創世記一章に、永遠の昔からおられる全知全能の神、唯一の神であられる主が、天と地と海、天体や生き物、人を創造されたことが書かれています。
人は、神の創造の第六日に造られました。地を造られた神は、地に植物を生じさせ、地も海も、生き物を生かす環境にしてから、神は、その種類にしたがって、生き物を造られました。
すべてが出揃うと、神は、これらの環境、海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配させるために、御自身のかたちに似た人を造られました。
人は、神の被造物すべてを支配する者として造られたのでした。神の特別な役割をもって造られたのは、創造物の営みを支え、終りの時を知らせるためのしるしを与える「太陽と月と星」と、神のすべての創造物を支配する「人」でした。
「子羊が第六の封印を解いたとき、大きな地震が起こった。そして、太陽は毛の荒布のように黒くなり、月の全面が血のようになった。そして天の星が落ちた。それは、いちじくが、大風に揺られて、青い実を振り落とすようであった。」(黙示録6:12,13)
神は、なんと、創造の時点で、人の堕罪も、神のひとり子イエスによる御救いも、悪魔の滅びも、永遠の安息も、ご覧になっておられたのです。神は永遠の安息のために、創造七日目の休みに入られる前にすべてのものを備えられて、神の創造のわざを完成されました。
天地万物を創造された神は、六日間で創造されましたが、その一日は、人間の一日二十四時間とは異なります。神の創造の一日は、人間の一日を何千倍、何万倍もした長さなのでしょう。
神の創造の第六日の終わりに、人は造られました。そして、神は創造のわざを終え七日目の休みに入られました。
人を造られると、神は創造のわざを終えて、休みに入られたのです。つまり、人の歴史は、神の創造が完成された中にあるということです。
神の創造のように、人の歴史を七日間に置き換えてみましょう。人の千年を神の一日として捉えて考えると、わかりやすいです。
アダムとエバが造られ、エデンの園に置かれました。生き物の糧は、草や樹木の実でした。争いの無い、平和な世界です。
人の第一日です。
この一日のうちに、人には多くの変化がありました。エバは、神に敵対する悪魔の言葉を語る蛇の言葉に騙され、また、アダムは、神よりも妻エバを愛してエバの言葉に聞き従い、神の命令から外れました。
神のことばから外れたアダムとエバは、神の警告どおり、いのちを失い、死ぬ者となりました。
死ぬ者となった人は、いのち輝くエデンの園から追放されました。天使長が神に逆らい、天から追放されたのと同じです。
天から追放された堕天使長は闇で悪魔となり、悪魔に従う堕天使たちは悪霊となりました。エデンの園から追放された人は、悪魔の支配下に入れられ、悪魔の奴隷、罪の奴隷、闇の子となりました。
エデンの園から追放された人(アダムとエバ)の息子カインは、弟のアベルの正しいのを妬んで殺しました。アベルの血は、その土地から叫び、その土地は呪われました。
その後、アダムは、彼に似た、彼のかたちどおりの子セツを生みました。
セツから、「人の子」の歴史が始まりました。セツの子孫に、神とともに歩み、神に喜ばれて死を見ることなく移されたエノクがおり、エノクの子孫に、レメクが生まれました。
人の第ニ日にノアが生まれました。
その父レメクは、「主がこの地を呪われたゆえに、私たちは働き、この手で苦労しているが、骨折り働く私たちをこの子は慰めるであろう。」と言って、ノア(休息)と名づけました。
人が地上に増え、人の娘が生まれると、神の子ら(悪魔の支配下に入らず悪霊にならなかった堕天使たち)は、人の娘を妻として、彼らに子どもができると、地上に人の悪が増大し、心は悪いことだけに傾きました。
神は、堕落した地をご覧になると、地上の生き物は道を乱し、暴虐に満ちていました。神は、すべての肉なるものを地とともに水で滅ぼすことを決意され、正しい人ノアに箱舟を造るように命じられました。
ノアとノアの家族が箱舟に入り、水の中をくぐり抜けて、水で洗われ一掃された地で再スタートしました。
ノアの息子ハムの子孫に、最初の権力者二ムロデが生まれ、神に逆らう心の彼は、人々を扇動してバベルの塔を築き始めました。神は、一つことばであったことばを多くの言語で混乱させてバベルの町を建てるのをやめさせられました。そこで神が、言葉を混乱させたのでバベル(混乱)と呼ばれ、神は人々を地の全面に散らされました。
ノアの息子セムの子孫ペレグ(分ける)の時代に、地が分けられました。そのペレグの子孫に、テラが生まれ、テラにアブラムが生まれました。テラとアブラムたちは、カナンの地に行くために、偶像の町ウルから出ましたが、カランまで来て、そこに住みつきました。
人の第三日です。
神は、正しい人アブラムを選び、アブラムを召して仰せられました。
「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、私が示す地に行きなさい。そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたの名は祝福となる。
あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたを呪う者をわたしは呪う。
地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。」(創世記12:1-3)
アブラムは、主がお告げになったとおりに出かけました。アブラムと妻サライは甥やしもべらを伴い、カナンの地に入りました。
神は、アブラムをアブラハムに改名して、神との契約のしるしとして割礼を命じられました。神は、妻サライをサラに改名されて、アブラハムとサラを、国々の父、国々の母とされました。
神は、九十歳の妻サラに百歳のアブラハムの子イサクをお与えになり、アブラハムの契約と祝福をイサクに相続させて、イサクの子孫を、アブラハムの子孫と仰せられました。
神は、イサクにヤコブを与え、ヤコブをイスラエルと呼ばれました。神は、ヤコブを選び、ヤコブの子孫イスラエルと契約を結ばれました。
神は、イスラエルに神の律法を与え、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神に仕える、神の民とされたのです。
神は、ヤコブの子らユダヤ民族を四百年の間、奴隷の家エジプトでの苦役で苦しみを与え、奴隷のアイデンティティのユダヤ民族を、神の奴隷に入れ替えられました。
アブラハムの神と契約を結ぶユダヤ民族(イスラエル)は、神に聞き従い、カナンの地に入り、カナンの地を所有しました。
人の第四日。
カナンの地にイスラエル国家を建てたイスラエルに、神がダビデを選び、イスラエルの王とされました。神は、預言者ナタンにことばを授け、ダビデ王に、「主があなたのために一つの家を建てる。」と告げられました。そして、ダビデの王座は堅く立つこと、その王座に着き、とこしえにイスラエルを治める王(キリスト)を与えることを約束されました。
神は、約束どおり、神のひとり子に肉体を造り、ダビデの子孫ヨセフの許嫁の妻処女マリアから、ダビデに約束された「ダビデの子(キリスト)」を、ダビデの町ベツレヘムで誕生させられました。
神の御子イエスがお生まれになった時、主の御使いが、羊飼いたちに現われ言いました。
「私はこの民全体(ユダヤ民族)のためのすばらしい喜びを知らせに来たのです。きょうダビデの町で、あなたがたのために、救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。」(ルカ2:10,11)
人の第五日。
世の罪を取り除く神の子羊が屠られました。
神には、地上に、神に仕える祭司の国民イスラエルがいました。神は、祭司の国民ユダヤ人に、神の子羊を屠らせなさいました。
神は、祭司の手から罪の贖いの神の子羊の血を受け取られました。それで、イスラエル(神の民)の罪は贖われました。
神は、子羊イエスの血によって、キリスト・イエスを信じる者の罪を赦し、義とされます。キリストは、聖霊のバプテスマを授け、生かす御霊によって、人の子を神の子どもに造り変えるメシア、救世主です。
イエスの弟子たちは、死に至るまで忠実にキリストの福音を宣べ伝えました。ユダヤ人から始まった御救いが、異邦人にも及び、キリストの福音は、異邦人にも広められました。
ユダヤ人たちは、神が遣わされた神のひとり子イエス・キリストを信じることなく、イエスの弟子たちを迫害して、神の怒りを買って、約束のカナンの地(イスラエル)から散らされました。彼らは、国を失いました。国民を失ったイスラエルの地は荒廃しました。
キリストの救いと教えは、ユダヤ人から取り上げられてローマに支配されました。異邦人の信者が、ユダヤ人を締め出し、迫害し、御霊を消しました。神の栄光は、人間の栄誉にすり替えられ、キリスト教は神の御救いから遠く離れました。
人の第六日。
暗黒の時代を経て、人間の自己満足な好き勝手な礼拝、魂を満たさない儀式的礼拝、教義に明け暮れる教会に満足せずに真理を求める者が起こされ、生ける神との霊的な交わりや生ける神への信仰に飢え渇き、神はそれに応えられました。
聖霊を消す混乱期を経て、再び、イエス・キリストの御名を呼ぶ者たちに、聖霊のバプテスマが授けられるようになりました。
ユダヤ人の中にも、イエス・キリストを、神が遣わされたメシアであると告白する者が現われ、世界に離散していたユダヤ人たちが、先祖の地に帰還し、神は、約束どおり、ユダヤ人の国イスラエルを回復されました。
また、キリストの民は御霊によって生まれ、生かす御霊によって新しい創造を受け、御霊の教会が建て上げられています。
世は反キリストが立ち、悪魔の支配となりますが、キリストが天の軍勢とともに来て、反キリストと偽預言者を生きたまま火の池に投げ入れ、悪魔の軍勢を滅ぼし、人の世を終了されます。
人の第七日。
イスラエルの王(キリスト・イエス)が地上に来られて、千年の地上王国が建てられます。エデンの園の回復であり、争いのない平和な世となります。いのちの木の実を食べる者は七つの御霊の教会に加えられ、永遠のイスラエル(神の子どもたち)が、神とイスラエルの王のために完成します。
イスラエルの契約、また、イスラエルが相続したアブラハムの契約と祝福はすべて、成就します。
人の七日間を要約すると、
第一日。人の創造。エデンの園と堕罪。
第二日。水の洗い。
第三日。神の祭司の国民イスラエル。
第四日。イスラエルに遣わされた神のひとり子キリスト。
第五日。神の子羊キリストの罪の贖いと罪の赦し。
第六日。聖霊のバプテスマ、生かす御霊の新しい創造。
第七日。イスラエルの王によるエデンの園の回復。人の子(神の民)の完成。
イスラエルの王(神の子羊キリスト)が統べ治められる千年間は、争いがなく、平和で、被造物が安息します。永遠の安息に入る前の仮庵の時です。
人の七日目の完成するときが、神の創造の第七日目が完成する時だと思います。
第七日目が完成すると、羊とやぎ、良い麦と毒麦、光の子と闇の子が分けられ、羊、良い麦、光の子は、天の御国に集められて神と子羊の栄光をたたえ、神も、天にあるすべてのものも、永遠の安息に入るのでしょう。