ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

とこしえのイスラエルに加えられる異邦人

 

 イスラエルとは、神と契約を結ぶ神の民をあらわします。とこしえのイスラエルとは、神のひとり子(神の子羊イエス・キリスト)の主権(王位)のもとに集められ、永遠のいのちを得る神の民のことです。

 

 初め神は、アブラハム、イサク、ヤコブの契約と祝福を相続する、彼らの子孫ユダヤ民族を、神の民として選ばれました。

 そして、ユダヤ民族を神の御国に導くユダヤの王(神の子羊イエス)を遣わされたのに、彼ら(ユダヤ人)は、ナザレのイエスが王であることを望まず、殺してしまいました。ユダヤの王(神の子羊イエス)は、ユダヤ人の罪を負って十字架にかかり、民(ユダヤ人)の身代わりとなって神の呪いを受けて死なれました。

 

 ユダヤ人の王キリスト・イエスは、御自分の民(ユダヤ人)の所に来られ、彼ら(ユダヤ人)が「私たちの神」と呼ぶイスラエルの神(イエス・キリストの父)について、神の御国について、永遠のいのちについて語り、彼ら(神の選びの民ユダヤ人)が救われるために神のことば(真理)を教えて回られました。

 

 イエスのしるしや奇跡を見て、多くのユダヤ人たちがイエスを信じたのを聞いた祭司長やパリサイ人たちは、議会を召集して言いました。

 「われわれは何をしているのか。あの人が多くのしるし(癒しや悪霊追い出し、死人を生き返らせること)を行なっているというのに。

 もしあの人(ナザレのイエス)をこのまま放っておくなら、すべての人(ユダヤ人)があの人(イエス)を信じるようになる。そうなると、ローマ人がやって来て、われわれの土地も国民も奪い取ることになる。」(ヨハネ11:47,48)

 

 ユダヤ人の土地は、ローマ帝国の属州であり、ユダヤ人たちはローマ帝国の支配下にありました。属州のユダヤにユダヤ人の王が起こされたとなれば、皇帝カエサルが放って置くことはないでしょう。ローマ帝国に対するユダヤ民族の反逆と見てユダヤ人を厳しく取り扱い、属州ユダヤの土地はローマ帝国に取られ、ユダヤ人はイスラエルではなくなるのです。

 

 その年の大祭司カヤパは、祭司長やパリサイ人たちに言いました。

 「あなたがた(祭司長とパリサイ人たち)は全然何もわかっていない。

 ひとりの人(神の子羊イエス)が民(神の民であるユダヤ民族)の代わりに死んで、(イスラエルの)国民全体が滅びないほうが、あなたがたにとって得策だということも、考えに入れていない。」(ヨハネ11:49,50)

 

 大祭司の油が注がれているカヤパは神の霊によって預言のことばを語ったのでした。

 イエスが国民(ユダヤ民族)のために死のうとしておられること、また、ただ国民のためだけでなく、散らされている神の子たち(ユダヤ民族の十二部族のすべて)を一つに集めるためにも死のうとしておられることを、預言したのでした。

 「そこで彼ら(祭司長やパリサイ人たち)は、その日から、イエスを殺すための計画を立てた。」(ヨハネ11:53)

 

 ユダヤ人の王(神の子羊イエス)は十字架につけられて死なれました。イスラエルの神は、神の子羊の血を受け取られ、民の罪を赦されました。そして、罪の贖いのみわざを成し遂げた子羊イエスを、聖霊の力によって、死から取り戻されました。神は、ユダヤ人の王を甦らせました。ユダヤ人の王キリストは天に上り、とこしえに生きるイスラエルの王となられました。

 

 ユダヤ人の王ナザレのイエスの時代には、イスラエルの国はローマ帝国の属州とされていました。ユダヤ人の土地はあっても、ユダヤ人の国はなかったのです。

 しかし、イスラエルの王(神の子羊キリスト)には、とこしえに堅く立つイスラエル王国が与えられます。

 

 預言者ダニエルは、それを見たのです。

 「見よ、人の子のような方(死に勝利された神の子羊キリスト)が天の雲に乗って来られ、年を経た方(父なる神)のもとに進み、その前に導かれた。

 この方(蛇の頭の悪魔を踏み砕いた神の子羊)に、主権と光栄と国が与えられ、諸民、諸国、諸国語の者たちがことごとく、彼(イスラエルの王キリスト)に仕えることになった。

 その主権(神の御子イエス・キリストの主権)は永遠の主権で、過ぎ去ることがなく、その国(とこしえのイスラエル)は滅びることがない。」(ダニエル7:13,14)

 

 十字架で贖いの血を流された子羊イエスは、三日目に墓から甦り、復活のからだで天に上られ、神の御座の右に着座されました。

 約六百年前に、ダニエルはその情景を幻で見たのでした。

 

 イエスが天に上られた様が「使徒の働き」の書簡に記録されています。

 「(復活された)イエスは彼ら(使徒たち)が見ている間に上げられ、雲に包まれて、見えなくなられた。イエスが上って行かれるとき、弟子たちは天を見つめていた。」(使徒1:9,10)

 イエスの弟子たちは、ダニエルが幻で見た光景を、現実に肉眼で見たのでした。

 

 ダニエルは、天に上られて、神の子羊イエスが神の御前に出られた光景も見ています。

 すると、御座におられる方(イエス・キリストの父)は、御前に出られた御子(神の子羊キリスト)に、主権と光栄と国とをお与えになりました。

 

 ユダヤ人の王としてユダヤ人の間を歩まれた神のひとり子は、世の罪を取り除き永遠のいのち(御霊)を得させるキリストとなられました。そして、イスラエルの神の民ユダヤ民族だけではなく、諸民、諸国、諸国語の者たちの王の王、イスラエルの王となられたのです。諸民、諸国、諸国語の者たちが仕える王です。

 神がイエス・キリストに与えられた主権は永遠の主権であり、その国は永遠に堅く立つ国です。永遠のいのちを得た神の子どもたちの国です。イスラエルの王の国民は、とこしえのイスラエルです。

 

 神がダビデを選び、油を注いでイスラエルの王とされました。しかし、ダビデ王の子ソロモン王の背信の罪によって、イスラエル王国(十二部族)は南のユダ(二部族)と北のイスラエル(十部族)に分裂しました。

 しかし、神が御子イエス・キリスト(ダビデの子と呼ばれる方)にお与えになるとこしえのイスラエル(十二部族)は、分裂することも滅びることもありません。また、永遠に生きておられるキリストの王位は、永遠のものなのです。

 

 永遠に生きられるキリスト・イエスは、とこしえのイスラエルの王です。そして、世の終わりの後(反キリストと偽預言者と悪霊どもと悪者どもが滅ぼされて悪魔が縛られた後)に、地上にイスラエル王国が建国されます。

 そして、エデンの園は回復するのです。創造主と被造物との間には調和があり、天の法で治められ、全き秩序のもとで正義と平和と聖霊による喜びに溢れる、聖なる世界となります。

 世界は、キリストによって治められ、諸民、諸国、諸国語の者たちもイスラエルの王に仕えます。地上は、千年間の平和な時代を迎えます。

 

 イスラエル王国には、イスラエルの神の民(ユダヤ民族)と、神の子羊イエス・キリストを主と告白する主キリストの民(神の御子の民)が国民として集められます。

 

 イエスは十二使徒に言われました。

 「世が改まって人の子(主キリスト)がその栄光の座(イスラエル王国の王座)に着く時、わたし(イエス・キリスト)に従って来たあなたがた(使徒)も十二の座に着いて、イスラエルの十二の部族をさばくのです。」(マタイ19:28)

 

 イスラエルの王の国は、イスラエルの十二部族の国です。イエス・キリストによって永遠のいのちを得、とこしえのイスラエルに加えられる異邦人は、この十二部族に分けられ、ユダヤ人の兄弟となるのです。

 もはや異邦人ではありません。在留異国人でもありません。キリストにあって、一つの国民、一つの家族となるのです。

 

 アブラハムもイサクもヤコブもモーセもダビデもサムエルもエリヤもイザヤもエレミヤもダニエルもいます。十二使徒たちもいます。

 私たちは、十二使徒たちに治められる、とこしえのイスラエルの国民となるのです。