ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

神の呼び名

 

 人類の祖は、アダムとエバです。聖書によれば、人はアダムとエバという一体の男と女、すなわち、夫と妻から始まり、今に至っています。

 

 土の塵から造られた人(アダムとエバ)は、神のことばに背いてエデンの園から追放され子どもたちを産んで、地上に増え始めました。神の子と呼ばれる生命体(おそらく、天使長ルシファーとともに天から追放された堕天使たちで、悪魔と化したルシファーから離れた堕天使たちでしょう。ルシファーが悪魔となってからも彼に従う堕天使たちは悪霊となったでしょう。)が人の娘たちを気に入り妻として、人の娘たちのところにはいり、子どもができました。

 

 堕罪の人も、天から追放された堕天使も、神のことばから外れた外れ者です。神から外れ、天の秩序から外れた者です。天の調和を乱す彼らは、神の御前に戻ることができません。しみ傷しわだらけの彼らは、聖なる天にふさわしくないものだからです。

 

 「神の子らが、人の娘たちのところにはいり、彼らに子どもができたころ、またその後にも、ネフィリム(巨人)が地上にいた。これらは、昔の勇士であり、名のある者たちであった。

 主は、地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのを御覧になった。

 それで主は、地上に人を造ったことを悔やみ、心を痛められた。

 そして主は仰せられた。『わたしが創造した人を地の面から消し去ろう。人をはじめ、家畜やはうもの、空の鳥に至るまで。わたし(創造主)は、これらを造ったことを残念に思うからだ。」(創世記6:4-7)

 

 こうして、神は、神が選ばれたノアとノアの家族を残して、また、神が選ばれた生き物たちをノアが造った箱舟に入れて生かし、そのほかのすべてのものを大水で滅ぼされました。

 

 アダムとエバから始まった人間は、神の子らとの混血となり、悪いものとなって、水で滅ぼされました。

 人は、ノアとノアの妻、ノアの三人の息子セム、ハム、ヤペテとそれぞれの妻たちの八人から再スタートしました。

 

 「箱舟から出て来たノアの息子たちは、セム、ハム、ヤペテであった。ハムはカナンの父(ハムの子クシュは神に敵対してバベルの塔を造り始めた二ムロデの先祖)である。

 この三人がノアの息子で、彼らから全世界の民は分かれ出た。」(創世記9:18,19)

 

 それで、現在の人類のすべては、ノアの子孫ということになります。ちなみに、セムは黄色人の祖、ハムは黒人の祖、ヤペテは白人の祖と言われています。

 

 アダムを造られた神は、ノアを選び、そのほかのアダムの子孫を水で滅ぼされました。

 ノアは、三人の息子に言いました。

 「ほめたたえよ。セムの神を。カナンは彼ら(兄弟たち)のしもべとなれ。

 神がヤペテを広げ、セムの天幕に住まわせるように。カナンは彼らのしもべとなれ。」(創世記9:26,27)

 

 アダムを造られた神は、ノアに語り、神のことばに従うノアを救われました。

 ノアは、「ほめたたえよ。セムの神、主を。」と言って、ノアとノアの家族を救われた主を「セムの神、主。」と呼びました。

 

 神はセムとともにおられました。

 神は、セムの子孫にアブラムを見出されました。アブラムは、神を恐れる正しい人です。神は、アブラムに語り、「わたし(神)の示す地に行きなさい。」とお命じになりました。

 信仰の人アブラムは、神のことばに従って、妻を伴い父の家を出て、カナンの地に入りました。

 神は、アブラムをアブラハム(高貴な父)、妻サライをサラ(王女)と呼び、アブラハムとサラに男の子を与え、その子イサクとその子孫に、アブラハムに与えるカナンの地を相続させると約束されました。

 

 ノアが「セムの神。」と呼んだ天地万物を造られた全能の神は、アブラハムのしもべによって、「私の主人アブラハムの神、主よ。」(創世記24:12)と呼ばれました。

 主は、アブラハムとサラのひとり子イサクに現われて仰せられました。

 「わたし(全能の神、主)はあなた(イサク)の父アブラハムの神である。恐れてはならない。わたしがあなたとともにいる。私はあなた(イサク)を祝福し、あなたの子孫(イサクの息子ヤコブの子孫)を増し加えよう。

 わたしのしもべアブラハムのゆえに。」(創世記26:24)

 

 全能の神御自身が、「わたしはあなた(イサク)の父アブラハムの神である。」と名乗られました。アダムを造られ、ノアを救い、セムの神と呼ばれた神は、御自身で、「アブラハムの神」と名乗られたのでした。

 

 そして、神に従ってひとり子イサクを献げたアブラハムに、神は天からアブラハムを呼んで、仰せられました。

 「これは主の御告げである。わたし(全能の神)は自分にかけて誓う。あなた(アブラハム)が、このことをなし(神の命令に従いひとり子を神に献げ)、あなたの子、あなたのひとり子(イサク)を惜しまなかったから、わたし(アブラハムの神)は確かにあなた(アブラハム)を大いに祝福し、あなたの子孫(イサクの子孫)を、空の星、海辺の砂のように数多く増し加えよう。そしてあなたの子孫(ひとりの子孫、蛇の頭を踏み砕く女の子孫、すなわちキリスト)は、敵(悪魔)の門を勝ち取るであろう。

 あなた(アブラハム)の子孫(神の子羊イエス・キリスト)によって、地のすべての国々は祝福を受けるようになる。あなた(アブラハム)がわたし(神)の声に聞き従ったからである。」(創世記22:16-18)

 

 アブラハムの神は、アブラハムが神に献げたひとり子イサクの子孫のうちに、神のひとり子キリスト(神の子羊イエス)を遣わすことを、アブラハムに誓われたのです。

 アブラハムは、その子イサクを祭壇に献げたとき、行ないによって(神に)義と認められました。アブラハムの信仰はアブラハムの行ないとともに働いたのであり、信仰は行ないによって全うされました。

 

 「『アブラハムは神を信じ、その信仰が彼の義とみなされた。』という聖書のことばが実現し、アブラハムは神の友と呼ばれました。」(ヤコブ3:23)

 

 アブラハムの神は、イサクの息子ヤコブに現われて仰せられました。

 「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である。わたしはあなたが横たわっているこの地(アブラハムに与えたカナンの地)を、あなた(ヤコブ)とあなたの子孫(ヤコブの子孫、すなわちイスラエル)とに与える。

 あなたの子孫は地の塵のように多くなり、あなたは、西、東、北、南へと広がり、地上のすべての民族は、あなた(イスラエル)とあなたの子孫(キリスト)によって祝福される。」(創世記28:13,14)

 

 アブラハムの神は、イサクの子ヤコブに、「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主。」と名乗られました。

 

 アブラハムにお告げになったとおり、ヤコブの子ら(ユダヤ民族)は外国の地(エジプト)で寄留者となり、奴隷とされ、四百年の間、苦しめられました。神は、モーセを任命して、ヤコブの子孫をエジプトの地から連れ上られました。

 神は、モーセに現われると、「わたしは、あなたの父の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。」と名乗られました。

 

 ノアに「セムの神」と呼ばれた全能の神、主は、御自身で「アブラハムの神」と名乗られ、また、「アブラハムの神、イサクの神」と名乗られました。そして、「アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神」と名乗られました。

 

 そして、神はモーセに仰せられました。

 「イスラエル人(ヤコブの子孫)に言え。

 あなたがたの父祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神、主が、私(モーセ)をあなたがた(イスラエル人)のところに遣わされた、と言え。

 これが永遠にわたしの名、これが代々にわたってわたしの呼び名である。」(出エジプト3:15)

 

 また、モーセに仰せられました。

 「わたしは主である。

 わたしは、アブラハム、イサク、ヤコブに、全能の神として現われたが、「主」という名では、わたしを彼ら(アブラハム、イサク、ヤコブ)に知らせなかった。」(出エジプト6:2,3)

 

 「地を造られた方、それを形造って確立させた主、その名は主である方。」(エレミヤ33:2)

 「山々を造り、風を造り出し、人にその思いが何であるかを告げ、暁と暗闇を造り、地の高い所を歩まれる方、その名は万軍の神、主。」(アモス4:13)

 

 アブラハムと契約を結ばれた全能の神、主は、天においても地においても、絶対主権者、在って有る方、すべてのものの存在の原因である主なのです。

 

 主である神は、アブラハムの子孫、ヤコブの子らであるイスラエル人と荒野で契約を結ばれました。

 神は、ヤコブの子孫イスラエルを御自分の民とし、御自身を「イスラエルの神」と名乗られました。

 

 「わたしのしもべ、イスラエルよ。わたしが選んだヤコブ、わたしの友、アブラハムのすえよ」(イザヤ41:8)

 

 全能の神は、「わたしの友」と呼ばれるアブラハムのすえ、イスラエルに「主」として現われ、イスラエルを神の民とされたのです。

 

 アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神、主は、「イスラエルの神」と名乗られました。イスラエルの神は、全知全能の神、天地万物の創造主、万軍の主、すべてのものを所有する主であられ、裁き主であられる方、唯一の生けるまことの神です。

 

 アブラハムに誓われた神、主は、アブラハムのすえ(イスラエル)に、キリスト(救い主)を遣わされました。敵の門を勝ち取る子孫です。地のすべての国々は彼(神の子羊イエス・キリスト)によって祝福を受けるのです。

 

 「あなた(イスラエルの神)は、彼(神の御子イエス)を御使いよりも、しばらくの間、低いもの(神の子羊イエス)とし、彼(敵の門を勝ち取った神の子羊キリスト)に栄光(聖霊のバプテスマを授ける権威)と誉れ(国と主権)の冠を与え、万物をその足の下に従わせられました。」(へブル2:7,8)

 

 「私たちは、御使いよりも、しばらくの間、低くされた方である(ナザレの)イエスのことは見ています。

 イエスは、死の苦しみのゆえに、栄光と誉れの冠をお受けになりました。その死は、神の恵み(神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。)によって、すべての人のために味わわれたもの(生贄の死)です。

 神が多くの子たち(神の子羊イエスを信じる人々)を栄光(天の御国)に導くのに、彼ら(贖われた神の子どもたち)の救いの創始者(メシア)を、多くの苦しみを通して全うされたということは、万物の存在の目的であり、また原因でもある方(神の御子)として、ふさわしいことであったのです。」(へブル2:9,10)

 

 全能の神は、「アブラハム、イサク、ヤコブの神、主。」と名乗られ、また、「イスラエルの神」と名乗られました。

 創造主にして裁き主であられるイスラエルの神が、救い主(神の子羊イエス・キリスト)を遣わされ、キリストは、地のすべての国々の祝福となり、救いとなられました。

 

 キリストによって救われた人々は、イスラエルの神を、イエス・キリストの父なる神として知りました。

 そして、キリストの御霊によって新しく創造される神の子どもたちは、「アバ、父。」「天のお父様。」と呼ぶのです。