バビロン帝国のネブカドネザル王は、呪法師、呪文師、呪術者、占星師を呼び寄せて、無理難題を命じました。ネブカドネザル王が見た夢と解き明かしを知らせよ、というのです。
彼らは、「王の見た夢をお話しください。そうすれば、解き明かしてごらんにいれます。」と言いました。また、言いました。「王のお尋ねになることは、むずかしいことです。肉なる者とその住まいを共にされない神々以外には、それを王の前に示すことのできる者はいません。」
ネブカドネザル王がエルサレムを包囲し、連れて来たユダヤ人たちがいました。南ユダ王国(二部族)のユダヤ人たちの捕虜の中に、知恵者ダニエルがいました。
ダニエルは、ネブカドネザル王に答えて言いました。「王が求めておられる秘密は、知者、呪文師、呪法師、星占いも王に示すことはできません。しかし、天に秘密をあらわすひとりの神がおられ、この方が終わりの日に起こることをネブカドネザル王に示されたのです。あなたの夢と、寝床であなたの頭に浮かんだ幻はこれです
王様。あなたは寝床で、この後、何が起こるのかと思い巡らされましたが、秘密をあらわされる方(天の神)が、後に起こることをあなた(ネブカドネザル王)にお示しになったのです。
この秘密(夢と解き明かし)が私(ダニエル)にあらわされたのは、ほかのどの人よりも私に知恵があるからではなく、その解き明かしが王に知らされることによって、あなたの心の思いをあなたがお知りになるためです。」(ダニエル2:27ー30)
神の知恵を受けているダニエルは、王が見た夢とその解き明かしを告げました。
「王様。あなたは一つの大きな像を御覧になりました。見よ。その像は巨大で、その輝きは常ならず、それがあなたの前に立っていました。その姿は恐ろしいものでした。
その像は、頭は純金、胸と両腕とは銀、腹とももとは青銅、すねは鉄、足は一部が鉄、一部が粘土でした。
あなたが見ておられるうちに、一つの石が人手によらずに切り出され、その像の鉄と粘土の足を打ち、これを打ち砕きました。
そのとき、鉄も粘土も青銅も銀も金もみなともに砕けて、夏の麦打ち場のもみ殻のようになり、風がそれを吹き払って、跡形もなくなりました。そして、その像を打った石は大きな山となって全土に満ちました。これがその夢でした。」(ダニエル2:31-36)
バビロンに捕囚された捕虜のダニエルは、バビロン帝国の王の夢を解き明かしました。
天の神は、バビロン帝国のネブカドネザル王に強い国と権威と力と光栄とを賜い、すべてのものを治めるように、王の王ネブカドネザルの手に渡されました。
ダニエルは言いました。
「あなた(ネブカドネザル王)は、あの金の頭です。
あなたの後に、あなたより劣るもう一つの国が起こります。それが、銀の胸と両腕です。次に、青銅の第三の国が起こって、全土を治めるようになります。第四の国は鉄のように強い国です。鉄はすべてのものを打ち砕いて粉々にするからです。その国は鉄が打ち砕くように、先の国々(金、銀、青銅の国々)を打ち砕いてしまいます。
あなたがご覧になった足と足の指は、その一部が陶器師の粘土、一部が鉄でしたが、それは分裂した国のことです。その国は鉄の強さがあるでしょうが、あなたがご覧になったように、その鉄はどろどろの粘土と混じり合っているのです。鉄とどろどろの粘土と混じり合わないように、それらが互いに団結することはありません。
この王たちの時代に、天の神は一つの国を起こされます。その国は永遠に滅ぼされることがなく、その国は他の民に渡されず、かえってこれらの国々をことごとく打ち砕いて絶滅してしまいます。しかし、この国は永遠に立ち続けます。」(ダニエル2:38-44)
救い主イエス・キリストがお生まれになるおよそ六百年前のダニエルは、捕囚されたバビロンの地で、バビロン帝国のネブカドネザル王が見た夢を解き明かすことによって、この後に起こることを知りました。
その後、ダニエルは、夢や幻によって、終わりの時代のことを神に示されました。
ネブカドネザル王が見た夢は、ネブカドネザル王の時代の後に起こることであり、また、終わりの時代に起こることであることが分かって来ました。
ネブカドネザル王は次に立つ帝国のことを思っていましたが、ダニエルはそれらの帝国の霊が働く終わりの時代の世界を捉えていたのです。
金のバビロン帝国の後、銀のメディヤとペルシャの帝国が起こり、次に青銅のギリシャ帝国とローマ帝国(神聖ローマ帝国)が起こり、オスマン帝国が起こり、帝国時代は終わりを告げました。
オスマン帝国は、第一次世界大戦で消滅しました。ネブカドネザル王が知りたいと願った帝国の台頭時代は終焉を迎えました。
鉄のすねの強い国はオスマン帝国でしょう。イスラムの国です。
粘土はユダヤ人のことでしょう。
イスラエルの神は、御自分の民イスラエルに仰せられます。
「見よ。粘土が陶器師の手の中にあるように、イスラエルの家よ、あなたがた(ユダヤ人)も、私の手の中にある。」(エレミヤ18:6)
イスラエルの神は、御自身を陶器師で、イスラエルを陶器師の手の中にある粘土であると言っておられます。
預言者イザヤは言います。
「主よ。あなた(イスラエルの神)は私たち(ユダヤ民族)の父です。私たち(イスラエル)は粘土であって、あなた(イスラエルの神)は陶器師です。私たち(イスラエル)はみな、御手のわざです。」(イザヤ64:8)
現在のイスラエルの国は、第二次世界大戦後の1948年に建国されました。オスマン帝国が存在する世界に、イスラエルの国は存在していませんでした。
しかし、現在は、イスラエル国家が存在します。
第三次世界大戦の後に、オスマン帝国の復興のようなイスラムの国が現われることでしょう。そして、その中からイスラエルと同盟を結んで中東に平和をもたらし、エルサレムの神殿の丘にアブラハムの神の神殿(第三神殿)を建てることをユダヤ人に許す者が現われるでしょう。彼は、世界中の国々から平和の指導者として支持され、世界の覇権を握るのでしょう。しかし、三年半が経つと、彼はイスラエルを裏切ります。
彼が、十の国の王の支持を得て、カナン全土を支配する王となり、イスラエルはイスラムの国の属州とされるでしょう。
鉄と粘土とが混じり合う国となります。
終わりの時代の金の国はどこでしょうか。影の帝国として存在する産業革命が起こった国で、世界を牛耳っていると噂されているイギリスだと思います。
このイギリスからアメリカに渡航したユダヤ人がつくった資本主義の国アメリカはメディヤの国でしょう。世界に物質と物欲を溢れさせました。
ペルシャの霊を持つ影響力のある国は、社会主義から国家資本主義のロシア。
世界中の国々の技術を吸収し、国際社会を自国の法で管理化に置くことをもくろみ、世界の国々に浸食する、ギリシャの霊を持つ中国。世界を覆い世界の覇権を握ることを目標とします。
ローマ帝国は神聖ローマ帝国として、バチカンに、今も健在しています。世界中に、拠点を持ち、精神的指導者として、ローマ教皇が君臨しています。ローマ教皇は、エルサレムに平和をもたらす反キリストの助言者であり、協力者でしょう。
オスマン帝国の霊は、第三次世界大戦の中で、イスラムの国を形作っていくのでしょう。その中から現われる指導者が、反キリストです。
彼の心はムスリムではありませんが、ローマ教皇の助けを受け、イスラム原理主義者たちを戦力とし、ムンニ派とシーア派の志を一つにしてバビロン帝国のような強い国をつくるでしょう。
鉄のように強い反キリストは国をつくると、それまでの協力者のローマ教皇とバチカンとカトリック諸国を焼き払います。反キリストは、ローマ教皇とバチカンを利用しただけで、実は彼らを憎んでいたからです。
「彼(反キリスト)は外国の神(バチカンとローマ教皇)の助けによって、城壁のある砦(エルサレム)を取り、彼が認める者には、栄誉を増し加え、多くのものを治めさせ、代価として国土を分け与える。(反キリストは、自分の良いと思う者たちを十の国の王とする。)」(ダニエル11:39)
ともにバチカンの神のものを焼き払った十人の王たちは、心一つとなって反キリストに主権を与え、十の国の王とします。そして、悪魔は、反キリストに悪魔の権威を与えます。また、悪魔は、偽預言者(おそらくダン部族から立つユダヤ人)を立てて、偽預言者にも、反キリストと同じ悪魔の権威を与えます。
反キリストは、先祖の神々を心にかけず、どんな神々も心にかけません。すべてにまさって自分を大きい者とし、彼の先祖の知らなかった神(悪魔)を崇めます。
偽預言者もまた、先祖の神を心にかけず、悪魔を崇める者です。彼らはイスラムの神もユダヤの神も信じていません。反キリストも偽預言者も悪魔礼拝者なのです。
偽預言者は、ユダヤ人が建てた第三神殿に反キリストの像をつくり、ユダヤ人たちに反キリストの像を拝ませ、また、異邦人には獣の数字666を刻印するでしょう。反キリストは神殿に立ち、自分を神として拝ませ、また、悪魔を拝ませます。
イスラエルは属州となり、反キリストの国は、イスラム(鉄)とユダヤ(粘土)がともに混じり合う国となるのでしょう。
バビロン帝国のネブカドネザル王が見た夢は、終わりの時代に、反キリストによって建てられるバビロン帝国復興(反キリストはオスマン帝国の復興ではなく、バビロン帝国のような強国を目指すネブカドネザル王の霊の人かも知れません。)の悪魔の国であり、その国は、人手にはよらず、天から来られるイスラエルの王(神の御子イエス・キリスト)と天の軍勢によって滅ぼされます。
人手によらない石とは、天の神が地上に送られる、悪魔の国を打ち砕いて絶滅する国です。ネブカドネザル王が見た像を打った石は大きな山となって全土に満ちました。
天から来られるとこしえのイスラエルの王が、反キリストと偽預言者を滅ぼし、反キリストが自分の国とした十の国を絶滅し、アブラハムの子孫イスラエルが相続するカナンの全土は、イエス・キリストの国(とこしえのイスラエル)となります。
世の罪を取り除いた神の子羊イエスは死から甦り、聖霊のバプテスマを授けるキリストとなられました。御父(イスラエルの神)と神の御子キリストは、聖霊によってとこしえのイスラエル(永遠のいのちを得る人々)を新しく創造されます。
アブラハムの血肉の子孫ユダヤ民族はいのちの書に名の書かれていない者以外、すべて救われます。ユダヤ人の御救いは神の約束なのです。こうして、神は、契約を成し遂げられます。
とこしえのイスラエルの王(キリスト)は、エルサレムに王座を設け、アブラハムの信仰の子孫(ユダヤ人とクリスチャン)は、アブラハムの相続の土地に住まうのです。こうして、地上にイスラエル王国が建ち、イスラエルが世界中の国々を治めます。
獣(悪魔の子)たちが破壊し、地上の人々を苦しめた患難時代は終わります。必ず、終わりが来ます。耐え忍ぶならば、輝く光の世界に入ることができます。
「主が来られる時まで耐え忍びなさい。心を強くしなさい。主の来られるのが近いからです。」(ヤコブ5:7,8)
平和な千年王国が始まるのです。神道が弥勒の世(神代)、仏教が涅槃と呼ぶ世界です。地上に現われた神の国です。