ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

心の時代

 

 かつて、クリスチャンの知人が、量子論についての、岸根卓郎さんの本を紹介してくれました。

 

 岸根卓郎さんは、「文明興亡の宇宙法則説」というものを唱えられ、その意味は、「これからの人類文明は、〈文明ルネッサンス〉によって、これまでの〈物欲主義〉の西洋物質文明から、新たに〈心重視〉の〈礼節〉を知り、〈徳と品格〉を備えた、〈幸福度〉の高い、〈新東洋精神文明〉としての〈心の文明〉へと必ずや〈再生〉し〈進化〉する」ということだそうです。

 

 礼節とは、礼儀と節度であり、社会の秩序を維持するために人が守るべき行動や作法、敬意の表し方を言うそうです。相手への敬意を持ち、敬意や慎みの心をもって相手に接することです。相手を思いやる心です。

 

 この心は、古の日本人の心であり、生き方でした。農民は、自分よりも貧しい武士にも、敬う心を持っていました。武士は貧しくても、高潔(人柄が立派で、利欲のために心を動かさないさま)であった。貧乏はしていても、志操(志や主義などを固く守って変えないこと)は高く、不義は行わなかったようです。

 

 日本の社会を守る武士たちが立派であれば、日本国民は、権力者を敬います。社会の秩序がありました。本当に日本は、道徳心のある国民を育てたのです。

 

 津波の被害にあったとき、海外から救援物資を運んで来た人々は驚いたと言います。日本人は、列に並んで待ち、礼儀正しく救援物資を受け取るのだそうです。緊急時に、我先にとなるはずなのに、日本人は何故だ、と驚いたそうです。

 

 三十年以上前に聞いた、宣教師の宣教報告に驚かされたことを思い出します。彼が派遣されている貧しい宣教地では、公務員はとても貧しい。警察官もとても貧しい。日本から荷物を送っても、日本で言う郵便配達人たちの段階で荷物が開けられ、欲しいものを取り出して、配達先に届ける。ひどいときは、中身の入っていない箱だけが届く。また、警察官が空き巣に入ることはよくあることだ。しかし、住民も警察官の貧しいことを知っているから問題にはならない、とのこと。

 

 報告を聞いている日本人は誰もが驚きました。しかし、その日本人の宣教師は言いました。「皆さん、世界の国々は日本とは違います。日本で正しいとされることが世界で通用するわけではありません。盗まなければ、生活を維持できない社会なのです。食べ物を食べ、生きていくための彼らの生活手段なのです。」

 

 宣教師は、その宣教地の国民を責めるのではなく、現状を憐れんでいました。日本の中にいると、世界のことはわかりません。生き抜くために極限の生活を強いられているのです。国民の生活を守ることのできない国があるのです。

 

 日本人は深いことは分からないけれども、自然に出る態度が世界の国々の人々と少し異なるのかも知れません。時代は変わっても、日本人のDNAの中に、古来の日本人の心があるのでしょう。

 

 大和魂と呼んで来ました。相手を気遣い、配慮をもって嫌な思いをさせない。和を持って尊しとする、和合の精神。日本民族固有の精神。この精神によって、日本民族は、秩序と調和を保っていたようです。

 

 日本精神が細部にまでわたって、国が和合し円滑に動くために、読み書きや教育がされてきました。他国に敵対し、恨みと憎しみを植え付ける教育とは真逆の、善い心で、互いに和合し、心穏やかに暮らすための教育です。

 

 岸根卓郎さんは言われます。

 「西洋物質文明から、心重視の新東洋精神文明に再生、進化する世界において、〈先頭に立つべき文明〉こそが、〈日出ずる国〉としての〈日本精神文明〉でなければならない、と私は考える。」

 

 岸根卓郎さんは、大正11年(1922年)に来日されたアインシュタイン博士のメッセージを書いておられます。

 「世界の未来は進むだけ進み、その間、幾度かの争いが繰り返され、最後の闘いに疲れるときがやって来る。そのとき、人類は真の平和を求めて、世界的な盟主を上げなければならない。この世界の盟主となるものは武力や金力ではなく、あらゆる国の歴史を超越する、もっとも古く、かつもっとも尊い国柄でなくてはならぬ。

 世界の文化はアジアに始まりアジアに返る。それはアジアの高峰、日本に立ち返らねばならない。我々は神に感謝する。天がわれわれに、日本という尊い国を創ってくれたことを。」

 

 これは、日本人と人類に寄せたとされる、アインシュタインのメッセージです。そして、岸根卓郎さんは、「〈科学的見地〉からも、ついに〈心の時代〉がやってきた!」と宣言されています。

 

 日本国と日本人には、神の摂理が働いています。武家社会においても、帝は健在であり、敗戦国として、アメリカの統治下に置かれても、天皇は残されました。

 

 世界中が混沌とする時代にも、日本国の天皇は、世界の安寧のために祭司として、日々祈っておられます。やはり、日本には、神の特別なご計画があるようです。経済は破綻し、自然災害は頻発し、先の見えない暗い世だからこそ、心の拠り所となる希望が必要です。武力や金力ではありません。真の平和に人々は飢え渇くのでしょう。

 

 聖書を知らない日本人が、聖書の神のみ旨にかなう生き方をし、その精神性が世界の望みとなると言うのは、不思議なことです。

 

 しかし、権力と金力に溺れるキリスト教会に代わって、日本人にその使命を委ねておられるのかも知れません。経済が破綻し、貧しくなっても、日本人には住む家があり、着る物があり、食べる物があります。世界の国々に比べたら、安全です。

 

 日本人には、世界の人々に平和な心、日本独自の精神性を分け与える任務があるのかも知れません。国力は弱くなった今、高度成長の経済的豊さと物質的豊さの中で見失っていた精神性を取り戻すときです。

 

 世界は、心を求め始めるでしょう。経済が豊かになっても、生活が便利になっても、幸福度は高くはありませんでした。この時代、神は人々の心を揺さぶり、本当の幸福を知らしめようとしておられるようです。日本人はぶれないで、日本精神に立ち戻りましょう。