ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

イエスが地に投げ込んだ火

 

  「わたしが来たのは、地に火を投げ込むためです。だから、その火が燃えていたらと、どんなに願っていることでしょう」と主イエスはいわれます。

 

  「あなたがたは、地に平和を与えるためにわたしが来たと思っているのですか。そうではありません。あなたがたに言いますが、むしろ、分裂です。

 

  いまから、一家五人は、三人が二人に、二人が三人に対抗して分かれるようになります。父は息子に、息子は父に対抗し、母は娘に、娘は母に対抗し、姑は嫁に、嫁は姑に対抗して分かれるようになります。」

 

  イエスは平和の王で、争いを退けられるし、不和を望まれないお方だと思っていたのに、何ということでしょう。

 

  イエスは、ご自身で、地に分裂を与えるためにやって来たといわれるではないですか。しかも、社会を構成する最小単位の家族の中から分裂が起こることをいっておられます。

 

  最小単位からの分裂は、社会全体の崩壊を意味します。しっかり立っている山が、内側から崩れ落ち、もはや山の形状を保つことが出来ないことを意味しています。

 

  社会の在り方、人の生き方がすっかり変わることを意味します。いままで保っていた体制が、別のものに切り替わり、価値観も土台から覆されて、人々の心は安定を欠き、不安と恐れに満ちます。

 

  イエスは、天上の価値観を携えて、地に下られました。天上の価値観と地上の価値観は、全く別ものです。天と地は、相容れることはありません。

 

  天の支配者は神であり、地の支配者は悪魔です。天国と地獄の差があります。

 

  イエスは、悪魔が支配する地上に、神の価値観を携えて、天から来られました。神のことばを語り、天上の生き方を現されました。

 

  天上に憧れる者達は、イエスのことばに耳を傾け、イエスに従います。地上の支配者である悪魔は怒り、天上の価値観を踏みにじって、世の人々にイエスに従う者を迫害させます。

 

  これは、神と悪魔との戦いです。悪魔は、世の人々を支配して来ました。悪魔の支配から逃げ出すことは、悪魔が許しません。どこまでも追いかけて来て引き戻そうと躍起になります。人間は悪魔の奴隷ですから、奴隷を奪われまいと、戦って来ます。

 

  イエスが投じる火とは、汚れを清める火であり、かなかすを除く火です。聖書では、銀から、かなかすを除け。そうすれば、練られて良い器ができる、と言っています。

 

  銀にはるつぼ、金には炉、人の心を試すのは主。主イエスは、神のことばである火を投じて、悪魔からの影響を焼き尽くすのです。また、迫害を通して人の真価を試し、魂の値打ちをはかられるのです。

 

  パウロも言っています。「あなたがたが教会の集まりをするとき、あなたがたの間には分裂があると聞いています。ある程度は、それを信じます。というのは、あなたがたの中で本当の信者が明らかにされるためには、分派が起こるのもやむを得ないからです。」

 

  パウロが伝道すると、イスラエルの民には分裂が起こりました。

 

  パウロとバルナバがユダヤ人の会堂に入り、話をすると、ユダヤ人もギリシャ人も大勢の人々が信仰に入った。

 

  しかし、信じようとしないユダヤ人達は、異邦人達をそそのかして、信じたユダヤ人達に対し悪意を抱かせた。

 

  主は、パウロとバルナバの手にしるしと不思議なわざを行わせ、御恵みのことばの証明をされた。ところが、町の人々は二派に分かれ、ある者はユダヤ人の側につき、ある者は使徒達の側についた。

 

  異邦人とユダヤ人が彼らの指導者達と一緒になって、使徒達をはずかしめて、石打ちにしようと企てたとき、パウロとバルナバはそれを知って、その付近の地方に難を避けた。

 

  パウロは言っています。

  「私達が神の国に入るには、多くの苦しみを経なければならない。」

 

  イエスは、地に投げ込んだ火が燃えていることを願っておられます。

 

  人は、分裂を憎み、分裂分子を厳しく罰します。しかし、分裂を通して、神の子達は育つのです。分裂の中で、本当の信者が明らかになるのです。

 

  そして、人の教えから神の教えに、人の愛から神の愛に移し変えられるのです。今までの偽りの皮が剥がれ、真理が明らかになるのです。

 

  人に取り入る者は、真理を欲してはおらず、真理を憎みます。神に飢え渇く者は、真理を受け入れ、迫害の中でも真理を手放しません。命がけで守ります。

 

  何故ならば、真理を信じる先には、永遠のいのちを受けることがわかっているからです。神を選ぶならば、報いとして、永遠のいのちが与えられるのです。

 

  初めの雨と終わりの雨があるように、使徒の働きの時代、神の民ユダヤ人の中で分裂し、使徒達が迫害と苦しみの中で福音が広がったように、終わりの時代、教会の中で分裂が起こり、福音が広がると同時に迫害を伴って本当の信者が明らかにされます。

 

  世の味方になる者は、世の敵である本当の信者を憎みます。

 

  イエスが地に投げ込んだ火は、再び燃え上がるのです。