ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

二つの契約

 

 神はアブラハムと契約を結ばれ、カナンの地の全土を、アブラハムとアブラハムの後の子孫に永遠の所有として与えることを約束されました。アブラハムにまだ子どもがいない頃、ウルの地から出て来たアブラハムが、カランの地を出てカナンの地に入った時に言われたのです。

 

 神の一方的な契約でした。アブラハムが願ったのではありません。神はアブラハムに言われました。「あなた自身から生まれ出て来る者が、あなたの跡を継がなければならない。天の星を数えることができるなら、それを数えなさい。あなたの子孫はこのようになる。」アブラハムは主を信じました。

 

 主は、アブラハムの信仰をもって義とし、カナンの地についても語られました。「わたしは、この地をあなたの所有としてあなたに与えるために、カルデヤ人のウルからあなたを連れ出した主である。」主は、カナンの地をアブラハムの所有とする保証として、神の契約のしるしを現されました。

 

 主はアブラハムに命じられました。「わたしのところに、三歳の雌牛と、三歳の雌やぎと、三歳の雄羊と、山鳩とそのひなを持って来なさい。」アブラハムはそれら全部を持って来て、それらを真っ二つに切り裂き、その半分を互いに向かい合わせにした。猛禽がその死体の上に降りて来たので、アブラハムはそれを追い払った。

 

 そして、神は、アブラハムの子孫が自分たちのものでない国で寄留者となり、彼らは奴隷とされ、四百年の間、苦しめられること、しかし、彼らを奴隷とした国民を神が裁くこと、その後、彼らは多くの財産を持って、そこから出て来るようになることを仰せられました。アブラハムにまだ、子どもがひとりも生まれていない時に、アブラハムの子孫が遭遇する事柄を語られたのです。このことが神から出ていること、これは神が定めた計画であり、神の計画がアブラハムから始まることを示されました。

 

 子孫も土地も神の計画のうちにあり、アブラハムの子孫が神の計画を担うことまで知らされています。これは、神から出たことでした。人によるものではありません。神が御自身のため、また、死の呪いを受けたアダムの子孫のために設けられた定めでした。

 

 さて、日は沈み、暗闇になったとき、その時、煙の立つかまどと、燃えているたいまつが、あの切り裂かれたものの間を通り過ぎました。目に見えない主が燃えているたいまつとなって、切り裂かれたものの間を通り過ぎたのでした。神から出た契約のために、アブラハムは神に命じられた献げ物を用意しました。それで、アブラハムは、神の栄光を見たのでした。

 

 神は、アブラハムを受け入れ、また、真っ二つに切り裂かれた血の犠牲をもって、契約を結ばれたのです。

 

 アブラハムの子イサクの子ヤコブの子孫に、神のことばが成就しました。土地の契約(カナンの地を所有する契約)は、確かなものとなりました。アブラハムの子孫、ヤコブの子孫の時代にそれは起こり、奴隷の家(エジプト)を出て、神が父祖アブラハムに与えたカナンの地に向かいます。

 

 神はしもべモーセを立て、ヤコブの子孫をエジプトからカナンの地に導かれました。その旅路、シナイ山でモーセに十戒を与え、ヤコブの子孫をユダヤ民族とし、まことの神に仕える神の民イスラエルとされたのです。

 

 神は、主と契約を結んだアブラハムの子孫ヤコブの子イスラエルの民に、アブラハムの契約を相続させられたのです。

 

 神は、アブラハムの契約を成就されました。土地の契約は、ヤコブの子孫が受け継ぎ、カナンの地がアブラハムの子孫の所有となりました。アブラハムの子孫イスラエルは、モーセが民に与えた律法によって、神と契約を結びました。それが旧約聖書に書かれています。

 

 イスラエルは、先祖の地(アブラハム、イサク、ヤコブが受け継ぐカナンの地)を所有し、ヤコブの子ユダの子ダビデの子、イエスを生みました。イエスは、神がアブラハムに語られた永遠の契約の子孫です。

 

 かつて、主がアブラハムに現れ、契約を結ばれたように、主はイスラエルの預言者たちに、アブラハムに契約した子孫(キリスト)が生まれることを語られました。彼(キリスト・イエス)は、永遠に神と契約を結ぶ子孫です。

 

 神は、イエス・キリストを世に生むために、アブラハムと契約を結び、アブラハムの子孫イスラエルを生み出されたのです。そして、神の民イスラエルに救世主イエスを遣わされたのです。

 

 イエスは、世の始まる前から神とともにおられた神の御子です。アブラハムの主です。アブラハムの主、神の御子が、神の子を生むために、肉体をもって地に来られました。アダムとエバを創造された神の計画にあった「人の子」です。

 

 神は、御子イエスを通して、人と契約を結ばれました。イエスは、生贄の神の子羊となって、人の罪を贖う、贖いの子羊の血を献げられたのです。

 

 一方的に血の犠牲によってアブラハムと契約を結び、アブラハムの子孫イスラエルに律法による契約を与えられた創造主。創造主は、再び、贖いの子羊の血によって新しい契約を与えられました。

 

 子羊イエスの血によって、律法による契約を古いとされ、イエスの血による新しい契約を与えられました。イエスの血による契約は、ユダヤ民族の垣を超えて、全人類に及びました。神との契約のなかった国や民族も、子羊イエスの血の契約の中に入ったのです。この契約は、地に属する契約ではありません。天から与えられた、天に属する契約です。永遠の契約です。

 

 イエスは、肉なる者と結んだ「石の板に書かれた律法の契約」を古いとし、イエスの血によってきよめられた霊なる者と結んだ「心の板に書かれた御霊の契約」を新しい契約とされました。それが新約聖書に書かれています。

 

 二つの契約(旧約聖書と新約聖書)が、イエス・キリストを証しています。永遠の御国との契約は、御霊による新しい契約です。キリストの血と、御霊によって結ばれた契約が、天に帰る天上の契約であり、永遠に続く霊的な契約です。

 

 神は、一方的に恵みの契約を人と結ばれました。アブラハムが神を信じ、神に命じられた動物を用意したように、「主イエスを信じ、御霊に従いなさい」という神のことばを信じ、神の命令に従うことで、この契約は締結されます。

 

 人類のために永遠のいのちはすでに用意されています。それを受け取るのに必要なのは、信仰です。アブラハムは神の約束を信じた。それが彼の義とされました。人がキリスト・イエスの永遠のいのちを信じるならば、神はその人を義とされます。

 

 新しい契約のために、創造主は神の子羊イエスを遣わされました。人がそのことを信じるならば、神と契約を結ぶことになります。そして、神の契約に留まるならば、神の契約は実現するのです。