「主(創造主であられる神)は、地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのをご覧になった。
それで主は、地上に人を造ったことを悔やみ、心を痛められた。
そして主は仰せられた。『わたしが創造した人を地の面から消し去ろう。人をはじめ、家畜やはうもの、空の鳥に至るまで。わたしは、これらを造ったことを残念に思うからだ。』」(創世記6:5-7)
その時代にあっても、ノアは正しい人であって、目に見えない神とともに歩む全き人でした。ノアは、主の心にかなっていました。
それで、主は、ノアに、神の前に堕落した地は暴虐に満ちていること、そして、すべての肉なるものが、地上でその道を乱しているゆえに、すべての人を地とともに滅ぼすという御計画を告げられました。
主は、ノアに、天の下からいのちの息のあるすべての肉なるものを滅ぼすために、地上の大水、大洪水を起こし、地上のすべてのものを死なせて絶やす、と仰せられたのです。そして、ノアに箱舟を造るように命じられました。
主はノアと契約を結び、ノアとノアの息子と、ノアの妻とノアの息子たちの妻といっしょに箱舟に入り、またすべての生き物の中から雄と雌のつがいを箱舟に連れて入り、生き残るようにする、と仰せられました。
そして、各種類の鳥、各種類の動物、各種類の地をはうものすべてのうち、それぞれに二匹ずつが生き残るためにノアのところに来ること、そして、ノアに、箱舟に入るもののすべての食糧を集めるように、と命じられました。
神が設計された長さ三百キュビト、幅五十キュビト、高さ三十キュビトのは箱舟は、長さ、幅、高さの比率が、浸水、転覆、破損に強くて最も高い安定性と強度を持つ黄金比と呼ばれる30:5:3の比率で、タンカー等大型船の設計と同じです。神は、この世のあらゆることを完全に知っておられる全知全能の神なのです。
神は、浸水、転覆、破損しない安全な箱舟を用意され、箱舟の中に、世の滅びから救い出すようにお定めになったものを入れ、激しい洪水による滅びから守られました。そして、箱舟に入って世の滅びから救い出されたものから、世の営みを再スタートされたのでした。
洪水の水が引き、箱舟から出て来たノアに、神は、もはや水で地を滅ぼすことはしないと誓われました。しかし、神の中には、次は火で滅ぼすことが定められていました。
神がエデンの園から追放した最初の人に誓われたことは、こうでした。
「わたし(神)は、蛇(悪魔の子)と女(人の子)との間に、また、蛇の子孫と女の子孫との間に、敵意を置く。
ひとりの女の子孫(キリスト)は、蛇の頭(悪魔)を踏み砕き、蛇は女の子孫として来られる人の子(人の子となられた神のひとり子すなわちキリスト)のかかと(ヤコブすなわちイスラエル)に噛みつく。」(創世記3:15)
神のいのちを受けた人の子(キリスト)と、神に反逆しキリストに敵対する悪魔との間には、決して混ざり合うことのない敵意が置かれました。
人をいのちへと導くキリスト(人の子となられた神のひとり子)と、死と滅びの悪魔との間には、永遠の敵意が置かれているのです。
光と闇が混ざり合うことのないように、キリストと悪魔の間にあるのは敵意だけです。光の子と悪魔の子とは決して一つになることはないのです。
箱舟によって、世の滅びからノアを救い出された神が、火による世の滅びから救い出すために、アブラハムを選び、イスラエルを造られました。イスラエルは神の民です。
創造主にて裁き主なる全能の神が、ノアと契約を結び、ノアの造った箱舟に入るものを水の滅びから救い出されたように、神を神として恐れ、神に仕える祭司の国民イスラエルと契約を結び、キリスト(救世主)を与えて永遠の死と滅びから救い出すことを誓われました。
神はアブラハムの子孫イスラエルを選び、地上のすべての民族、すべての国語の人々の御救いを約束する救い主、すなわち、世の滅びと永遠の死から救い、永遠のいのちを得させるキリストを与えて、すべての国々の祝福の基とすることを誓われました。
ノアは箱舟を造り、ノアの家族が箱舟に入って、洪水による滅びから救われました。
終わりの時代、神は、世界の祝福の基のキリストをイスラエルに遣わされました。神の祭司の国民イスラエルが生み、ユダヤ人(イスラエル)が屠った神の子羊イエスの贖いの血により、神は世の罪を取り除き、罪を赦して罪の呪いから解放し、永遠の火の裁きから救い出されるのです。
永遠の火の裁きから救い出されるのは、神の子羊イエス・キリストです。神が、罪の贖いの神の子羊をイスラエルに遣わされ、世を罪の呪いから救う救世主とされたのです。
イエスはユダヤ人として生まれ、ユダヤ人の王として来られました。ユダヤ人の罪を贖い、罪のない(罪が赦されて義とされる)神の民イスラエルを完成するために来られたのです。
神とともに歩むノアを救われたように、神は、神の御子キリストとともに歩むイスラエルを救われます。
キリストとともに歩む者は、光のうちを歩む者です。キリストは、真理(神)から離れ闇をさまよう世の人々に照らされた真理の光であり、永遠のいのちです。
神がイスラエルに遣わされたキリストは、闇を破る真理の光であり、罪と死と永遠の火の滅びから救い出す、いわば、救いの箱舟です。
ノアの時代、ノアの箱舟に入ったものはみな、洪水の滅びから救い出されました。神を信じたからです。
ノアたちが箱舟に入ると、神御自身がノアのうしろの戸を閉ざされました。雨が降り始め、水かさが増して箱舟に入りたいとノアの箱舟に救いを求めても、もう遅いのです。彼らの叫びはノアの耳に届かず、神御自身が箱舟の戸を閉ざされたからです。
キリストは、聖なる方、真実な方、ダビデの鍵(とこしえのイスラエルの王の権利)を持っている方、彼が開くとだれも閉じる者がなく、彼が閉じるとだれも開く者がない、主権者です。
「わたし(神)は、ダビデの家の鍵を彼(キリスト)の肩に置く。彼が開くと、閉じる者はなく、彼が閉じると、開く者はない。」(イザヤ22:22)
神がイスラエルの王ダビデに、「あなたの家とあなたの王国とは、わたしの前にとこしえまでも続き、あなたの王座はとこしえまでも堅く立つ。」(サムエル第二7:16)と誓われた、ダビデの王座に着座されるとこしえのイスラエルの王は、永遠に生きておられるイエス・キリストなのです。
イスラエルの王家とイスラエル王国は、神のひとり子キリスト・イエスによって堅く立ちます。とこしえのイスラエルの王キリスト・イエスは、二千年前から、すでに存在しておられました。
イエス・キリストの家は、イスラエルです。永遠の火の滅びから救い出されるのは、神が誓いをもって御救いをお定めになられたイスラエルです。
神は、神のひとり子を御自分の民イスラエルのところに遣わされました。イエスご自身、憐れみを求める異邦人の女にこのように答えておられます。
「わたしは、イスラエルの家の滅びた羊以外のところには遣わされていません。」(マタイ15:24)
イエスは、ご自分を遣わされた父なる神に忠実でした。しかし、信仰があるのをご覧になると、「あなたの願いどおりになるように。」と言って祝福されたのでした。異邦人が受け入れられるのは、信仰によってでした。
イエスは、ユダヤ人たちに言われました。
「わたしは羊のためにわたしのいのちを捨てます。わたしにはまた、この囲い(御救いが約束されたイスラエル)に属さないほかの羊(信仰によるアブラハムの子孫)があります。わたしはそれをも導かなければなりません。
彼らはわたしの声に聞き従い、一つの群れ、ひとりの牧者となるのです。」(ヨハネ10:15,16)
イエス・キリストの声(ことば)に聞き従う者は、イスラエルの御救いの中に入る者たちです。彼らは、火の滅びから救う箱舟(イエス・キリストの御名)の中に入り、イエス・キリストを信じる信仰によって、御救いが約束されたイスラエルに加えられて、火の中をくぐり抜けて永遠の死から救い出され、永遠のいのちを得て、天の御国に入るのです。
キリスト・イエスは、イスラエルの家の滅びた羊と、囲いの外にいるほかの羊を救うイスラエルの王です。
羊とは、神に従順な者の姿です。神が遣わされた神のひとり子イエスを信じる者は、神の羊です。神の羊は、羊飼いであるキリストの声を聞き分けます。
キリストの声(ことば)を疑う者や憎む者、敵対する者は、羊ではありません。キリストに敵対する悪魔に属するやぎです。やぎは羊飼いの声に従いません。
神は、羊とやぎとを分けられ、やぎが羊の群れに混じることがないようにされます。そして、羊を羊の囲い(神に従順なイスラエル)に入れて、羊飼いイエス・キリストが羊の門を閉ざされます。
こうして、神が世の初めに誓われた誓い、女から生まれる人の子(神のひとり子キリスト)は、この世を支配し悪いものとした悪魔を滅ぼし、また、悪が増大し暴虐に満ちたこの世を、永遠の火によって滅ぼされるのです。
そして、神が誓われたように、ダビデの王座に着かれるとこしえのイスラエルの王(羊のためにいのちを捨てられた神の子羊イエス・キリスト)が、神の羊の群れ(神とキリストに忠実なイスラエル)を滅びから救い出して、一つの群れ、一つの国民(イスラエル)とし、とこしえに治められるのです。
神と契約を結ぶノアによって、箱舟が造られ、ノアの信仰によって家族もいっしょに救われました。ノアの契約によって家族も救いを得ました。
神と契約を結ぶユダヤ民族により、そして、御救いの約束を受けたイスラエルによってキリスト者もいっしょに救われるのです。イスラエルの契約によってキリスト者にも御救いが適うのです。
ノアの信仰ゆえに家族は滅びを免れ救われました。
神と契約を持つイスラエル人の信仰ゆえに、キリスト者もキリストによって滅びを免れイスラエルに加えられて御救いを受けるのです。
ユダヤ人のいない御救いは存在しません。私たち契約の外にいた異邦人は、キリストの新しい契約によって義とされます。神が、契約どおりにユダヤ人(イスラエル)を救われるので、私たちはイスラエルの御救いに便乗させていただくのです。
神の御恵みを受けた私たちが、契約の民ユダヤ人とイスラエルを祝福し、イスラエルの御救いのために祈ることは、神の望まれることです。