ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

約束の相続地

 

 女の子孫に神のひとり子を遣わす計画を持たれた神は、その初めとして正しい信仰のアブラムを選ばれました。そして、神はアブラムと契約を結ばれました。

 

 神が子のいない七十五歳のアブラムに、「父の家を離れ、わたし(神)の示す地へ行け。」と仰せられると、アブラムは不妊の妻サライとともに神に従いました。神に導かれ、アブラムはカナンの地に入りました。

 

 神はアブラムと契約を結んで仰せられました。

 「わたしはあなたの子孫に、この地を与える。エジプトの川から、あの大川、ユーフラテス川まで。ケニ人、ケナズ人、カデモニ人、ヘテ人、ぺリジ人、レファイム人、エモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人を。」(創世記15:18-21)

 

 また、アブラムにお与えになると約束されたカナンの地を相続するアブラムの子孫についても、神は仰せられました。

 「あなたの子孫は、自分たちのものでない国で寄留者となり、彼らは奴隷とされ、四百年の間、苦しめられよう。

 しかし、彼らの仕えるその国民を、わたしがさばき、その後、彼らは多くの財産を持って、そこから出て来るようになる。

 あなた自身は、平安のうちに、あなたの先祖のもとに行き、長寿を全うして葬られよう。

 そして、四代目の者たちが、ここに戻って来る。それはエモリ人の咎が、そのときまでに満ちることはないからである。」(創世記15:13-16)

 

 子どものいないアブラムに、土地を与える契約とその土地を相続する子孫を与える契約をされました。また、アブラムの子孫を大いなる国民とすること、そして、地上のすべての民族は、アブラムの契約によって祝福されること、すなわち、蛇の頭(悪魔)を踏み砕き、世を救うひとりの子孫(キリスト)をアブラハムに与えることを約束されました。

 そのひとりの子孫は、あらゆる国々、あらゆる民族、あらゆる国語の人々を祝福し、世界の祝福の基となる、肉体を持つ神のひとり子キリスト(神の子羊イエス)をさしていました。

 

 神は、アブラムに割礼を命じられ、アブラムとその家の男子はみな、割礼を受けて、神の契約を肉体に記したのでした。

 割礼をもって神との契約に応じたアブラムが九十九歳になったとき、神はアブラムに現われ、アブラムの名をアブラハムとされ、妻サライの名をサラとされました。神は、ふたりを、国々の父、国々の母とされたのでした。

 

 アブラハムにお与えになったカナンの地を相続する約束の子がまだ、サラの胎に宿る前に、サラに子どもがないときに、神は、アブラハムとサラを国々の父、国々の母と呼ばれたのでした。

 

 神はアブラハムに仰せられました。

 「あなたの妻サラが、あなたに男の子を産む。あなたはその子をイサクと名づけなさい。わたしはイサクとわたしの契約を立て、それを彼の後の子孫のために永遠の契約とする。

 わたしは、来年の今頃サラがあなたに産むイサクと、わたしの契約を立てる。」(創世記17:19,21)

 

 神は神のひとり子を地に遣わすために、アブラハムと契約を結び、その子イサクと契約を結び、イサクの子ヤコブと契約を結ばれました。

 アブラハムもサラもイサクも神がつけられた名前を名乗りました。また、アブラハム、イサクの契約を相続するヤコブもまた、神にイスラエルという新しい名前を受けました。それで、ヤコブの十二人の息子は十二部族の族長となりイスラエル民族(ユダヤ民族)となったのです。

 

 神は、アブラハムに与えると仰せられたカナンの地をアブラハムの子孫のものとする約束について、証言されました。アブラハムの子孫が外国の地で寄留者となり、奴隷とされ、四百年の間、苦しめられたあとで、神がその国民をさばき、その後、アブラハムの子孫は多くの財産を持って、そこから出て来て、カナンの地に戻って来る、と仰せられました。

 その四百年の間にカナンの地のエモリ人の咎が満ち、カナン地の住民のすべてが悪い者となったときに、その土地をアブラハムの子孫に渡されるのです。

 

 妻サラが亡くなると、アブラハムはヘテ人から畑地を買い取って、サラを葬りました。この畑地と、その中にある洞穴は、ヘテ人たちから離れてアブラハムの所有となりました。

 アブラハムの契約はイサクに受け継がれ、アブラハムは長寿を全うしてカナンの地のサラの眠る墓地に葬られました。

 

 アブラハムには、正妻サラの子イサクのほかに、二人のそばめの子どもたちがいました。アブラハムのそばめたちの子らには、アブラハムは贈り物を与え、彼の生存中に、彼らを東の方、東方の国にやって、イサクから遠ざけています。そして、アブラハムは自分の全財産を、神が与えると約束されて与えられた約束の子、不妊の妻サラが閉経後に九十歳で産んだ、イサクに与えました。(創世記25:6,5)

 

 アブラハムはイサクにカナンの地の契約を相続させて、そのほかの子どもたちをカナンの地から出していました。

 

 さて、イサクの子ヤコブの時代、ヤコブとその子らはエジプトに下り、寄留者となりました。そして、その後、エジプト人の奴隷とされて、四百年の間、苦しみました。神がアブラハムに仰せられた通りです。

 

 四百年の後、神がモーセを立ててイスラエルを奴隷の家エジプトから連れ上り、神はイスラエルを父祖たちの眠るカナンの地に導き入れられました。

 

 神はイスラエルと契約を結び、神の民とされました。そして、イスラエルの前に祝福と呪いとを置かれました。神に聞き従うならば祝福を、神に背くならば呪いを与えると仰せられたのです。

 

 偶像の神々を慕い、神を捨てると、神はイスラエルを敵に渡し、敵国に捕囚されました。また、神が遣わされたキリストを信じなかった背信のイスラエルを、神は、世界に散らされました。

 

 しかし、神はイスラエルの地に他の国が建てられないように守られました。ローマ帝国は属州としたユダヤの地を、パレスチナと呼びました。イギリスが管理していたパレスチナは、国のない地でした。

 

 ユダヤ人が追い出された地に、アラブ人が住みましたが、国はありませんでした。わずかなユダヤ人は、パレスチナの地に留まり住み続けていました。

 パレスチナという国は、先にも後にも存在しません。パレスチナの地に住むアラブ人とユダヤ人がいるだけです。

 

 国に寄留しているユダヤ人たちを危険分子に思う自国民たちにより、ユダヤ人は世界の国々で抑圧されていました。ユダヤ人を警戒するナチスによって六百万人のユダヤ人が虐殺されると、ユダヤ人の国がないからこのような悲劇が起こる、ユダヤ人のための国をつくろう、ということになり、1948年にユダヤ人の国が、かつてイスラエル王国があり、ユダヤ人の先祖たちが眠る場所、神がアブラハムとアブラハムの子孫に与えると言われた約束の地に、現在のイスラエルの国が建国されました。

 

 ローマ帝国によってパレスチナと改名されていますが、長い間、国が建てられていない荒地でした。イギリスがパレスチナの委任政治を返上したため、国連は所有者のいないパレスチナの地をユダヤ独立国とアラブ独立国に分割して解決しようとしましたが、アラブ人はユダヤ人の国をつくることに反対して国連の決議を受け入れませんでした。

 

 ユダヤ人たちはユダヤ人の国ができると喜び、神の約束の成就(聖書のみことばの実現)に歓喜してパレスチナに帰って来ました。名前はパレスチナですが、イスラエル王国のあった地であり、アブラハム、イサク、ヤコブの墓があり、多くの先祖が眠る地であり、かつて神の神殿があって、神がダビデ王に、イスラエルの王ダビデの王座に着座するとこしえの王を与えると約束された神の都エルサレムのある地です。

 イエス・キリストがお生まれになった国のあった地であり、キリストが十字架で罪の贖いの血を流された国のあった地であり、死から復活されたキリストの墓がある国のあった地です。

 

 神がアブラハムの子孫と呼ばれるイスラエルは、アブラハムが所有するはずのカナンの地の相続者です。長い間所有者の不在であった地に、アブラハムの所有の地を相続する子孫として神が定められたイスラエルが戻り、荒地となっていたその地は、イスラエルの国として生き返りました。

 

 かつて、アブラハムの子イサクが住んでいた時、飢饉がありました。その時、主はイサクに現われて仰せられました。

 「あなたはこの地に、滞在しなさい。わたしはあなたとともにいて、あなたを祝福しよう。それはわたしが、これらの国々をすべて、あなたとあなたの子孫に与えるからだ。こうしてわたしは、あなたの父アブラハムに誓った誓いを果たすのだ。」(創世記26:3,4)

 

 「イサクはその地に種を蒔き、その年に百倍の収穫を見た。主が彼を祝福してくださったのである。」(創世記26:12)

 神は、アブラハムに誓われた誓いの地に住むイサクを多くの実りで祝福されました。イサクの収穫を祝福されたイサクの神は、イサクの子孫イスラエルが神の契約を信じて先祖の地に戻ったことを祝福されて、パレスチナの砂漠色の乾いた不毛の地を緑豊かなイスラエルの地とされ、多くの収穫を与えてユダヤ人を養い、他国へ輸出する豊かな産物の国とされました。

 

 しかし、現状は厳しいです。パレスチナに住むアラブ人がユダヤ人の国を認めず、攻撃し続けます。イスラエルは多くのテロの被害の対処として、長い壁を作りました。その壁によって、テロを十分の一に減らすことができました。

 

 ユダヤ独立国を認めず、国連の決議を受け入れないアラブ人は、国を持つことなく、パレスチナ自治区を所有しています。

 

 もし日本人が日本国以外の場所に住みついて、その土地に居られなくなった場合、日本国に引き揚げると思いますが、パレスチナのアラブ人は、周囲に幾つかのアラブ人の国があるのに国の無い難民となっています。

 

 シオニストと呼ばれるユダヤ人は、聖書の約束を信じていて、イスラエル王国の国土をユダヤ人の所有であると主張します。しかし、政治的にとらえるユダヤ人は、国連で認められた国土を守ることに留まります。

 

 信仰によれば、シオニストの方が聖書的ですが、その実現には、時があります。

 エルサレムがアラブ人の支配下に置かれ、平和が得られない今ではありません。

 神がアラブ人の父祖であるイシュマエルに仰せられたことはこうです。

 「彼(イシュマエルとイシュマエルの子孫)は野生のろばのような人となり、その手は、すべての人に逆らい、すべての人の手も、彼に逆らう。彼はすべての兄弟に敵対して住もう。」(創世記16:12)

 

 イシュマエルの子孫(アラブ人)は、互いに争っています。互いに敵対する彼らが一つになるのは、イシュマエルの異母兄弟イサクの子孫イスラエルを敵とするときだけです。

 

 約束の相続地は、神が与えてくださるものです。

 その時が来れば(アラブ人の咎が満ち、すべての者が悪い者となったとき)、神が万軍の主キリスト・イエスを送り、すべての敵を滅ぼし、アブラハムと契約を結ばれたエジプトの川からユーフラテス川までの広大な相続地を、約束どおり、アブラハムの子孫イスラエルにお与えになるのです。