神は、エバを騙して人を罪に陥れた蛇に、仰せられました。
「おまえが、こんな事をしたので、おまえは、あらゆる家畜、あらゆる野の獣よりも呪われる。おまえは、一生、腹ばいで歩き、塵を食べなければならない。
わたし（神）は、おまえ（悪魔の子）と女（人の子）との間に、また、おまえの子孫（反キリスト）と女の子孫（人の子として生まれる神のひとり子キリスト）との間に、敵意を置く。
彼（神のひとり子キリスト）は、お前の頭（悪魔）を踏み砕き、おまえ（悪魔の子）は、彼のかかと（ヤコブ）に噛みつく。」（創世記３：１４，１５）
あらゆる家畜と、あらゆる野の獣とあるように、神は初めから、人の役に立つ家畜と、野の獣とを分けて造られたようです。
それはまるで、人の子の側につく者と悪魔の子につく者があって、神につく者と悪魔につく者に分かれるようです。
蛇は、家畜ではありませんでした。野の獣に属するものです。人の覆いの中にいないものです。そして、神は、蛇をあらゆる野の獣よりも呪われたものとされたのです。
神は、あらゆる野の獣よりも呪われた蛇と、神がアダムから取られた女との間に敵意を置かれました。土の塵から造られたアダムではなく、生きた人となったアダムのあばら骨から造られた女に、敵意を置かれました。つまり、人の子すべてと悪魔の子は敵対関係にあるのです。
蛇の子孫は、悪魔の子の子孫であり、反キリストです。女の子孫は、人の子の子孫であり、人となられた神のひとり子キリスト・イエスです。
女の子孫（全き人の子としてのキリスト・イエス）は、蛇の頭（悪魔の子らのかしらである悪魔）を踏み砕き、蛇の子孫（悪魔の子反キリスト）は、神の御子イエス・キリストのかかと（ヤコブ）に噛みつく。
ヤコブは、イスラエル民族の父です。ユダヤ民族を現わします。ヤコブの意味は、かかとです。かかとに噛みつくとは、ユダヤ民族に嚙みつくことを表現しているのです。
使徒ヨハネは言います。
「光の中にいると言いながら、兄弟を憎んでいる者は、今もなお、闇の中にいるのです。兄弟を愛する者は、光に留まり、つまづくことがありません。
兄弟を憎む者は、闇の中におり、闇の中を歩んでいるのであって、自分がどこへ行くのか知らないのです。闇（罪）が彼の目を見えなくしたからです。
子どもたちよ。私があなたがたに書き送るのは、主の御名によって、あなたがたの罪が赦されたからです。
父たちよ。私があなたがたに書き送るのは、あなたがたが、初めからおられる方（神のひとり子キリスト・イエス）を、知ったからです。
若い者たちよ。私があなたがたに書き送るのは、あなたがたが悪い者（偽り者の誘惑）に打ち勝ったからです。
世をも、世にあるものをも、愛してはなりません。もしだれでも、世を愛しているなら、その人のうちに御父を愛する愛はありません。すべての世にあるもの、すなわち、肉の欲、目の欲、暮らし向きの自慢などは、御父から出たものではなく、この世から出たものだからです。世と世の欲は滅び去ります。しかし、神の御心を行なう者は、いつまでもながらえます。
小さい者たちよ。今は終わりの時です。あなたがたが反キリストの来ることを聞いていたとおり、今や多くの反キリストが現れています。それによって、今が終わりの時であることがわかります。
彼らは私たちの中から出て行きましたが、もともと私たちの仲間ではなかったのです。もし私たちの仲間であったのなら、私たちといっしょに留まっていたことでしょう。しかし、そうなったのは、彼らがみな私たちの仲間ではなかったことが明らかにされるためなのです。」（ヨハネの手紙一２：９－１３，１５－１９）
約二千年前から多くの反キリストが現れていたようです。反キリストとは、世界の覇権を握って立ち、クリスチャンとユダヤ人を撲滅して神殿に立つと、ダニエルが預言したあの「荒らす忌むべき者」のことだけではありません。多くの反キリストがいるのです。
イエスがダビデの町ベツレヘムでお生まれになったとき、幼子イエスの命を狙う者（ヘロデ王）の手を逃れて、ヨセフはマリアと幼子イエスを連れてエジプトに下りました。
ヘロデ王は、エドム人です。エドム人は、アブラハムの子イサクの息子、双子の男の子の兄エサウの子孫です。
兄エサウは、弟ヤコブに殺意を持っていました。ヤコブに殺意を持つエサウの子孫ヘロデ王が、ヤコブの子孫ダビデの子イエス・キリストに殺意を持ったのです。
ヤコブの同胞、父イサクの子、血肉の兄弟エサウの子孫に、ヤコブの子孫ダビデの子イエスはいのちを狙われました。幼子イエスは、ヘロデ王の保身のために、「ユダヤ人の王」として命を狙われたのでした。
イエス・キリストは、イエスを殺そうと計画した祭司たちに捕らえられ、ユダヤ人たちの訴えによって、十字架につけられて殺されました。
ユダヤ人たちは、自分たちの同胞、ユダヤ人の中から出た血肉の兄弟ナザレのイエスを十字架につけて殺しました。
イエスは、ヤコブの子血肉の兄弟であるユダヤ人たちに、「ユダヤ人の王」であることを嘲られて殺されました。
悪魔の子は、神の御子を憎んでいます。神のひとり子を妬んでいます。彼に、主権を与えたくないのです。悪魔は、キリストの出現を望んでいません。神の御計画を阻止します。神のひとり子が、キリストの任務を果たしたならば、悪魔は裁かれるからです。神のひとり子に敵対する悪魔の敗北が明らかになるからです。そして、神のひとり子の主権が確定するからです。
反キリストは身内にいました。身内から出たのです。弟ヤコブに殺意を持つ兄エサウの子孫（エドム人）が、弟ヤコブの子孫（ユダヤ人）に敵対します。ヤコブから出るキリストに敵対します。
反キリストは、ユダヤ人の中にもいます。レビ族の祭司たちはユダヤ人の中から出たキリストに敵対し、ユダヤ人たちを扇動して、キリストを十字架につけました。ヤコブ（ユダヤ民族）の中で争いが起こるのです。
ユダヤ人は、イエスがユダヤ人の王となることを望みませんでした。蛇（悪魔の霊）が、ヤコブ（ユダヤ人民族）に噛みついたからです。キリストのからだのかかと（ユダヤ民族）は蛇に噛まれ、負傷しているのです。正しい判断ができません。悪魔の知識が彼らを覆います。
クリスチャンは、キリスト教会がキリストのからだであり、自分たちはキリストのからだの一部分であると信じています。しかし、このキリストのからだは負傷しているのです。キリストのかかとは負傷したままです。蛇に噛まれたのです。
それで、クリスチャンは正しい判断ができません。ユダヤ民族がキリストの御救いの約束をいただいていることを理解していません。蛇に噛まれたキリストのからだは、ヤコブ（ユダヤ民族）をキリスト殺しと言って憎みます。キリストのからだのクリスチャンが、キリストの同胞のユダヤ人、神の契約を受けている割礼の民ユダヤ人を迫害したのです。
これらは、反キリストのわざです。彼らは、キリストに敵対する悪魔に支配され、この世と世の誉れを愛し、世の欲に従ってキリストの兄弟を憎むのです。彼らのうちに御父を愛する愛はありません。
ヤコブを憎む者に、イサクの兄イシュマエルもいます。彼らは、ユダヤ民族を憎み、アブラハムの祝福をイサクの子ヤコブから奪い取ろうとしています。
ヤコブの双子の兄エサウは、父イサクの異母兄弟イシュマエルと血縁関係を結んでいます。イシュマエルとエサウの子孫は、ヤコブの子孫に噛みつきます。
イエス・キリストは、十字架で罪の呪いを打ち砕き、悪魔を踏み砕きました。しかし、今なお、悪魔の子らは、ヤコブに噛みついているのです。
キリストのからだである神の子らは、御父を愛するわざをし、悪魔の子らは悪魔のわざをします。悪魔の子には、御父を愛する愛はありません。
キリストのからだの中でも、反キリストは働きます。時が来れば、キリストの仲間とそうでなかった者が分かれます。
