神である主は、子のないアブラハムに子孫を与える約束をされました。そして、「さあ、天を見上げなさい。星を数えることができるなら、それを数えなさい。あなたの子孫はこのようになる。」と仰せられました。
七十五歳で、不妊の妻サラが六十五歳のアブラハムは、主を信じました。主はそれを彼の義と認められました。
「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしの示す地へ行きなさい。
そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたの名は祝福となる。
あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたを呪う者をわたしは呪う。
地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。」（創世記１２：１－３）
主に語られ、主のことばに従い、妻とともに故郷を離れ、神の導かれるまま、カナンの地に入ったアブラハム。
しかし、アブラハムには、まだ子どもがいませんでした。しかし、主のことばを信じてカナンの地に入ったアブラハムは、子孫の約束も信じました。
アブラハムは、主への信仰によって、主の用意された祝福を受けた、信仰の父です。
初めに神のことばがあり、神である主を信じて従ったアブラハム。神に聞き従うアブラハムの歩みに、祝福を与えられるのは主です。
アブラハムは、子孫に受け継がせるカナンの地を所有することができるのでしょうか。カナンの地には、ケ二人、ケナズ人、カデモニ人、ヘテ人、ペリジ人、レファイム人、エモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人が住んでいます。（創世記１５：１９－２１）
すると、主はアブラハムに仰せられました。
「わたしは、あなたが滞在している地、すなわちカナンの地の全土を、あなたとあなたの後のあなたの子孫に永遠の所有として与える。わたしは、彼らの神となる。」（創世記１７：８）
「あなたの子孫は、自分たちのものでない国で寄留者となり、彼らは奴隷とされ、四百年の間、苦しめられよう。
しかし、彼らの仕えるその国民を、わたしが裁き、その後、彼らは多くの財産を持って、そこから出て来るようになる。
あなた自身は、平安のうちに、あなたの先祖のもとに行き、長寿を全うして葬られよう。そして、四代目の者たちが、ここに戻って来る。それはエモリ人の咎が、そのときまでに満ちることがないからである。」（創世記１５：１３－１６）
子どものないアブラハムに、土地のことを語られました。神がアブラハムに与えられるカナンの地は、他国で四百年の間奴隷となって苦しめられたアブラハムの子孫が相続することを約束されたのです。
アブラハムは生きてカナンの地を所有することはありませんでした。所有したのは、亡き妻サラのために購入した墓地だけです。星の数ほどの子孫を見ることもありませんでした。しかし、アブラハムは、信じました。
神のことばに聞き従って父の家を離れたアブラハムを、カナンの地に導き入れられた主は、アブラハムが世を去ったあとに、ことばを成就しておられます。
永遠に生きておられる主が、アブラハムにお与えになった契約の保証です。主は、語られたことばを実現されます。
アブラハムの契約は、妻サラのひとり子イサクの燔祭（アブラハムはイサクを主に献げた）により、アブラハムからイサクに受け継がれました。
神は、アブラハムに与えた祝福の約束を、妻サラが九十歳で産んだイサクに相続させられました。妻サラが死に、息子イサクに妻リベカを迎えると、アブラハムはもうひとりの妻ケトラをめとり、六人の息子を生みました。アブラハムは、自分の全財産を、神の契約を相続したイサクに与え、平安な老年を迎え、長寿を全うして息絶えて死に、妻サラ（多くの国民の母）の眠る墓に葬られました。
アブラハムが受けた神の契約を相続したのは、妻サラの子イサクでした。イサクの子ヤコブの十二人の息子とその子孫は、外国の地エジプトで四百年の間奴隷として苦しみました。
神は、ヤコブの子孫が仕えるエジプトの国民を裁き、エジプトがヤコブの子孫に好意を持つようにされたので、ヤコブの子孫（イスラエル）は、エジプトから銀の飾り、金の飾り、着物をはぎ取って出て来ました。
四百年の間奴隷であったアブラハムの子孫ユダヤ民族は、まさしく、神がアブラハムの所有としてお与えになった土地の契約を受け継ぐ、アブラハムの子孫です。
神は、アブラハムの子孫を奴隷の家エジプトの地から連れ出し、荒野でアブラハムの子孫ユダヤ民族（イスラエル）と契約を結ばれました。
アブラハムの割礼の契約に加え、守るべき神の律法をお与えになりました。こうして、アブラハムの子孫は、神に仕える国民となったのです。
神は、アブラハムの子孫、イサクの子ヤコブの子孫を神に仕える祭司の国民イスラエルとし、御自身を「イスラエルの神」と名乗られました。
神は、イスラエルに約束されました。それは、先祖アブラハムに約束された祝福です。
「あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたを呪う者をわたしは呪う。地上のすべての国民は、あなたによって祝福される。」
そして、イスラエルに、エモリ人の咎が満ちたカナンの地を所有させられました。
アブラハムの契約と祝福を相続したイスラエルは、地上のすべての国民を祝福される救世主（キリスト）を生みました。
神の祭司の国民イスラエルは、神が天から遣わされた神の子羊イエスを十字架で屠り、罪の贖いの子羊の血を、世に与えました。
地上のすべての国民、すべての民族は、この贖いの子羊イエス・キリストの血によって、罪が赦され、永遠のいのちを受けることができるのです。
イエスは、神の国の王について、話されました。
「あなたがたが、これらのわたしの兄弟（ユダヤ人）たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです。」（マタイ２５：４０）
そして、王は言うのです。
「さあ、わたしの父に祝福された人たち。世の初めから、あなたがたのために備えられた御国を継ぎなさい。」（マタイ２５：３４）
神は、アブラハムの祝福を相続したアブラハムの子孫イスラエルに言っておられました。「わたしは、あなたを祝福する者を祝福し、あなたを呪う者を呪う。」
この約束は実現します。
最後の裁きの権限を父なる神とともに持たれる、神の御子イエス・キリストは、神の国について、マタイ２５：３１－４６で語っておられます。
神の民イスラエルを祝福する者は、イエス・キリストを王（イスラエルの王）とする神の国で、都に招かれ、いのちの木の実を食べる恵みにあずかります。そして、神の民を祝福する正しい人たちは永遠のいのちに入るのです。
しかし、イスラエルを呪う者は、神（イスラエルの王）もまた彼らを呪われます。イスラエル（ユダヤ人）の最も小さい者たちのひとりにしなかった憐れみの行為ゆえ、また、イスラエルを呪う人たちは永遠の刑罰に入るのです。
神は主を信じ、主のことばに聞き従うアブラハムを選び、祝福の約束をされました。
神の約束どおり、アブラハムの子孫（イスラエル）は祝福され、カナンの地（現イスラエル）を所有し、祭司の国民として、世界を救う神の御子キリストを地上に迎えました。
御子キリスト・イエスを信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つために、神は、ひとり子を世にお与えになりました。御子によって、世が救われるためです。
「御子を信じる者はさばかれない。信じない者は神のひとり子の御名を信じなかったので、すでにさばかれている。」（ヨハネ３：１８）
イエス・キリストを神の御子救い主と信じる者は永遠のいのちを受け、天の御国に入ります。キリストの十字架によって、裁きは過ぎ越されました。
しかし、天から遣わされた神の御子イエス・キリストを信じない者は、救いを受けることなく、永遠の刑罰（罪の裁きのよる永遠の火）に入るのです。
イエスのことばは実現します。
聖書のことばをお与えになった神は、きのうも今日も生きておられ、聖書のことば
（神のことば）をことごとく成就されるのです。
