ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

神の家の裁きと信仰による祝福

 

 神は、モーセを立てて、イスラエルを奴隷の家エジプトから救い出し、アブラハムの子孫イスラエルに与えると約束しておられたカナンの地(現イスラエル)に連れ上られました。

 

 エジプトで四百年の間奴隷であったイスラエルは、先祖アブラハムとイサクとヤコブとに約束されたカナンの地のことをどのように語り継いだのでしょう。

 

 父祖ヤコブがエジプトの地で死んだとき、エジプトの大臣であったヨセフ(ヤコブの十二人の息子の中で長子の権利を持つヨセフ)は、父ヤコブをミイラにしてカナンの地に運び、父のため七日間荘厳な葬儀を行ない、アブラハムの眠る、マクペラの畑地の洞穴に葬りました。

 

 それは、ヤコブが十二人の子らにこう命じていたからです。

 「『私は私の民に加えられようとしている。私をヘテ人エフロンの畑地にある洞穴に、私の先祖たちといっしょに葬ってくれ。その洞穴は、カナンの地のマムレに面したマクペラの畑地にあり、アブラハムがヘテ人エフロンから私有の墓地とするために、買い取ったものだ。

 そこには、アブラハムとその妻サラとが葬られ、そこに、イサクと妻リベカも葬られ、そこに私はレア(ヤコブの妻)を葬った。その畑地とその中にある洞穴は、ヘテ人たちから買ったものである。』

  ヤコブは子らに命じ終わると、足を床の中に入れ、息絶えて、自分の民(アブラハムの契約と祝福を相続する民)に加えられた。」(創世記49:29-32)

 

 ヤコブの家の長子ヨセフは、長子の権利を受け継ぐエフライムの三代の子孫を見、百十歳まで生きました。

 

 「エジプトの大臣をしたヨセフは兄弟たちに言った。『私は死のうとしている。神は必ずあなたがたを顧みて、この地(エジプトの地)からアブラハム、イサク、ヤコブに誓われた地(カナンの地)へ上らせてくださいます。』

 そうして、ヨセフはイスラエル(ヤコブ)の子らに誓わせて、『神は必ずあなたがたを顧みてくださるから、そのとき、あなたがたは私の遺体をここから携え上ってください。』と言った。

 ヨセフは百十歳で死んだ。彼らはヨセフをエジプトでミイラにし、棺に納めた。」(創世記50:24-26)

 

 「イスラエル人は編隊を組み、エジプトの国から離れたとき、モーセはヨセフの遺骸を携えていた。それは、ヨセフが、『神は必ずあなたがたを顧みてくださる。そのとき、あなたがたは私の遺骸をここから携え上らなければならない。』と言って、イスラエルの子ら(ヤコブの子ら、すなわちユダヤ民族)に堅く誓わせていたからである。」(出エジプト13:18,19)

 

 こうして、ヤコブの家の長子であり、ヤコブの家(ユダヤ民族)をエジプトで養ったエジプトの大臣ヨセフの遺骸は、イスラエルが出エジプトする際に、民とともに救い出されて、カナンの地へ上ったのでした。

 

 四百年の間エジプトの奴隷として苦役を強いられたイスラエルでしたが、彼らの意識は、先祖の眠るカナンの地にあったことでしょう。外国の地で虐げられていますが、彼らには、神が約束された所有の地があったのです。そこには、先祖が眠っています。イスラエルが相続するべき地です。

 

 神が、奴隷の時は四百年間と、アブラハムに告げられておられたので、アブラハムの契約の子孫イスラエルはその時が来るのを待ち望んでいたのかも知れません。

 

 四百年の時が満ちると、イスラエルは神の力強い御腕によって、エジプトから救い出され、荒野で、神と契約を結びました。

 土地(カナンの地を相続する)の契約だけではありません。イスラエルは神の民となる契約を、神と結びました。その時から、アブラハム、イサク、ヤコブの神は、ユダヤ民族の神となられました。

 

 神はイスラエルを、「わたしの民」と言い、御自身を「イスラエルの神」と名乗られました。神は御自分の民イスラエルに、神の民の守るべき掟と定めを与えられました。イスラエルは、神に聞き従う神の民として選ばれたのです。

 

 ところが、何もない荒野で疲弊したイスラエルは荒野でつぶやき、食べ物のあるエジプトに戻ろうと考える者も現われました。神に聞き従うと誓ったイスラエルが、神の良い御計画(カナンの地に導き入れる)を疑い、神が立てられたモーセとアロンに逆らい、神に逆らったのです。

 イスラエルに不平とつぶやきが蔓延して、疑いと不信仰で神を怒らせました。荒野で、神の御手は不信仰な者らを打ち、つぶやく者らを死滅させられました。彼らは、神の良い御計画を信じず、神を汚し、神を聖としませんでした。

 

 エジプトを出たときに六十万人いた成人男子のうち、神は神のことばに信頼するヨシュアとカレブのふたりだけを残して、すべて荒野で死に絶えさせました。彼らは、不信仰によって、約束のカナンの地に入ることができませんでした。

 

 しかし、神に信頼するヨシュアとカレブは、カナンの地に入りました。

 イスラエルの神、主に従い通したカレブは、ユダ族の中でヘブロンを相続地として得ました。(ヨシュア14:13,14)

 イスラエルの神、主に聞き従い通したヨシュアは、ヨシュアが求めた町、エフライムの山地にあるティムナテ・セラフを相続地として得ました。(ヨシュア19:49,50)

 ヨシュアもカレブも、信仰によって、約束のものを得たのです。

 

 神がイスラエルに約束されたメシア、すなわち、御救いを成し遂げる、モーセのような預言者(キリスト)を、預言者の預言どおりに遣わされました。

 彼はダビデの町ベツレヘムで処女マリアから生まれ、ダビデの子孫ヨセフの子としてナザレで育ち、エリヤの霊のバプテスマのヨハネから水のバプテスマを受けると、天から鳩のように聖霊が下って来て、彼の上に留まられました。

 彼は、ユダヤ人の間を歩み、病を癒し、悪霊を追い出し、死人を生き返らせ、神の義について知らせ、イスラエルの神である父について、御国について、永遠のいのちについて教え、御救いを告げられました。

 

 しかし、イスラエルは、彼を信じませんでした。ご自分を「神の子」とするナザレのイエスを、イスラエルは、神を冒瀆する罪で十字架につけ、罪のないナザレのイエスの血を流しました。

 実は、この方こそ、神がともにおられる方(インマヌエルと呼ばれるメシア)、聖霊のバプテスマを授ける神の御子キリストだったのです。

 

 神が遣わされた神の子羊キリストは罪の贖いの血を流し、祭司の国民イスラエルによって、贖いのわざを完了されました。祭司の国民の手によって子羊は屠られたのです。

 

 十字架で息絶え、墓に入った神の子羊キリストは、聖書に書いてあるとおりに三日目に墓から甦られました。復活のからだで弟子たちに現われ、弟子たちの見ている間に天に上り、弟子たちに約束された聖霊のバプテスマを授けられました。

 

 聖霊を受けた弟子たちは、御霊に聞き従い、彼らの主イエス・キリストのわざを行ないました。彼らは、復活のキリストを宣べ伝え、主が生きておられること、ナザレのイエスが十字架につけられたのは私たちの罪の贖いのためであったこと、聖書に書かれているとおり、キリストを信じる者は聖霊のバプテスマを受けて永遠のいのちを得ることを大胆に語りました。

 

 そして、神がイスラエルの御救いのために遣わされた神の子羊(ナザレのイエス)を信じなかったことを悔い改めて、神に立ち返るように宣教しました。弟子たちの宣教のことばを聞いて、悔い改めてバプテスマを受けるユダヤ人もいましたが、多くのユダヤ人は、それでもなお、イエスを信じず、イエスの弟子たちを迫害しました。

 

 神の家イスラエルは、神が遣わされたキリストを信じることなく、拒みました。神の家(イスラエル)は、天から来られた神のひとり子キリストを受け入れませんでした。

 神は、不信仰なイスラエルを怒り、彼らをカナンの地から追い出し、外国の地に離散させました。彼らは、ユダヤ人の国を失いました。イスラエルの不信仰によって、彼らは約束のものを失いました。

 

 約二千年の間、イスラエルは失われました。ユダヤ人は、諸国の寄留者となって、嫌われ迫害され苦しみました。彼らは国を持たない民族となりました。国のない流浪の民となったのでした。イスラエルの相続地カナンの地は、所有者(ユダヤ人)を失って荒れすさみました。アブラハムの相続地は、荒地となり、獣の住む場所となりました。

 

 不信仰な世代のあと、イエスをキリストと信じるユダヤ人が現れました。イスラエルの回復の時が来たのです。イエス・キリストを主とするユダヤ人が現われると、聖書のことばの成就を信じる信仰が再びユダヤ人のうちに生きて働き始めました。彼らの望みが信仰となって、神を見上げるようにされました。彼らのうちに神が訪れ、神への信仰が回復したのでした。イスラエルの神が、ユダヤ人の心をイスラエルに向けさせました。

 

 神は、彼らの信仰に応えて、ユダヤ人にアブラハムの相続地を与えられました。神は、先祖の罪(キリストを信じなかった不信仰)を赦すために、多くのユダヤ人の血を要求されました。彼らの血は裁きのためではなく、神の心をなだめる全焼の生贄として、イスラエルの神に献げられ、神はユダヤ人の不信仰の罪を赦し、彼らにイスラエルの国(ユダヤ人の国)をお与えになったのです。

 

 聖書のみことばは実現しました。

 「その日にはもはや、『イスラエルの子らをエジプトの国から上らせた主は生きておられる。』とは言わないで、ただ『イスラエルの子らを北の国や、彼らの散らされたすべての地方から上らせた主は生きておられる。』と言うようになる。わたしは彼らの先祖に与えた彼らの土地(イスラエル)に彼ら(ユダヤ人)を帰らせる。」(エレミヤ16:14,15)

 

 カナンの地は、ダビデ王の子ソロモン王がイスラエル王国を確立した土地です。ユダヤ人の先祖の地です。ユダヤ人の先祖、信仰の父アブラハムから受け継いだ、イスラエルの相続地です。

 現在、およそ二千六百三十年前のエレミヤの預言の成就の進行中です。私たちは、今、預言の成就を見ているのです。諸国に離散していたユダヤ人が、イスラエルの地に帰還しているのです。

 

 神の家は、不信仰な民によって神に裁かれ、また、不信仰を続けない残りの民(信仰の民)によって祝福されています。

 

 キリストが再び来られる終わりの日にも、神の家は、不信仰で裁かれる者(不信仰によって神の家から断ち切られる者)と、信仰を持ち続けて約束のものを得る者(神の国に入り神の国を相続する者)とに分かれるのです。