神はアブラハムに仰せられました。
「あなたは、あなたの後のあなたの子孫とともに、代々にわたり、わたしの契約を守らなければならない。
次のことが、わたしとあなたがたと、またあなたの後の子孫との間で、あなたがたが守るべきわたしの契約である。あなたがたの中のすべての男子は割礼を受けなさい。あなたがたは、あなたがたの包皮の肉を切り捨てなさい。それが、わたしとあなたがたの間の契約のしるしである。
あなたがたの中の男子はみな、代々にわたり、生まれて八日目に、割礼を受けなければならない。家で生まれたしもべも、外国人から金で買い取られたあなたの子孫ではない者も。あなたの家で生まれたしもべも、あなたが金で買い取った者も、必ず割礼を受けなければならない。
わたしの契約は、永遠の契約として、あなたがたの肉の上にしるされなければならない。包皮の肉を切り捨てられていない無割礼の男、そのような者は、その民から断ち切られなければならない。
わたしの契約を破ったのである。」（創世記１７：９－１４）
神はアブラハムと契約を結んだしるしを、男子のからだに刻まれます。割礼は、神とアブラハムとの契約のしるしだからです。割礼のない者は、契約の民ではありません。たとい、アブラハム、イサク、ヤコブの血統であったとしても、無割礼の者は、アブラハムの子孫とはみなされません。
アブラハムの子孫でない者は、アブラハムの契約と祝福を相続することはできません。アブラハムの契約と祝福を相続することが許されず、神の契約の無い無割礼の異邦人と同じ、契約のない民となります。
「無割礼の者は、肉の上に神のしるしのない者であり、神の選びの民イスラエルから断ち切られなければならない。」と神は、アブラハムに命じられました。
それゆえ、アブラハムの子孫は、神の祝福を失わないために、代々にわたり、男子に割礼を施しています。
イエス・キリストもユダヤ人の男子としてお生まれになり、割礼を受けられました。イエスも神の契約の中にいる民のひとりです。
モーセは同胞のユダヤ民族を神と契約を結ばせて神の民としました。そして、神の民イスラエルが守るべき神の律法を神からいただいたレビ人のモーセは、イスラエルの民に命じました。
「神である主は、あなたがたのために、私（モーセ）を立てられたように、ひとりの預言者を、あなたがたの兄弟たちの中からお立てになる。この方があなたがたに語ることはみな聞きなさい。
その預言者に聞き従わない者はだれでも、民の中から滅ぼし絶やされる。」（使徒３：２２，２３）
ユダヤ人たちは、モーセが命じた、モーセのようなひとりの預言者のことを、「メシア」と理解しています。ユダヤ人は、聖書によって、メシアが現われたなら、メシアに聞き従わなければならない、と言い伝えられてます。
メシアが現われたならば、神の契約の民イスラエルのために、すべての敵を踏み砕き、イスラエルの王国を再興されるでしょう。メシアはイスラエルの王となられるはずです。
神のしもべアブラハムと契約を結び、アブラハムとアブラハムの子孫に「割礼」を命じられた神は、アブラハムの契約と祝福を受け継ぐアブラハムの子孫イスラエルと契約を結び、律法を与えて神の戒めを守るように命じられました。そして、割礼のしるしを持ち、神の戒めを守る民を神の民イスラエルとされ、御自身をイスラエルの神とされたのでした。
イスラエル（ユダヤ民族）と契約を結ばれた神は、神のしもべモーセを通してイスラエルに、モーセのようなひとりの預言者を立てることを約束され、その預言者に聞き従わない者はだれでも（祭司やレビ人であっても）、神の民から断ち切られる、と警告されました。
モーセは、奴隷の家エジプトから、アブラハムの子孫（アブラハムの契約と祝福を受け継ぐイスラエル）を救い出して、神の約束の地、父祖アブラハムとイサクとヤコブの眠るカナンの地に向かわせました。
モーセは、神をイスラエルの前で聖としなかったために途中荒野で息絶え、カナンの地を見るがカナンの地に入ることはできませんでした。また、不信仰で不服従な成人男子は、神を信じ続けたヨシュアとカレブのふたりを残して、みな、荒野で息絶えました。
神は、民に、モーセのようにヨシュアに聞き従わなければならないと命じられました。イスラエルの信仰を正し、イスラエルをカナンの地に導き入れたのは、モーセの従者であったヨシュアでした。
イスラエルは、モーセから、ユダヤ人から出るモーセのようなひとりの預言者に聞き従わなければ、民の中から滅ぼし絶やされることを聞いています。
モーセが奴隷の家エジプトからイスラエルを救い出し、約束の地に導き上ったように、ユダヤ人から出るモーセのようなひとりの預言者は、この世の奴隷、罪の奴隷から民を救い出し、罪の働かないエデンの園のような新しい神の世に入れてくれるはずです。
神が用意されたモーセのようなひとりの預言者は、モーセがイスラエルに神の律法を与えたように、罪の世から救われ神の国に入る新しい律法（キリストの御霊）を授けられます。
アブラハムの子孫イスラエルは、肉の割礼のしるしを持ち、モーセの律法を掟とする民です。彼らは、神の約束どおり、カナンの地に入り、イスラエル国家を築きました。
モーセのようなひとりの預言者は、メシアです。この世のものではありません。神のひとり子です。永遠に生きるキリストです。
イスラエルに、「彼（主キリスト）に聞き従わない者はだれでも、神の民の中から滅ぼし絶やされる。」とモーセが命じた「ひとりの預言者メシア」は、神の子羊としてユダヤ人の間に生まれ、十字架で罪の贖いの血を流された「ナザレのイエス」でした。
イエスは、聖書の預言どおり、ベツレヘムで処女から生まれ、ユダヤ人たちに天の御国を知らせ、神について教え、真理を明らかされて、正しい人、神の子であるがゆえに、ユダヤ人たちから憎まれ嫌われ木にかけられて、世の罪を取り除く神の子羊キリストの血を流されました。
神が遣わされるモーセのようなひとりの預言者は、聖霊のバプテスマを授けるキリストです。罪の贖いの血を流して世の罪を赦し、悪魔に勝利して死から甦り、天の父なる神の御座の右に着座された神のひとり子です。
復活のキリストは、神の栄光を受け、イエス・キリストを信じる者に聖霊のバプテスマを授けられます。イエス・キリストは、死から甦らす「生かす御霊」を授ける権威を持つメシアです。
メシアが現われると、肉なる者は霊なる者に造り変えられます。なぜならば、メシアが導き入れる約束の地は、霊的な世界だからです。天の御国に導き入れるために、肉なる人を、生かす御霊の新しい創造によって、霊なる人に造り変えられるのです。
アブラハムの割礼のしるしも、モーセの律法も、新しく霊なるものに造り変えられなければ、天の御国に入ることができません。神の子羊キリスト・イエスは、新しい割礼と新しい律法を持って来られました。永遠のいのちを得させ、天の御国に入らせるためです。
神の子羊キリスト・イエスは、モーセの律法をご自分において全うされました。イエスは、罪を犯すことなく、律法をことごとく守られ、文字の律法を完成させたお方です。
そして、神の御子イエスは、神がイスラエルにお与えになった契約である肉の割礼と石の板に書かれた律法を、キリストの御霊の新しい創造によって、心の割礼と心に記される御霊の律法に一新されました。
神は、新しいものが現われたことで、以前のものを古いとされました。
古いものは肉に対しての契約であり、肉の割礼と文字の律法を守ることを要求されます。
しかし、新しいものは、肉に死んで御霊にて生きる霊に対しての契約であり、御霊による心の割礼と心に住まわれる御霊に聞き従うことを要求されます。
神がイスラエルに聞き従わなければならないと命じられた預言者（神のひとり子キリスト）は、神がイエス・キリストの御名でお授けになる御霊によって、子羊の血で罪贖われた土の器を、御霊の器、御霊の宮に造り変えられるように導かれます。
その預言者（神の御子イエス・キリスト）の命じられたことは、「聖霊を受けよ。」でした。その預言者に聞き従わない者はだれでも、神の民の中から滅ぼし絶やされます。キリストによる新しい契約のしるしは、聖霊（キリストの御霊）なのです。
かつて、イスラエルに「無割礼の者は、その民から断ち切られなければならない。わたしの契約を破ったのである。」と仰せられた神は、新しい永遠の契約に入る者たちにも、契約のしるしの心の割礼（御霊の内住）を命じられます。
神は、心の割礼と、キリストの生かす御霊の臨在を認められない者を無割礼の者とみなされ、神の契約を破った者として、キリストの民から断ち切られることでしょう。
神のしもべモーセがイスラエルを奴隷の家エジプトから連れ出して荒野に導き、神が立てられたヨシュアがカナンの地に連れ上りました。そして、カナンの地にイスラエル国家が建国されました。
神のしもべイエス・キリストが神の民（神の子ども）を罪の奴隷、世の奴隷から救い出し、神がイエス・キリストの御名によって授けられるキリストの御霊（生かす御霊）が神の国に導き入れるのです。そして、カナンの地にイエス・キリストをイスラエルの王とする、千年間のイスラエル王国が建てられるのです。
