「神である主は、土地の塵で人を形造り、その鼻にいのちの息を吹き込まれた。そこで、人は、生きものとなった。」（創世記２：７）
土から取られた人は、神のいのちの息を吹き込まれて、いのちあるもの、生きた者となったことが聖書に書かれています。
人は、いのちあるものとして生まれたのではなく、最初は土の塵から造られた造形物でした。神に造られた造物であった人は、神のいのちの息を吹き入れられると、息をして生きる者となったのです。息は、いのちの息でした。いのちの神の息でした。神のいのちの息が吹き込まれたのです。
神のいのちの息により、生きものとなった人は、「善悪を知る知識の木の実を食べてはならない。」との神の命令を受けていました。
善悪を知る知識は、いのちの息に逆らう、いのちに敵対する知識です。神を主とせず、己を主人とする知識です。いのちに敵対する知識です。
いのちの神を主としない「善悪を知る知識」は、いのちの息を侮ります。聖なる神のいのちの息を締め出します。天から追放された堕天使（悪魔）の反逆の実です。反逆の実を食べるならば、神に逆らう悪魔の性質を受けるのです。
「私たちはいつ、善悪を知る知識の木の実を食べましたか。」と言うことはできません。「アダムが食べたと言うけれど、わたしは食べていません。」と言うこともできません。
なぜならば、嘘をついたり、羨んだり、怒ったり、憎んだり、盗んだり、騙したりすることは誰が教えるのでしょう。人は生まれつき、これらの罪の性質を持っているのです。罪の性質がうちにある、ということが、善悪を知る知識の木の実を食べたことの証です。記憶がなくても、いのちの神に罪ある者であることを、また、善悪を知る知識の木の実を食べた者であることを証明しているのです。
いのちの神に反逆し、天から追放された悪魔は、「死の国」の王です。いのちは神のもの、死は悪魔のものなのです。善悪を知る知識の木の実を食べた人は、天から追放された悪魔に捕えられる悪魔の奴隷です。善悪を知る知識の木の実を食べた人は、神のいのちの息を失い、死ぬ者となりました。
いのちと死が一つになることはありません。死に属するならば、いのちに属するものではないのです。
神のいのちの息は、人のうちに留まることはありません。永遠に生きる人はいないのです。神の息が取り去られるならば、その人は死にます。善悪を知る知識の木の実を食べた人の辿る道です。肉体をもって生まれた人は必ず死に、肉体は土にかえります。
神は罪人の暴虐をご覧になって、人の齢を百二十年と定められました。神のいのちの息は、生きる人のうちから百二十年の間に取り去られるのです。
しかし、いのちの神は、死に定められた人を罪の呪いである死から解放して、永遠のいのちを与えようと、神のひとり子を遣わされました。
神は、御子イエスによる御救いを用意されたのです。神の子羊イエスの贖いの血によって罪人の罪を赦すこと、そして、罪の呪いの死から救い出すこと、また、永遠のいのちを与えることを実行されました。
罪が死を生みました。死を生んだ人の罪を神の御子イエスが負って生贄の子羊となり、罪の贖いの血を流されたのです。神の子羊イエスは、善悪を知る知識の木の実を食べない人を新しく創造されるのです。
実際、人は善悪を知る知識の木の実を食べました。怒りも憎しみも不和も争いも悲しみも痛みも嘆きも苦しみも、その実を食べた報いなのです。人の心は、いのちの神から遠く離れ、死の悪魔とともにありました。
神は、世を救うために、ひとりの救世主（キリスト）を遣わされました。十字架で罪の贖いの血を流された神の子羊イエスです。
イエスは、神が造られた人のうちで、ただひとり罪のない、完全な人の子でした。善悪を知る知識の木の実を食べない、神に忠実で神のことばの中を歩む義なる人、神に遣わされた神の聖者です。
聖なる神の御子イエスが、人の罪の身代わりとなって、罪の報いである死を受けられました。人々の目にさらされて十字架で処刑されました。それは、罪人の罪を赦し、罪の報いの死から救い、永遠のいのちを与えるためでした。
墓に入ったイエスは、罪のない神の御子です。死は罪の報酬です。罪のない御子は死に捕えられることがありません。墓にイエスの居場所はありません。死は、罪のないイエスを留めることができませんでした。
いのちと死が交わることがないように、神に忠実な御子イエスと神に反逆する悪魔とは相反するものです。御子イエスは、悪魔に勝利しました。悪魔の死を打ち破り、死から復活されたのです。
イエスはいのちの主です。いのちが死に打ち勝ちました。闇は光に打ち勝つことはありませんでした。光は闇に輝いています。闇は光を消すことができません。いのちの主は、死から甦り、永遠に生きておられます。
罪によって神のいのちの息が取り去られる人は、神の御子イエスの罪の贖いの血のよって、永遠のいのちを得る御救いを受ける恵みを与えられたのです。
イエスの勝利は、ご自身のいのちのためではありません。悪魔に捕らえられた罪人を死から救い、永遠のいのちを得させるために、聖霊（キリストの御霊）を肉なる者に授け、死からいのちに移して、悪魔から奪い返す勝利です。
神は、神の御子イエス・キリストを信じ、イエスの贖いの血を受けて、キリストの御霊の授けられた人を、キリストの分捕り物（信仰の勝利者）として、神のひとり子イエス・キリストに与えられます。
神は、死人にいのちを与えるために、神のひとり子をキリスト（救世主）とし、死から生んでくださいました。死から生まれた主イエスは、永遠に生きられるメシアです。
土から生まれた肉の子ではありません。死から生まれた霊の子です。
肉の子は神のいのちの息によって生きた者となりました。しかし、善悪を知る知識の木の実を食べて、死ぬ者となったのです。
霊の子は、神の御子イエス・キリストにおいて罪が赦され、イエスの息（キリストの御霊）によって永遠に生きる者とされます。
神は、神のいのちの息が留まることのない死人に、イエス・キリストの息（生かす御霊）を与えてくださいました。生かす御霊（キリストの御霊）を受ける者は、永遠のいのちを受けるのです。
神のいのちの息で生きた者となったアダムは、神のことばに背いて善悪を知る知識の木の実を食べました。しかし、イエス・キリストの息（生かす御霊）で生きる第二のアダムは、神を知る者となり、神のことばのうちを歩みます。善悪を知る知識の木の実を食べる者ではなく、キリストの知識を慕いイエスのみことばを食べる者です。
「神はいつでも、私たちを導いてキリストによる勝利の行列に加え、至るところで私たちを通して、キリストを知る知識のかおりを放ってくださいます。」（コリント二２：１４）
イエスの息は、キリストの御霊となって私たちのうちに住まわれます。
神は、私たちを責め立てている債務証書をキリスト・イエスの血によって無効にされました。神はこの証書を取り除け、十字架に釘づけにされました。
神は、十字架のキリストにおいて、すべての支配と権威のかしらであるキリストを、すべての支配と権威の武装を解除してさらしものとし、キリストの信仰者たちを悪魔から奪い取った捕虜として凱旋の行列に加えられたのです。（コロサイ２：１４，１５）
悪魔に捕われた者を虜にし、これらの捕虜を引き連れて、天の御国に入られるのです。
イエスの息を受ける者は、御霊によって死から生まれ、聖霊により神の子どもとして新しい創造を受けます。神の子どもたちに死はありません。主イエス・キリストによって、永遠に生きる神の子どもとされるのです。
