です。
このことは、アブラハムの血肉の子孫ユダヤ人に、アブラハムの信仰の子孫である異邦人をも、アブラハムの契約の中に加えてくださることのひな型のように思います。
神は、ヤコブの子孫イスラエル、すなわち、ユダヤ人から出たキリスト、神の御子である神の子羊イエス・キリストが治めるとこしえの神の民の中に、信仰の勝利者である異邦人を加えられるのです。
こうして、神がアブラハムに約束された約束は成就します。
「あなた(アブラハム)の子孫は、その敵の門を勝ち取るであろう。(死と滅びとに勝利するであろう)あなたの子孫(ダビデの子、神の子羊イエス・キリスト)によって、地のすべての国々は祝福(異邦人も信仰の勝利によって心の割礼を得、「永遠のいのち」)を受けるようになる。」(創世記22:17,18)