神が御子とともに喜びをもって造られた「人」は、悪魔の言葉を受け入れ、神のことば(御子)と分離しました。神は、被造物が神のことばとともにあり、神のことばとひとつであることを望まれます。
人は、被造物の管理者として造られていました。すべての被造物が、神のことばの下にあり、神との平和を保ち、調和をもって存在するために、人は神のことば(御子)とひとつ心で神に仕えるはずでした。
神は、神のひとり子によって、悪魔の言葉に従い闇に落ちた人を、悪魔の支配と囚われの身から救い出す御計画をお持ちでした。
神は、エバを惑わした蛇に仰せられました。
「わたしは、おまえと女との間に、また、おまえの子孫(悪魔の子)と女の子孫(神の子)との間に、敵意を置く。彼(神のひとり子)は、おまえの頭(悪魔)を踏み砕き、おまえは、彼のかかと(神のひとり子である人の子イエスを生むユダヤ民族)に噛みつく。」
まだ子のないアダムとエバとの最初の人のときに、神は人類救済のために、人の子イエスをお与えになるご計画をお持ちでした。アブラハムが生まれる前から、人の子イエスをアダムのあばら骨だったエバの子孫に起こすことを定めておられたのです。
イエスを信じないユダヤ人たちは言った。
「アブラハムは死に、預言者たちも死にました。しかし、あなたは、『だれでもわたしのことばを守るならば、その人は決して死を味わうことがない。』というのです。あなたは、私たちの父アブラハムよりも偉大なのですか。そのアブラハムは死んだのです。預言者たちも死にました。あなたは、自分自身をだれだというのですか。」
イエスは答えられた。
「わたしがもし自分自身に栄光を帰するなら、わたしの栄光はむなしいものです。わたしに栄光を与える方は、わたしの父です。この方のことを、あなたがたは『私たちの神である。』と言っています。
けれどもあなたがたはこの方を知ってはいません。しかし、わたしは知っています。もしわたしがこの方を知らないと言うなら、わたしはあなたがたと同様に偽り者となるでしょう。しかし、わたしはこの方を知っており、そのみことばを守っています。
あなたがたの父アブラハムは、わたしの日を見ることを思って大いに喜びました。彼はそれを見て、喜んだのです。」
そこで、ユダヤ人たちはイエスに向かって言った。「あなたはまだ五十歳になっていないのにアブラハムを見たのですか。」
イエスは彼らに言われた。
「まことに、まことに、あなたがたに告げます。アブラハムが生まれる前から、わたしはいるのです。」(ヨハネ8:52-58)
イエスの言われたことは、本当のことだったのです。
イエスに水のバプテスマを授けたバプテスマのヨハネはイエスを見て言った。
「見よ。世の罪を取り除く神の子羊。私が『私のあとから来る人がある。その方は私にまさる方である。私より先におられたからだ。』と言ったのは、この方のことです。
私もこの方をメシアとしては知りませんでした。しかし、この方がイスラエルに明らかにされるために、私は来て、水でバプテスマを授けているのです。」(ヨハネ1:29-31)
ヨハネに、水のバプテスマの働きをお与えになって遣わされた、イスラエルの神のことばがありました。「聖霊がある方の上に下って、その上に留まられるのがあなたに見えたなら、その方こそ、聖霊によってバプテスマを授ける方である。」イエスがバプテスマを受けられたとき、御霊が鳩のように天から下って、イエスの上に留まられるのを、バプテスマのヨハネは目撃したのです。
聖霊によってバプテスマを授ける方とは、神に油注がれた方、神の御霊を分け与える方であり、神から出た神のひとり子である、キリスト救い主なのです。
聖霊が留まられるのを見て、イエスを神の御子と証言したヨハネは言っています。「私のあとに来る方は、わたしよりも先におられた方で、わたしよりもまさる方である。」イエスよりも早く生まれていたヨハネも、イエスは自分よりも先に存在しておられた神の御子である、と言っているのです。
アブラハムが生まれる前から、アブラハムから生まれる人の子イエスとなられる神のひとり子は存在しておられました。アブラハムは、神の御子を生む者として神に選ばれた、神のしもべです。アブラハムは、神の御計画を信じたのです。
イエスを神の御子であると証言するために、ユダヤ人たちに遣わされたバプテスマのヨハネもまた、神が、神の御子イエスをユダヤ人たちに知らせるために、神が備えられた神のしもべでした。
神がひとり子を女から生まれる「人の子」として遣わすために、用意された神のしもべらです。神の声を聞き、聞き従う信仰の人たちです。
神は、アブラハムと契約を結ばれました。アブラハムは、目に見えない神を信じ、約束された地カナンの地に移住し、閉経した九十歳の妻サラから約束の子イサクを得ました。神は、イサクの不妊の妻リベカに双子の男の子を宿す力を与えられました。神は、兄エサウを退け弟ヤコブを選び、ヤコブと契約を結ばれました。こうして、神が選ばれたアブラハムとの契約は、サラの子イサクに受け継がれ、また、イサクの子ヤコブに受け継がれたのです。彼らは、約束してくださった方を真実な方と考えたからです。
神は、ヤコブを選び、イスラエルの父とされました。ヤコブの十二人の息子らを族長とし、神は、ユダヤ民族(イスラエル)を造られたのです。彼らは、アブラハム、イサク、ヤコブの契約を相続しました。
民族としてイスラエルは、神と契約を結びました。天地万物の創造主であられる、唯一まことの全能の神は、御自身を「イスラエルの神」と名乗られました。
イスラエルは、生ける神、唯一まことの全能の神を世に現わすために造られた、神の御計画を担う民族です。まことの神の御声を聞き、神の御心を成し遂げる民族です。
神は、この民族の存在を通して、ご栄光を現わして来られました。あらゆる世代のユダヤ人に、預言者を立てて、御自身と御自身の御計画を知らせられました。多くの奇蹟やしるしも現わされました。
ユダヤ民族を奴隷とし四百年間苦しめた国民をさばき、ユダヤ民族を奴隷の家から連れ出して、父祖アブラハムに約束されたカナンの地(現イスラエル)に導き入れられました。
捕囚の地でユダヤ人の信仰を立て直し、イスラエルの地に戻して、ダビデ王に約束した「ダビデの子」と呼ばれる神の子羊イエスを、イスラエルに遣わされました。蛇の頭を踏み砕く女の子孫、救い主キリストです。
イスラエルは、神の子羊イエスを十字架で屠る祭司の国民です。神が造られたイスラエルは、神の目的を成し遂げました。神の御子イエスを生み、罪の贖いの神の子羊イエスを屠ったのです。神の聖霊が、神の子羊イエスを死から甦らせて、神が立てられた救いのわざが完成しました。
悪魔はユダヤ人を絶滅しようと働きました。彼らを大量虐殺すると、神が立ち上がり、彼らにイスラエル国家を与えられました。そして、離散したユダヤ人を先祖の地イスラエルに集められたのです。
ユダヤ人が神の約束を忘れても、神は、イスラエルに与えられた契約を御自身の中に保っておられます。神御自身が、神の御霊によって成し遂げられます。
神がユダヤ民族を造られたのは、神の民イスラエルを造るためです。神に忠実なしもべ、神の御子救い主の贖いの血に贖われた聖なる神の子どもたちを御霊によって新しく創造し、神の御心を喜ばせる全き人を、神のひとり子キリストのために完成されるのです。
ユダヤ民族は、まだ完成していません。彼らは、主イエスを王とする、新しいイスラエルに創造されるのです。そして、彼らは、神の右に座しておられる神の子羊キリストを「主よ。来て下さい。」と呼び求め、復活した栄光のキリストを地上にお迎えするのです。