ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

カナンの地に建てられる神の国

 

 神は、アブラハムに誓われました。

 「わたし(神)は、あなた(アブラハム)の子孫をおびただしくふやし、あなたを幾つかの国民とする。あなたから、王たちが出て来よう。

 わたし(神)は、わたしの契約を、わたしとあなたとの間に、そしてあなたの後の子孫(すなわち、イスラエル)との間に、代々にわたる永遠の契約として立てる。わたしがあなたの神、あなたの後の子孫の神となるためである。(アブラハム、イサク、ヤコブの神は、後に「イスラエルの神」と名乗られます。)

 わたしは、あなたが滞在している地、すなわちカナンの全土を、あなたとあなたの後のあなたの子孫に永遠の所有として与える。

 ついで、神はアブラハムに仰せられた。

 『あなたは、あなたの後のあなたの子孫とともに、代々にわたり、わたしの契約を守らなければならない。

 次のことが、わたしとあなたがたと、またあなたの後のあなたの子孫との間で、あなたがた(アブラハム一族)が守るべきわたしの契約である。あなたがたの中のすべての男子は割礼を受けなさい。 

 あなたがたは、あなたがたの包皮の肉を切り捨てなさい。それが、わたし(神)とあなたがた(神の契約の民)の間の契約のしるしである。』」(創世記17:6-11)

 

 アブラハムの子孫は、割礼のしるしを受け継ぎました。それゆえ、イシュマエルの子孫(アラブ人)も、イサクの子孫(ユダヤ人)もエサウの子孫(アラブ人)も割礼を施します。

 

 神は、アブラハムの子孫をおびただしく増やし、幾つかの国民とされました。アラブ人の住む国は、中東に幾つも存在しています。神は約束を守られました。

 

 神は仰せられました。

 「イサクから出る者が、あなたの子孫(アブラハムの契約を受け継ぐ、アブラハムの子孫)と呼ばれる。」(創世記21:12)

 

 アブラハムが契約のしるしの割礼を受けたのは九十九歳の時、女奴隷のエジプト人ハガルから生まれたアラブ人の父祖イシュマエルが割礼を受けたのは十三歳の時でした。イシュマエルは、まだ契約のしるしのなかった父アブラムの子です。

 

 イサクは、妻サラのひとり子で、契約のしるしを持つ父アブラハムから生まれており、生まれて八日目に割礼を受けました。イサクは、神の契約の中で、契約によって生まれた、アブラハムの跡取りでした。

 神は、イサクをアブラハムの相続人であるとして「アブラハムの子孫」と呼ばれます。アブラハムに子どもが多くても、アブラハムの契約と祝福を相続する子は、妻サラのひとり子、一人なのです。

 この跡取りのイサクから生まれた相続人はヤコブであり、そして、ヤコブを父とするユダヤ民族です。ユダヤ民族は、イスラエル国民となりました。

 

 神は、アブラハムの所有としてお与えになったカナンの地を、アブラハムの子孫、すなわちイスラエルに、永遠の所有として与える、と誓われました。

 神の御前では、カナンの地はイスラエルのものなのです。このことは、人間が決めた事ではありません。神御自身がお定めになっておられるのです。

 

 神がアブラハムの所有としてお与えになったカナンの地は、エジプトの川から、ユーフラテス川まで、とあります。

 現在の地図で見ると、北はトルコ、シリア、イラクの一部分と、東はクウェート、サウジアラビアの一部分、南はエジプトの一部分と、レバノン、ヨルダン、パレスチナ自治区、イスラエルの広範囲をさすようです。

 

 しかし、現在、イスラエルは、日本の四国ほどの面積の土地しか得ていません。このことによって、神のみことばが実現しているとは言えない結果となっています。

 

 イスラエルが所有している土地の85倍以上の土地をアラブ系の人々に占領されています。「アブラハムの子孫」と神がお呼びにならない、アブラハムの子らが住んでいることになります。

 

 それに飽き足らず、相続人のイスラエルに許されたわずかな土地をも、神がお定めになったアブラハムの契約と祝福を相続する「アブラハムの子孫」から奪い取ろうとしています。

 

 神のことばに立つイスラエルは、父祖アブラハムに約束された所有地を相続するために戦っています。

 イスラエルの地には、イスラエルの先祖、アブラハムと妻サラ、イサクと妻リベカ、ヤコブと妻レアの墓があるのです。神が、アブラハムの所有としてお与えになったカナンの土地に契約の民の先祖は、神の約束の成就を夢見て眠っているのです。

 

 アブラハムと契約を結ばれた神は、イスラエルの王ダビデの子のソロモン王が建設した神殿の建っていたエルサレムを住まいとされる、イスラエルの神です。

 

 しかし、現在、イスラム教のモスクが建っています。ローマ帝国によって散らされたユダヤ人が国を失ってから、約六百年後に建てられたようです。

 神から許可されていない者たちが、神の都エルサレムに来て、異教の神の神殿を建てました。

 

 神の御子イエス・キリストの十字架の処刑を執行したローマ帝国は、属州ユダヤの地に、ユダヤ人の国が再建されないように、イスラエルの名を残さないようにしました。

 ユダヤの地を、ペリシテ人を表す「パレスチナ」に改名しました。ローマ帝国が崩壊しても、パレスチナの名は残りましたが、その地に国が建つことはありませんでした。

 

 周囲国のアラブ人たちが所有者不在の空いたパレスチナの地に来て、イスラエルの神の神殿があった神の都エルサレムに、自分たちの神の神殿を建て、空いた土地に住みつきました。

 

 しかし、その土地に国が建つことはなく、だれかの所有とはされませんでした。イスラエルの神が守られたのです。

 民(ユダヤ人)のいなくなった地に、ほかの人々が住むことを許しておられました。 神は、イスラエルに遣わされた神の御子イエス・キリストを信じなかった、不信仰の民を怒り、国を取り上げられたのです。わずかなユダヤ人だけが残っていました。

 

 相続人のユダヤ人が不在となったパレスチナの地は、獣の住む荒地となりました。その廃墟に、ユダヤ人ではない人々が家を建てて住みついたのでした。

 しかし、パレスチナの地に国はなく、国がないので、法律もありません。法的に、だれの所有でもなかったのです。家を建てて住めば自分のものとなると信じる人々が、自分たちの所有を主張するだけです。しかし、契約書もなく、法的に有効ではありません。

 

 1948年に、イスラエルの国が建国しました。長い間(二千年近くもの間)、所有地を離れていた法的な相続人が帰って来たのです。

 

 しかし、そこに住む住民たちは、相続人の存在を認めず、自分たちの所有であると主張します。そして、相続人を絶滅すれば、自分たちのものになると誓って、神御自身が「アブラハムの子孫」と呼ばれるユダヤ人たちを約束の地から取り除こうと、武器をもって向かって来るのです。

 

 世界に散ったユダヤ人たちは諸国で寄留者(在留異国人)として暮らして時が流れ、不信仰で神を怒らせたユダヤ人たちの中にも、神の御子イエス・キリストを救世主と信じるメシアニック・ジューや、ユダヤ人ビリーバーたちが現われ始めると、神の憐れみはユダヤ人に注がれ、ホロコーストという死の苦しみをくぐらせて、世界中の人々にユダヤ人への憐れみを起こされました。

 

 ユダヤ人たちの国を、かつてイスラエル王国が存在していたユダヤ人たちの先祖の地(荒地)に建てることが、国連に承認されたのでした。

 

 パレスチナの地に、イスラエル国家が再建されました。パレスチナの地は、広大な空き地であって、国は存在していなかったのです。それゆえ、パレスチナの地に他民族の国はなく、法律を有する国家は存在していませんでした。

 

 国が存在していたならば、イスラエル国を建てることはあり得なかったでしょう。神は、アブラハムの子孫(イスラエル)に与えた土地を、だれの所有地にもなることのないように、ヤコブの子らのために守っておられたのです。

 

 神は、あらゆる国々からアブラハムの子孫(ユダヤ人)を呼び集めておられます。自分がユダヤ人であることを記憶している人々が、イスラエル国に帰還しています。

 様々な国、様々な言語のユダヤ人たちが先祖の地に帰り、死語となって復活したヘブライ語を話す民になっています。

 

 共通の言語、ヘブライ語を使い、たった一つのユダヤ人の国の国民となって、神の契約の民、すなわちアブラハムの契約を相続する「アブラハムの子孫」としての記憶をよみがえらせています。

 

 周囲の諸国はユダヤ人の国を滅亡させようと心ひとつとなって攻めて来ます。すると、ユダヤ人たちは神がユダヤ人にお与えになった先祖の地を守ろうと応戦します。

 

 様々な言語、様々な国から集められたユダヤ人たちは、この戦いによって、イスラエルの神を意識することとなり、また、ばらばらであった人種のユダヤ人たちのうちには、同胞の意識が芽生えます。

 

 神は、意識においても、ひとつの国民とするために、戦いを許しておられるのかもしれません。

 およそ二千年間、互いに存在を知らなかったユダヤ人が、神に与えられた土地という共通の意識を持つことで、また、敵と戦うことで、聖書の預言を成就される神を意識するユダヤ人としてのアイデンティティを芽生えさせて、神への信仰を回復しておられるのかも知れません。

 

 神は、カナンの地に、神の国を立てる御計画をお持ちです。

 ユダヤ人たちにイスラエルの国を与えて預言を実現したことは、御計画のほんの一部分なのです。

 

 ユダヤ人が不信仰を悔い改めて、神に立ち返ること、神への信仰を回復すること、そして、イスラエルの王であられる神の御子イエス・キリストを救い主として受け入れること、まだまだ課題は残っています。

 

 しかし、戦いの中で、世界の国々から集められたユダヤ人たちは、イスラエル人となって行くことでしょう。

 

 神は、ユダヤ人のために、とこしえのイスラエル王国を用意しておられます。

 神は、アブラハムに誓われたのです。

 「カナンの全土を、あなた(アブラハム)とあなたの後のあなたの子孫(すなわちイスラエルであるユダヤ民族)に永遠の所有として与える。わたしは、彼らの神となる。」(創世記17:8)

 

 キリストは、イスラエルにお与えになったカナンの全土を、敵から取り返されます。神は、現在のイスラエル国ではなく、エジプトの川からユーフラテス川までのカナンの全土をお与えになるのです。

 

 神の御前には、神の子羊イエス・キリストがイスラエルの王ダビデの王座に着座するイスラエル王国があります。イスラエルの敵を絶滅してカナンの全土を所有する、とこしえのイスラエル王国があるのです。

 

 こうして、ユダヤ人たちは慰められ、キリストに、目の涙をぬぐい取っていただくのです。