ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

悪魔に勝利したイエス・キリスト

 

 イエスがベツレヘムでお生まれになって一年以上経ったとき、ヘロデ王は、ユダヤ人の王と言われるキリストがベツレヘムで生まれたことを知りました。

 すると、ヘロデ王は自分の王位を守るため、ベツレヘムとその近辺の二歳以下の男の子をひとり残らず殺させました。

 

 イエスを産んだマリアの許嫁の夫ヨセフは、マリアとイエスを連れて、エジプトに立ち退いていました。それは、御使いがヨセフの夢に現われて、「立って、幼子(イエス)とその母(マリア)を連れ、エジプトへ逃げなさい。そして、私(御使い)が知らせるまで、そこ(エジプト)にいなさい。ヘロデがこの幼子(イエス・キリスト)を捜し出して殺そうとしています。」と言ったからでした。(マタイ2:13)

 

 ヘロデが死ぬまでそこにいました。このことは、主(イスラエルの神)が預言者を通して、「わたし(イスラエルの神)はエジプトから、わたしの子(神の御子キリスト、すなわち神の子羊イエス)を呼び出した。」と言われた事が成就するためでした。

 

 ベツレヘムでお生まれになったイエスは、殺害者ヘロデ王の手から逃れてエジプトの地に入り、ヘロデ王が死ぬと、エジプトから出てイスラエルの地に入りました。

 しかし、アケラオが父ヘロデに代わってユダヤを治めていると聞いたので、そこに留まることを恐れました。そして、ヨセフは夢で戒めを受けたので、ガリラヤ地方に立ち退きました。ヨセフもマリアも、ガリラヤの町ナザレの人だったからです。

 住民登録のために、ダビデの子孫のヨセフは、先祖の町ベツレヘムに来ており、ダビデの町、すなわちベツレヘムの町で神の御子イエスが生まれたのでした。幼子イエス(主キリスト)のいのちを狙うヘロデ王(エドム人)から逃れてエジプトの地に入り、住民登録する以前に住んでいたガリラヤ地方のナザレの町に行って住んだのでした。

 

 ナザレの町でイエスは成長し、時が至って、バプテスマのヨハネから水のバプテスマを受けると、聖霊が鳩のように下って来て、イエスの上に留まられました。イエスは、天から下って来られた聖霊とともに、三年半のキリスト(罪を贖う神の子羊)の使命を成し遂げられました。

 

 三年半の活動の後、ユダヤ人の大祭司や祭司長たちに神を冒瀆する罪に定められたナザレのイエス(神の子羊)は、十字架につけられ、罪の贖いの血を流されたのです。

 

 その時、太陽は暗くなり、地は大きく揺れ動き、神殿の幕は上から下まで真二つに裂けました。上から裂けたので、人手によるのではありません。神の御手によって、地上の神殿の幕は裂かれたのです。

 こうして、神の子羊イエスの血は、イスラエルの罪(神を冒瀆する罪と律法の違反)を贖ってくださいました。ナザレのイエスは、イスラエルの神がイスラエルに遣わされた救い主(主キリスト)なのです。

 

 ユダヤ人の祭司たちが仕えた地上の神殿の幕が裂かれると、神の御子キリストは、死に勝利して墓から甦り、神の子羊イエスの贖いの血を携えて、天のまことの聖所に入られました。イエス・キリストは、天のまことの聖所で、神と人との仲介をする大祭司となられました。

 人間の手で造った地上の神殿と、死によっていつまでも務めに留まることのできない地上の大祭司は、天のまことの聖所のひな型です。主キリストは、ひな型を完成させて、本物の天のまことの聖所に、とこしえの大祭司として立たれました。

 

 キリストは、ご自分の血(神の子羊イエスの血)によって、ただ一度、(天の)まことの聖所に入り、永遠の贖いを成し遂げられました。(へブル9:12)

 

 「永遠に存在されるキリストは、ご自分(イエス・キリストの御名)によって神に近づく人々を、完全に救うことがおできになります。キリストはいつも生きていて、彼ら(イエスの御名を呼ぶ者)のために、執り成しをしておられるからです。」(へブル7:24,25)

 

 神の御子イエスは、蛇に噛まれたかかと(イスラエル)の罪の贖いをし、蛇の頭(悪魔)を踏み砕かれました。

 蛇はかかとを噛んだままですが、蛇の頭が踏み砕かれたので、すでに、勝負はついています。神の御子イエス・キリストは、すでに、悪魔に勝利しておられます。いつまでも、イスラエルを背信のまま悪魔の支配下に止めておくことはできません。

 

 バビロンに捕囚されたユダヤ人に、神は、七十年という時を定めておられました。終わりがあるのです。悪魔はいつまでも引き止めることはできません。解放しなければならないのです。

 神の御子キリストが悪魔に勝利を取られたので、神は、悪魔の終わりの時を定めておられます。すでに、天の聖所は開かれています。地上のものは現象であって、幻です。やがて、消えてなくなるのです。

 

 天の大祭司キリスト・イエスから黙示を告げられた弟子のヨハネは見ました。

 「巨大なしるしが天に現われた。ひとりの女が太陽を着て、月を足の下に踏み、頭には十二の星の冠をかぶっていた。この女はみごもっていたが、産みの苦しみと痛みのために、叫び声をあげた。

 また、別のしるしが天に現われた。見よ。大きな赤い竜である。七つの頭と十本の角とを持ち、その頭には七つの冠をかぶっていた。

 その尾は、天の星の三分の一を引き寄せると、それらを地上に投げた。また、竜は子を産もうとしている女の前に立っていた。彼女が子を産んだとき、その子を食い尽くすためであった。

 女は男の子を産んだ。この子は、鉄の杖をもって、すべての国々の民を牧するはずである。その子は神のみもと、その御座に引き上げられた。」(黙示録12:1-5)

 

 ひとりの女とは、神と契りを結んだユダヤ民族のことです。

 「わたし(イスラエルの神)は、あなた(ユダヤ民族)の若かったころの誠実、婚約時代の愛、荒野の種も蒔かれていない地でのわたし(天の神)への従順を覚えている。」(エレミヤ2:2)

 

 四百年の間、エジプトの地で奴隷であったヤコブの子孫を、モーセを立てて神御自身が連れ上り、彼らと荒野で神の民としての契約を結ばれました。

 七十人でエジプトの地に入ったヤコブの家族は、成人男子だけでも六十万人の民族となったヤコブの子孫としてエジプトから出て来ました。

 

 アブラハムの神、すなわち全能の神は、アブラハムの孫のヤコブの子孫ユダヤ民族を「神の民族イスラエル」と呼び、御自身を「イスラエルの神」と名乗って、契りを結ばれたのです。イスラエルは、全能の神と婚約した女なのです。

 

 ひとりの女(ユダヤ民族)は、太陽を着ていました。神が選ばれ愛された民族として、父なる神(創造主)の栄光を着ています。月を足の下に踏んでいます。月は太陽(父なる神)の栄光を映し出す、神のひとり子イエス・キリストです。この女は、神の御子キリストを十字架につけた民族です。神の御子を信じず、イエスを主キリストと告白するユダヤ人たちを迫害しました。

 頭には十二の星の冠をかぶっています。星はヤコブの十二人の息子を現わします。十二人の息子は十二部族の族長となり、それぞれの族長の子孫(十二部族の子孫)によって構成されたヤコブの子孫、すなわちユダヤ民族です。星には冠があります。十二部族それぞれに、迫害の中で神が遣わされた神の御子イエス・キリストを信じて永遠のいのちを得た者がおり、キリストを遣わされた神の栄光を現わしています。

 

 これは、現在のイスラエルの姿です。このイスラエル(ひとりの女)とは、ユダヤ教徒の集合体をさすのではなくて、全世界に散在しているアブラハム、イサク、ヤコブの血肉の子孫の集合体(ユダヤ民族)をさします。

 

 七つの頭と十本の角を持ち、その頭には七つの冠をかぶっている大きな赤い竜は、悪魔の姿です。人間の目に見えない霊の世界で存在しています。

 

 女(ヤコブの血肉の子孫)が子を産もうとしているのを、悪魔が見張っています。産まれたその子を食い尽くすためです。

 女は男の子を産みました。その子は、鉄の杖をもって、すべての民を牧する子です。この子は、テアテラの教会に属する人のようです。

 「彼は、鉄の杖をもって土の器を砕くようにして彼らを治める。わたし(イエス・キリスト)自身が父(イスラエルの神)から支配の権威を受けているのと同じである。

 また、彼に明けの明星(悪魔の支配が終わり、神の国が地上に起こされる時のしるし、イスラエルのメシアの働き)を与えよう。」(黙示録2:27,28)

 

 神の御子イエスもまた、ヘロデ王の殺意によっていのちを狙われました。

 御父から与えられた黙示をヨハネに告げられたイエス・キリストは、ご自分のことを「わたし(イエス・キリスト)はダビデの根(イスラエルを創造された神の御子)、また子孫(イスラエルの王)、輝く明けの明星(闇の世の終わりを告げ、新しい世を迎えるしるし)である。」(黙示録22:16)と言っておられます。

 

 ユダヤ人の中から、悪魔が支配する闇の世に神の国の訪れの希望のことばを宣教し、多くのユダヤ人を神に立ち返らせる、キリストのような働きをする預言者が立ちます。死海文書でいうイスラエルのメシアです。女(ユダヤ民族)が産んだ男の子です。

 この人がイスラエルに立つ時、悪魔の死の手が臨むでしょう。ユダヤ人たちが信仰を持たないように、彼に逆らわせて、悪魔は激しく攻撃しますが、神は、多くのユダヤ人を新生されます。

 

 その子は、ふたりの証人のうちのひとりです。三年半の神の働き(神のことば、預言、奇跡、しるしなど)を成し遂げ、多くの人々を神に立ち返らせます。ユダヤ人の多くが罪を悔い改め、救われます。その後、彼らは、反キリストに殺されます。しかし、三日半の後、神から出たいのちの息が彼らの死んだからだ(死体)に入り、生き返ります。

 

 「そのときふたりは、天から大きな声がして、『ここに上れ。』と言うのを聞いた。そこで、彼らは雲に乗って天に上った。」(黙示録11:12)

 

 神は、モーセを通して、イスラエルに命じておられました。「ユダヤ人の中から出るモーセのようなひとりの預言者に聞き従わなければならない。」

 

 神に愛されたユダヤ人たちは、神が遣わされた神の御子イエス・キリストを信じてイエスのことばに聞き従いました。

 

 再び、神は、モーセのような預言者、そして、キリストのような預言者、すなわちイスラエルのメシア(御霊によって新しい創造を受けた、卍と十字のしるしのある人)を生み、イスラエルに遣わされます。彼は、アロンのメシア(○のしるしのある人)とともに、三年半の間、働きます。そして、反キリストに殺され、三日半の後に、生き返り、天に上っていきます。

 

 「さて、天に戦いが起こって、ミカエル(イスラエルの君、イスラエルを守護する御使い)と彼の使い(御使い)たちは、竜と戦った。それで、竜(悪魔)とその使い(悪霊)たちは応戦したが、勝ことができず、天にはもはや彼らのいる場所がなくなった。

 こうして、この巨大な竜、すなわち、悪魔とか、サタンとか呼ばれて、全世界を惑わす、あの古い蛇(エデンの園でエバを惑わした蛇)は投げ落とされた。彼(悪魔)は地上に投げ落とされ、彼の使い(悪霊)どもも彼とともに投げ落とされた。」(黙示録12:7-9)

 

 悪魔は、天に居場所がなくなりました。悪魔に許された時は、三年半です。地上に投げ落とされた悪魔は、反キリストと偽預言者に、悪魔の権威を与えます。

 神の御子イエスが肉体をもって神の御姿を現わされたように、反キリストと偽預言者は肉体を持つ悪魔の姿です。

 

 イエスの十字架によって、すでに、悪魔は踏み砕かれています。

 イスラエルのメシアによって、神は、悪魔が噛みついたイスラエルに癒しと解放を与え、ユダヤ人たちを救われます。

 ユダヤ人たちの希望となった、イスラエルのメシア(ユダの総督)は、新しい神の国、千年王国で、鉄の杖を持って支配する者となるはずです。

 

 すでに、勝負は決まっています。私たちは、御子イエス・キリストを信じて、新しい世の訪れを待ち望みましょう。それは、患難と大きな苦難の後で、必ず、現われるからです。