ふしぎないのち

神が働く不思議な体験

国民を守られるイエス

 

 イエスがベツレヘムでお生まれになったとき、東方の賢者たちがエルサレムに来て、こう言いました。

 「ユダヤ人の王としてお生まれになった方はどこにおいでになりますか。私たちは、東のほうでその方の星を見たので、拝みにまいりました。」(マタイ2:2)

 

 天地万物を創造し、天地をすべ治められる生けるまことの神は、東方に救いを待ち望む賢者を起こしておられました。聖書の民ではない者の中に、生ける神の啓示を受け取る者たちを備えておられたのです。

 

 彼らは、生老病死の悩みを解決してくれる知恵者、世の悩みから救い出してくださる救い主、人間の及びもしない偉大なるいのちの源である聖なる御力をまとう聖者を待ち望んでいました。そして、その方は、「ユダヤ人の王」であることも知らされていました。

 

 神は、聖書の民イスラエルには、ベツレヘムで生まれるダビデの子、主キリストを遣わすことを約束しておられました。その子の生まれることと、その詳細は預言書や詩篇、またモーセの律法(モーセのようなひとりの預言者が現われたとき、彼に聞き従わなければならない。との命令)に記されています。

 

 神は、契約をした割礼の民イスラエルにも、無割礼の民にも、神の御子イエスを世に遣わすことを知らせておられたのです。

 

 イエスを処刑するために、ユダヤ人の祭司長や長老たちがイエスを捕らえ、総督ピラトに引き渡しました。

 

 イエスが弟子たちに語っておられたとおりです。

 「イエスは、十二弟子をそばに呼んで、彼らに話された。

 『さあ、これから、わたしたちはエルサレムに向かって行きます。人の子(肉体を持つ神の御子イエス)について預言者たちが書いているすべてのことが実現されるのです。

 人の子は異邦人に引き渡され、そして彼らにあざけられ、はずかしめられ、つばきをかけられます。彼らは人の子をむちで打ってから殺します。しかし、人の子は三日目に甦ります。』」(ルカ18:31-33)

 

 イエスが総督ピラトのもとに連れて来られたとき、ピラトのイエスに尋ねたことが、聖書に書かれています。

 「『あなたは、ユダヤ人の王ですか。』イエスは答えて、『そのとおりです。』と言われた。」(ルカ23:3)

 イエス自ら、ご自分は「ユダヤ人の王」であると言われたのです。

 

 「ピラトはユダヤ人たちに言った。『さあ、あなたがたの王です。』すると、彼らは激しく叫んだ。『除け。除け。十字架につけろ。』

 ピラトは彼らに言った。『あなたがたの王を私が十字架につけるのですか。』祭司長たちは答えた。『カイザルのほかには、私たちに王はありません。』」(ヨハネ19:14、15)

 

 ローマ帝国からの救いを求めて、神が遣わしてくださる主キリストを待ち望んでいたユダヤ人たちは、「ユダヤ人の王」として来られた神の御子イエス・キリストを退け、ローマ帝国の皇帝カイザルを、ユダヤ人の王としたのでした。

 

 ピラトはイエスの罪状書きを書いて、十字架の上に掲げました。それには「ユダヤ人の王ナザレ人イエス」と書いてありました。それは。ヘブル語、ラテン語、ギリシャ語で書いてありました。

 

 それを見たユダヤ人の祭司長たちがピラトに懇願しました。「ユダヤ人の王、と書かないで、彼はユダヤ人の王と自称した、と書いてください。」(ヨハネ19:21)しかし、その願いは退けられました。

 

 イエス・キリストは、十字架につけられ、「ユダヤ人の王」という罪で殺されました。

 

 神の御子イエスは、イスラエルの神がユダヤ人に遣わされた、「ユダヤ人の王」でした。天の生けるまことの神が、地に造られた御自身の民ユダヤ民族を導くために、ユダヤ民族に遣わされた「ユダヤ人の王」でした。

 

 ローマ帝国の重税と圧政からユダヤ人を救ってくださる主キリストを待ち望んでいたユダヤ人たちのところに、世の支配から救い出す救世主として、神の御子イエスは来られました。

 

 ユダヤ人たちは、奴隷の家エジプトからユダヤ人を救い出し、先祖の地カナンに導き入れるためにエジプトから連れ上ったモーセのような救い主を思い描いていたのでしょう。

 

 しかし、神は、ローマ帝国の圧政からの救いではなく、滅びゆくこの世からの救い、死から救い出すための魂の救い、永遠のいのちを与える主キリスト(メシア)を、イスラエルに遣わされたのでした。

 

 イエスは、「ユダヤ人の王」として来られました。国民全体を救う王として来られました。神の御子イエスは、最後の裁きからの救いのために来られたのです。

 

 「ユダヤ人の王」イエスは、ユダヤ民族の罪の身代わりとなって、ご自身を献げられました。国民を守るために、ご自分が罪の生贄となられました。神が、死者を死から甦らせるお方であることを知っておられたのです。

 

 神は、贖いの神の子羊イエスの血を要求されました。「ユダヤ人の王」の血は、ユダヤ人の国民全体を贖う血です。王ひとりの血が、国民全体を滅びから救い出します。

 

 神と契約を持つ割礼の民、アブラハム、イサク、ヤコブの子孫ユダヤ人は、「ユダヤ人の王」の血で罪が贖われ、永遠のいのちを受ける新しい創造とされるのです。しかし、ユダヤ人の多くは、罪の贖いを完成してくださる神の御子イエス・キリストを信じませんでした。

 

 神が油注がれた「ユダヤ人の王」が来られたのに、天から遣わされた「ユダヤ人の王」につくユダヤ人はわずかでした。彼らは、イエス・キリストを「ユダヤ人の王」として認めなかったのです。

 

 「ユダヤ人の王」は肉のからだが破れ、死に下られましたが、復活のからだで、永遠に生きる「主キリスト(救い主)」として、死から甦って天に上り、神の御座の右に着座しておられます。

 

 ユダヤ人の王として来られた神の御子イエスは、ユダヤ人の王であるがゆえに、不信仰なユダヤ人たちによって異邦人に引き渡されて、国民のために十字架で贖いの血を流されました。

 

 死から甦られ永遠に生きておられる主キリストは、世が改まると、「イスラエルの王」として、再び地上に来られます。

 

 ユダヤ人に捨てられた「ユダヤ人の王」は、キリストの御霊によって、キリストにつく民、新しいイスラエルを造られます。新しいイスラエルは、「ユダヤ人の王」を拒んだユダヤ人たち、血肉のイスラエルのようではありません。キリストの御霊を受け、御霊によって新しく生まれ、御霊によって新しく創造されるイスラエルです。

 

 イスラエルの罪を贖われた「ユダヤ人の王」は、新しいイスラエルに、新しいイスラエルのための律法を与えておられます。それは、神の子羊イエスを死から甦らせた聖霊です。神は、この聖霊を受けるように、新しいイスラエルに命じておられます。

 

 聖霊はこの世のものではありません。まことの天の御国に入るための御国の律法(神の霊)です。永遠のいのちを得るために授けられた、守るべき律法です。

 それは、神の御子イエス・キリストを信じる者に約束された、もうひとりの救い主です。真理の御霊です。王であるイエスは、ご自分の国民に真理の御霊を与えて、国民を守られます。

 

 真理の御霊によって、キリストの民はこの世のものと区別され、天の御国の国民として造り変えられ聖められます。イエスが「イスラエルの王」として再びイスラエルに来られるときに、聖められた民、新しいイスラエルをご自身の国民として集められます。

 

 イエスは、「ユダヤ人の王」として、十字架でご自分の国民ユダヤ人を贖われたように、永遠に生きておられる「イスラエルの王」として、キリストの御霊によってご自分の国民イスラエル(御霊が創造された新しいイスラエル)のからだを贖い、永遠に生きる復活の子としてくださるのです。

 

 十字架の死で国民(ユダヤ人)を守られたイエスは、イエス・キリストの御名によって授ける聖霊(キリストの御霊)によって、新しいイスラエルの国民を守られます。

 

 キリストの御霊によって、永遠のいのちとからだの贖い(復活)が守られた神の子どもたちは、最後の裁きが免れ、天の御国に入るのです。