ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

もう一つのイスラエル

 

 ダビデの子ソロモンは、エルサレムに神の神殿を建て、イスラエル王国を確立しました。

 

 神である主は、ソロモンの夢のうちに現われ、「あなたに何を与えようか。願え。」と仰せられました。(列王記第一3:5)

 ソロモンは言いました。「善悪を判断してあなたの民をさばくために聞き分ける心をしもべ(私)に与えてください。さもなければ、だれに、このおびただしいあなたの民(イスラエル)をさばくことができるでしょうか。」(列王記第一3:9)

 

 このソロモンの願い事は、主の御心にかないました。

 「神はソロモン王に仰せられた。

 『あなたがこのことを求め、自分のために長寿を求めず、自分のために富を求めず、あなたの敵のいのちをも求めず、むしろ、自分のために正しい訴えを聞き分ける判断力を求めたので、今、わたしはあなたの言ったとおりにする。

 見よ。わたしはあなたに知恵の心と判断する心とを与える。あなたの先に、あなたのような者はなかった。また、あなたのあとに、あなたのような者も起こらない。

 その上、あなたの願わなかったもの、富と誉れとをあなた(ソロモン)に与える。あなたの生きているかぎり、王たちの中であなたに並ぶ者はひとりもいないであろう。』」(列王記第一3:11-13)

 

 神に喜ばれたソロモン王は、知恵者となり、多くの富を得る者となりました。

 

 ソロモン王は祈りました。「だれでも、あなたの民イスラエルがおのおの自分の悩みを知り、この宮(神殿)に向かって両手を差し伸べて祈るとき、どのような祈り、願いも、あなた御自身が、あなたの御住まいの所である天で聞いて、赦し、またかなえてください。」(列王記第一8:38,39)

 

 また、外国人についても祈りました。「あなたの民イスラエルの者でない外国人についても、彼があなたの御名のゆえに、遠方の地から来て、この宮(神殿)に来て祈るとき、あなた御自身が、あなたの御住まいの所である天でこれを聞き、その外国人があなたに向かって願うことをすべてかなえてください。そうすれば、この地のすべての民が御名を知り、あなたの民イスラエルと同じように、あなた(天の神)を恐れるようになり、私(ソロモン)の建てたこの宮では、御名が呼び求められなくてはならないことを知るでしょう。」(列王記第一8:41-43)

 

 しかし、ソロモン王は外国人の女たちを愛し妻としたことで、神の命令に背きました。ソロモン王は、父ダビデが全き心と正しさをもって神の前に歩んだようには歩みませんでした。ソロモンは、神に命じられたことをすべてそのまま実行し神の掟と定めとを守る者ではありませんでした。

 

 ソロモンには、七百人の王妃としての妻と、三百人のそばめがあり、その妻たちがソロモン王の心を転じました。その妻たちがソロモンの心をほかの神々のほうへ向けたので、ソロモンの心は、父ダビデの心とは違って、イスラエルの神、主と全く一つになっていませんでした。

 

 「主は怒りを発せられた。それはソロモンの心がイスラエルの神、主から移り変わったからである。主は二度もソロモンに現われ、このことについて、ほかの神々に従って行ってはならないと命じておられたのに、ソロモンは主の命令を守らなかったからである。

 それゆえ、主はソロモンに仰せられた。

 『あなた(ソロモン)がこのように振る舞い、わたし(主)が命じたわたしの契約(わたし〈イスラエルの神〉のほかに、ほかの神々があってはならない。)と掟〈カナンの地の住民と婚姻を結んではならない。)を守らなかったので、わたし(イスラエルの神)は王国(イスラエル王国)をあなたから必ず引き裂いて、あなたの家来に与える。

 しかし、あなたの父ダビデに免じて、あなたの存命中は、そうしないが、あなたの子の手からそれを引き裂こう。

 ただし、王国全部を引き裂くのではなく、わたしのしもべダビデと、わたしが選んだエルサレムのために、一つの支族(サウル王を輩出した王族、ベニヤミン族)だけをあなたの子に与えよう。」(列王記第一11:11-13)

 

 預言者アヒヤは、ソロモン王の家来ヤロブアムに言いました。

 「イスラエルの神、主は、こう仰せられます。

 『見よ。わたし(神)はソロモンの手から王国を引き裂き、十支族をあなたに与える。しかし、彼には一つの支族だけが残る。それは、わたしのしもべダビデと、わたしがイスラエルの全支族の中から選んだ町、エルサレムに免じてのことである。

 わたしが選び、わたしの命令と掟とを守ったわたしのしもべダビデに免じて、ソロモンが生きている間は、彼(ソロモン)を君主としておこう。

 しかし、わたし(イスラエルの神)は彼(ソロモン)の子の手から王位を取り上げ、十支族をあなた(ヤロブアム)に与える。

 彼(ソロモン)の子(レハブアム)には一つの支族(ベニヤミン族)を与える。それはわたし(イスラエルの神)の名を置くために選んだ町、エルサレムで、わたしのしもべダビデがわたしの前にいつもともしびを保つためである。

 わたし(イスラエルの神)があなた(ヤロブアム)を召したなら、あなたは自分の望むとおりに王となり、イスラエルを治める王とならなければならない。

 このために、わたし(イスラエルの神)はダビデの子孫を苦しめる。しかし、それを永久に続けはしない。」(列王記第一11:31,32、34ー37,39)

 

 神のことばは成就しました。

 ソロモンの子レハブアム王の治世に、ソロモン王が確立したイスラエル王国は、ソロモンの子レハブアム王が治める二支族(ユダ族とベニヤミン族)によってなる「南ユダ王国」と、ヤロブアム王が治める十支族によってなる「北イスラエル王国」の二つの王国に分裂しました。

 

 ところが、北イスラエル王国は、背信の罪で、アッシリア捕囚されました。

 このことについて、預言者エレミヤは、このように記しています。

 「ヨシヤ王の時代に、主(イスラエルの神)は私(エレミヤ)に仰せられた。

 『あなた(エレミヤ)は、背信の女イスラエル(北イスラエル王国)が行なったことを見たか。彼女(北イスラエル)はすべての高い山の上、すべての茂った木の下に行って、そこで淫行(偶像礼拝)を行なった。

 わたし(イスラエルの神)は、彼女(北イスラエル)がすべてこれらのことをしたあとで、わたしに帰って来るだろうと思ったのに、帰らなかった。また裏切る女、妹のユダ(南ユダ王国)もこれを見た。(ユダ族とベニヤミン族は、十支族がアッシリアに引いていかれるのを見た。)

 背信の女イスラエル(十支族)は、姦通したというその理由で、わたし(イスラエルの神)が離婚状を渡してこれ(十支族)を追い出したのに、裏切る女、妹のユダは恐れもせず、自分(南ユダ)も行って、淫行(偶像礼拝)を行なったのをわたし(イスラエルの神)は見た。(イスラエルの神を裏切り、背信の罪を犯した十支族がイスラエルの地から引き抜かれ、先祖の地から追い出されたのを見ていながら、二支族も、十支族と同じように、ほかの神々を拝んだ。)

 彼女(二支族)は、自分の淫行(偶像礼拝)を軽く見て、国(先祖の地である聖なる神の国イスラエル)を汚し、石や木と姦通した。(イスラエルの地を汚し、偶像で満たした。)

 このようなことをしながら、裏切る女、妹のユダ(二支族)は、心を尽くしてわたし(イスラエルの神)に帰らず、ただ偽っていたにすぎなかった。』」(エレミヤ3:6-10)

 

 二支族の背信をご覧になった神は、仰せられました。

 「背信の女イスラエル(十支族)は、裏切る女ユダ(王族の二支族)よりも正しかった。行って、次のことばを北(北イスラエル)のほうに呼ばわって言え。

 『背信の女イスラエル。裏切る女ユダ(二支族)よりも正しかった。

 ―主の御告げ。―わたしはあなたがた(北イスラエル)を叱らない。わたし(イスラエルの神)は恵み深いから。

 ―主の御告げ。―わたしは、いつまでも怒ってはいない。ただ、あなたは自分の咎を知れ。」(エレミヤ3:11-13)

 

 神は、イスラエルの地から引き抜き契約を取り除いた北イスラエルの罪を赦すこと、そして、再びイスラエルの神の民とされることを告げられました。

 イスラエルの神の民は、イエス・キリストを生んだユダのほかに、イスラエルの地から引き抜かれたイスラエルがあるのです。神は、南ユダの二支族を「ユダ」と呼び、北イスラエルの十支族を「イスラエル」と呼ばれます。

 

 このイスラエルが、東の果ての島国に国を持ったとしたらどうでしょう。イスラエルの神との契約は失いましたが、再び神が招いておられるイスラエルです。

 現在、イスラエルと呼ばれている国は、1948年に建国された若い国です。土地そのものは古くても、ユダヤ人が集められて一つの国民となってから八十年も経っていません。

 しかし、東の日本は、イスラエルが離散する以前からずっと、一つの国として存続しています。海に囲まれ、他の民族と混じり合うこともありません。自然豊かで穏やかな環境です。彼らの父祖ヤコブは、猟師で野の人の兄エサウとは異なり、穏やかな人となり天幕に住む人でした。日本の先住民たちは霊なる神を信じる人々で、聖書を知らないアブラハムの信仰とよく似ており、神の選びの民イスラエル(北イスラエル)の信仰を守るのに最適な国だったと思います。

 

 「背信の子らよ。帰れ。

 ―主の御告げ。―わたし(イスラエルの神)が、あなたがたの夫になるからだ。わたしはあなたがたを、町からひとり、支族からふたり選び取り、シオンに連れて行こう。

 また、あなたがたに、わたし(イスラエルの神)の心にかなった牧者たちを与える。彼らは知識と分別をもってあなたがたを育てよう。」(エレミヤ3:14,15)

 

 死海文書の「イスラエルの救世主」を、現在のイスラエルの国から出ると考えるのには無理があると考えるようになりました。なぜならば、1948年に建国されたばかりの国だからです。様々な言語の諸外国から集まったユダヤ人たちが、一つの言語一つの国民となり、ひとつ心となってイスラエルの神に仕える神の民となるには、時間が足りません。

 イスラエルの救世主を、「北イスラエルの救世主」と考えることができます。

 

 神は、北イスラエルに対して、預言者エレミヤを通して語っておられます。

 「わたしはあなたがたを、町からひとり、支族からふたり選び取り、シオンに連れていこう。」

 北イスラエルが、日本の地にいると想定してみると、町から立てられるひとりは、ホピ族の待つ「白い兄」、支族から立てられるふたりは、「白い兄」が連れて来る「ふたりの従者」のことと捉えることができます。

 

 「あなたがた(北イスラエル)に、わたし(神)の心にかなった牧者たちを与える。」正しい道に導くために、複数の牧者が立てられるようです。

 

 その後、南ユダ王国もバビロン捕囚されることとなりました。しかし、神に忠実なダビデゆえに、ダビデとの約束(ダビデの王座に着くとこしえの王を与える)を成就させるために、バビロンの地でユダを神に立ち返らせた神は、ユダをイスラエルの地に帰還させて、ダビデの子、とこしえの王である神の御子イエス・キリストを遣わされました。

 

 イエスはユダヤ人たちに言われました。

 「わたしにはまた、この囲いに属さないほかの羊があります。わたし(救世主イエス・キリスト)はそれをも導かなければなりません。彼らはわたしの声に聞き従い、一つの群れ、ひとりの牧者となるのです。」(ヨハネ10:16)

 

 日本では、イエス・キリストが来られたというような伝承が残っている地域があります。もし、日本に、北イスラエルがいるのならば、復活のキリストが四十日間地上におられたときに、日本に来られたのかも知れませんね。

 あるいは、世界中に散っているヤコブの子孫のところに行っておられるのかも知れませんね。