ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

贈り物を贈る異邦人

 

 東方の賢者たちは、星を見つけ、「ユダヤ人の王」なるお方がお生まれになったことを知りました。

 

 煩悩から解脱した、苦しみのない完成された人の姿を求めていた賢者たちは、悟りを実践されるという、すべてのしがらみから解放され自由である「ユダヤの王」の出現を待ち望んでいました。

 

 このお方が人間が抱えている矛盾を放免し、悟りの道を歩む者、自由な者としてくださるという望みを持っていました。

 

 精神世界の中で生きていた賢者たちは、政治的な解放を望んでいたのではありません。人間の煩悩、人間の本能に棲みつく不自由なるもの、抜け道のない堂々巡りの心のうちにある暗きものの解決を切望していたのです。

 

 本願他力で、本願なるものに、救いを求めますが、本願自体がわからない、その存在が明らかではありません。実体はぼんやりしているものの、明るい兆しは見えます。ベールに包まれたようなぼんやりとした灯りを見続けていました。そして、すべてのことを明らかにしてくださる、明けの明星の現れるのを待ち望んでいました。

 

 明けの明星は上りました。闇に、希望の光が輝きました。賢者たちは、宝の箱を持って、「ユダヤ人の王」を拝みに、長旅のすえ、幼子イエスのもとにやって来たのでした。

 

 神のひとり子イエスの誕生は、異邦人にとっての希望だったのです。賢者たちは、お生まれになった救い主に贈り物を献げて拝みました。どんな偶像にもまさる、生きた救世主です。彼は、本願のことも明らかにしてくださるでしょう。

 

 確かに、イエスは、永遠に生きておられる方、天地万物を造られた全能者、父なる神のことを明らかにされました。東方の賢者たちが「本願」として崇めていた方は、人を造られた、イエス・キリストの父なる神であり、御子なる神であり、聖霊でした。賢者たちが拝んだ幼子イエスは、本願が地に遣わされた、人の姿をした本願だったのです。

 

 本願の目に見えるかたちを求めた異邦人は、神が天から遣わされた御子イエスに贈り物を献げて拝みました。ユダヤ民族から生まれたユダヤ人の王に贈り物を献げました。

 

 現在、ユダヤ民族に御計画を持たれる神の御心を知るクリスチャンや、イスラエルを祝福することが神の御心であることを悟ったクリスチャンが多く起こされています。

 

 クリスチャンの信仰するイエス・キリストは、アブラハム、イサク、ヤコブの契約の上に立ち、「ユダヤ人の王」として来られた方だからです。ユダヤ人の王の国民、ユダヤ民族を憎むことは、「ユダヤ人の王」なる主イエスを信じる者にふさわしくないからです。

 

 「王」を崇め、あなたの国民にしてくださいと願いながら、どうして、王の国民を憎むことができましょうか。そんなことをすれば、「ユダヤ人の王」から、国外追放を命じられてしまいます。「ユダヤ人の王」は、ご自分の民ユダヤ人と仲良く平和であってほしいと願われます。                     

 

 御霊に教えられるクリスチャンたちは、イスラエルの回復を願い、ユダヤ人のため、イスラエルのために執り成し、献金をします。

 

 神がユダヤ民族にお与えになったイスラエルの国にユダヤ人たちが帰り、神のみことばが成就するのを助けます。

 

 「その日にはもはや、『イスラエルの子らをエジプトの国から上らせた主は生きておられる。』とは言わないで、ただ『イスラエルの子らを北の国や、彼らの散らされたすべての地方から上らせた主は生きておられる。』と言うようになる。わたしは彼らの先祖たちに与えた彼らの土地に彼らを帰らせる。

 見よ。わたしは多くの漁夫をやって、―主の御告げ―彼らをすなどらせる。その後、わたしは多くの狩人をやって、すべての山、すべての丘、岩の割れ目から彼らをかりださせる。」(エレミヤ16:14-16)

 

 時代は新しくなっています。過越しの祭りで祝う、出エジプトの奇蹟の時代ではありません。世界に離散したユダヤ人たちが、彼らの国イスラエルの国に集められる時代です。

 

 今から約二千六百年前に、預言者エレミヤが預言していたことの成就のときです。約二千年前にイスラエルを贖う主キリストの贖いのわざは完了しました。しかし、神が遣わされたナザレのイエスにつまずいたユダヤ人たちは、主キリストを信じませんでした。それで、神の怒りを受けて、ユダヤ人たちは世界に散らされました。

 

 「あなたがた(ユダヤ人)自身、あなたがたの先祖以上に悪事を働き、しかも、おのおの悪い、かたくなな心のままに歩み、わたしに聞き従わないので、わたしはあなたがたをこの国(先祖の地)から投げ出して、あなたがたも、先祖も知らなかった国へ行かせる。あなたがたは、そこで日夜、ほかの神々に仕える。わたしはあなたがたに、慈しみを施さない。」(エレミヤ16:12,13)というエレミヤの預言は成就しました。

 

 しかし、神は言われたのです。「彼らは、『イスラエルの子らを北の国や、彼らの散らされたすべての地方から上らせた主は生きておられる。』と言うようになる。」と。

 

 今が、その時です。

 神は、出エジプトを記念して、過越しの祭りを祝うように、イスラエルに命じられました。それで、彼らは、毎年、過越しの祭りを祝っています。主が来られるまで、過越しの祭りを祝うはずです。

 

 しかし、主が来られると、仮庵の祭りが祝われます。ユダヤ人だけではありません。世界中から、仮庵の祭りを祝いに、エルサレムにやって来るのです。

 

 神は今、多くの漁夫をやって、ユダヤ人をすなどらせ、ユダヤ人を先祖の地に帰らせておられます。多くの漁夫とは、神の御計画を知る異邦人のクリスチャンたちです。彼らは、神の霊に動かされて、ユダヤ人を見つけて、彼らの先祖の国(イスラエル)に帰らせています。

 

 ユダヤ人は、神との契約のない異邦人に、聖書を与え、預言のことばを与え、主キリストを与えました。霊的な恵みを受け取った異邦人は、ユダヤ人に感謝の贈り物(献金)を贈り、祝福します。それは、預言の成就のため、ユダヤ人を国に帰らせるための助けをすることも含まれます。

 

 ユダヤ人がイスラエルの国に集められることは、主キリストの再臨のためでもあるのです。

 

 神御自身が、「漁夫をやってユダヤ人をすなどらせる。」と言っておられます。ユダヤ人の帰還のために働く異邦人は、知らないうちに神の預言を実現しているのです。

 

 しかし、漁夫の働きの後には、多くの狩人が立てられます。狩人は、反キリストの使いの者たちです。ユダヤ人を急き立てて、武力によって、ユダヤ人をかき集め、エルサレムに集め、神の神殿(第三神殿)を建てさせるでしょう。そして、ユダヤ人とクリスチャンを殺戮します。その後、反キリスト(十本の角と七つの頭の獣)が悪魔(竜)の権威を受けて、その神殿に立つのです。