ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

創世記三十一章 アブラハムの神ナホルの神がわれわれの間をさばかれますように

 

 ヤコブは、二十年間、母リベカの兄ラバンに仕えました。

 十四年間は伯父ラバンのふたりの娘レアとラケルを妻とするために、六年間はラバンの家畜、羊とやぎの群れのために仕えました。

 それなのに、ラバンは甥のヤコブを欺き、ヤコブの報酬を幾度も変えました。しかし、ヤコブの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神がヤコブとともにおられたので、神は、ラバンがヤコブに害を加えるようにはされませんでした。

 

 ヤコブは、ラバンの息子たちが、「ヤコブはわれわれの父ラバンのものをみな取った。(ヤコブは)父の物で(ヤコブの)このすべての富をものにしたのだ。」と言っているのを聞きました。

 また、ヤコブに対するラバンの態度が、以前のようではないのに気づきました。

 このような状況は、その環境から離れる時が近づいていることを告げる神のサインのようです。ヤコブの居場所が失われつつあるのです。

 

 「主はヤコブに仰せられた。

 『あなた(ヤコブ)が生まれた、あなたの先祖の国(神が父祖アブラハムにお与えになったカナンの地)に帰りなさい。わたし(主)はあなた(ヤコブ)とともにいる。』」(創世記31:3)

 ヤコブが、カナンの地に連れ戻される時が来たのです。

 

 ヤコブは、長子の権利とアブラハムの祝福の契約とを奪い取った弟のヤコブに殺意を燃やす兄のエサウからのがれて母リベカの父の家、ラバンのもとに身を寄せていました。

 母リベカが次のように言ったからです。

 「よく聞きなさい。兄さんのエサウはあなたを殺してうっぷんを晴らそうとしています。

 だからわが子(ヤコブ)よ。今、私(母リベカ)の言うことを聞いて、すぐ立って、カランへ、私の兄ラバンのところへ逃げなさい。

 兄さん(エサウ)の憤りがおさまるまで、しばらくラバンのところにとどまっていなさい。

 兄さんの怒りがおさまり、あなた(ヤコブ)が兄さんにしたことを兄さんが忘れるようになったとき、私は使いをやり、あなたをそこから呼び戻しましょう。一日のうちに、あなたがたふたり(の息子)を失うことなど、どうして私(母)にできましょう。」(創世記27:42-45)

 

 ヤコブは、親族から妻をめとるという名目で、父イサクから祝福を受けて旅立ったのでした。

 イサクはヤコブを呼び寄せ、ヤコブを祝福し、ヤコブに命じて言いました。

 「カナンの地の娘たちの中から妻をめとってはならない。

 さあ、立って、パダン・アラムの、おまえの母の父ベトエルの家に行き、そこで母の兄ラバンの娘たちの中から妻をめとりなさい。

 全能の神がおまえを祝福し、多くの子どもを与え、おまえをふえさせてくださるように。そして、おまえが多くの民のつどいとなるように。(地上のすべての民族の祝福となるように)

 神はアブラハムの祝福を、おまえ(ヤコブ)と、おまえとともにいるおまえの子孫(イスラエル)とに授け、神がアブラハムに下さった地、おまえがいま寄留しているこの地(カナンの地)を継がせてくださるように。」(創世記28:1-4)

 

 イサクの祝福を受けて旅立ったヤコブでしたが、複雑な心境でした。

 父イサクには知られていませんが、実は、ヤコブのいのちを狙う兄のエサウからのがれるために、ラバンの家に向かうのですから。

 

 アブラハムの兄弟ナホムの子ベトエルの子であるラバンのところに行く途中、一夜を明かした場所で、主はヤコブの夢に現われて仰せられました。

 「わたし(主)はあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である。わたしはあなた(ヤコブ)が横たわっているこの地(カナンの地)を、あなたとあなたの子孫とに与える。

 あなたの子孫は地のちりのように多くなり、あなたは、西、東、北、南へと広がり、地上のすべての民族は、あなたとあなたの子孫によって祝福される。(ヤコブの子孫は、ユダヤ民族十二部族のユダヤ人たちです)

 見よ。わたしはあなたとともにあり、あなたがどこへ行っても、あなたを守り、あなたをこの地(カナンの地)に連れ戻そう。わたし(主)は、あなた(ヤコブ)に約束したことを成し遂げるまで、決してあなたを捨てない。」(創世記28:13-15)

 

 神は、みことばどおり、ヤコブとともにおられました。

 「兄さん(エサウ)の怒りがおさまり、あなた(ヤコブ)が兄さんにしたことを兄さんが忘れるようになったとき、私(母リベカ)は使いをやり、あなたをそこから呼び戻しましょう。」と言った母リベカは、すでに亡くなりました。母がヤコブを呼び戻すことは不可能です。

 

 しかし、主御自身が、ヤコブに仰せられました。

 「あなた(ヤコブ)が生まれた、あなたの先祖の国(カナンの地)に帰りなさい。わたしはあなたとともにいる。」

 カナンの地は、ヤコブが相続した先祖のゆずりの地です。そして、ヤコブがカナン全土を相続するまで、神はヤコブの子孫とともにおられ、決してヤコブを捨てない、と約束しておられます。

 

 神は、ヤコブに約束したことを成し遂げるまで、ヤコブの子孫イスラエルを決して捨てられません。

 そして、カナン全土の相続は、神がイスラエルに遣わされたユダヤ人の王「神の御子イエス・キリスト」によって成就します。

 神の約束は、約四千年の時をかけて、再臨のキリスト、すなわち「イスラエルの王」である神の子羊イエス・キリストによって成就するのでしょう。

 

 その時、ユダヤ人をカナンの地から取り除こう、イスラエルを絶滅しようと力を尽くした民族は、キリストによって滅ぼされます。

 彼らは、神を恐れない人々です。神の御計画に逆らっていきり立ち、神のひとり子も神の民も滅ぼして、神に代わって悪魔を神とする世界をつくろうと画策する悪魔の民、滅びの子らなのです。

 

 さて、ヤコブは、「あなたが生まれた、あなたの先祖の国に帰りなさい。」と仰せられた神のことばに従い、ラバンに内緒にして、ラバンのところから逃げました。

 ヤコブが逃げたことがラバンに知らされると、ラバンはヤコブのあとを追って行き、ギルアデの山地でヤコブに追いつきました。

 しかし神は夜、アラム人ラバンの夢に現われて仰せられました。

 「あなた(ラバン)はヤコブと、事の善悪を論じないように気をつけよ。(「汝慎みて善も悪もヤコブにいうなかれ。」)」(創世記31:24)

 

 ヤコブは、幾度も報酬を変えたラバンを信じていませんでした。ラバンのことです。故郷に帰るというならば、ヤコブの妻となっているラバンの娘のレアとラケル、そしてその子どもたちのことで、ヤコブにどんな枷をかけることでしょう。

 

 しかし、神御自身がラバンに現われて、ヤコブに枷をかけることを禁じられたのです。ヤコブのものはヤコブのものです。ヤコブの妻たちも子どもたちも、家畜の群れも連れて故郷に帰ります。

 十四年間、ふたりの妻を得るためにラバンに仕えたあとで、故郷に帰らせてくださいと申し出たヤコブを引き止め、さらに六年間仕えさせたラバンです。

 

 ラバンは知っていました。ラバンは、ヤコブのおかげで、主がラバンの家を祝福しておられることを、まじないで知っていたのです。

 その主が、ラバンの夢に現われて、ヤコブと争ってはならない、と命じられたのです。

 

 ラバンはヤコブに言いました。

 「さあ、今、私とあなたと契約を結び、それを私(ラバン)とあなた(ヤコブ)との間の証拠としよう。」(創世記31:44)

 

 それで、石塚を作り、互いに目が届かなくても、主が互いの間の見張りをされるように、そして、神が私(ラバン)とあなた(ヤコブ)との間の証人であることをわきまえているように、と命じました。

 そして、ラバンは、ヤコブに言いました。

 「この石塚が証拠であり、この石の柱が証拠である。

 敵意をもって、この石塚を越えてあなたのところに行くことはない。あなた(ヤコブ)もまた、この石塚やこの石の柱を越えて私(ラバン)のところに来てはならない。

 どうかアブラハムの神、ナホルの神(ナホルはアブラハムの兄弟であり、ラバンの祖父である)―彼らの父祖の神(すなわち、アブラハムとナホルの父テラの神であり、先祖セムの神―が、われわれの間をさばかれますように。」(創世記31;52,53)

 

 ヤコブは山で生贄をささげ、ラバン一族を招いて食事を共にしました。翌朝早く、ラバンは、彼ら(ヤコブ一族)を祝福して、自分の家に帰りました。

 共に食事をすることは、和解を意味します。ヤコブとラバンは和解し、互いを祝福して分かれました。

 

 ラバン一族は石の柱の誓いにより、ヤコブに敵意をもって近づくことはないでしょう。なぜならば、神が裁かれるからです。

 アブラハムの神とナホルの神は、同一の神です。おひとりの神、セムの神に不和はありません。

 おそらく、この誓いを結ぶ遺伝子を持つアラム人の子孫(ラバンの子孫)は、イスラエルに敵対しない人たちでしょう。

 

 中東の中で、この遺伝子を持つ人たちは、イスラエルと争うことなく、神は、神の御救いの中に招いておられるでしょう。