「私は山に向かって目を上げる。私の助けはどこから来るのだろうか。
私の助けは、天地を造られた主から来る。
主はあなたの足をよろけさせず、あなたを守る方は、まどろむこともない。
見よ。イスラエルを守る方は、まどろむこともなく、眠ることもない。」(詩篇121:1-4)
イスラエルには、神のことばを聞く預言者エリシャがいました。イスラエルの神は、エリシャによってアラムの王の策略を示され、イスラエルの王に警告して、イスラエルを守られました。
アラムの王は、預言者エリシャの存在を知り、アラムの策略を妨害するエリシャを捕まえようとして、エリシャの居場所を突き止め、馬と戦車と大軍とをそこに送りました。彼らは夜のうちに来て、その町を包囲しました。
「神の人エリシャの召使が、朝早く起きて、外に出ると、なんと、馬と戦車の軍隊がその町を包囲していた。若い者がエリシャに、『ああ、ご主人様。どうしたらよいのでしょう。』と言った。
するとエリシャは、『恐れるな。私たちとともにいる者は、彼らとともにいる者よりも多いのだから。』と言った。
そして、エリシャは祈って主に願った。『どうぞ、彼の目を開いて、見えるようにしてください。』主がその若者の目を開かれたので、彼が見ると、なんと、火の馬と戦車がエリシャを取り巻いて山に満ちていた。」(列王記二6:15-17)
火の馬と戦車とは、天の軍勢です。肉眼では見えませんが、霊の目が開かれるならば、はっきりと見ることのできる天の軍隊です。
神は、イスラエルに預言者を立て、御自身を現わされながら、イスラエルを守っておられました。
神は、イスラエルに祭司と預言者と王を立てられ、それぞれに、祭司の油、預言者の油、王の油を注いで、神の民を建て上げられたのです。
イスラエルは、唯一まことの神、天地を統べ治められる全能者の民です。全能の神御自身が、御自分のために造られた神の民です。
イスラエルは、祭司によって神に仕え、預言者により神のことばを受けて神の道を歩み、王によって治められました。肉のイスラエルの時代は過ぎ去り、神の御霊によって、永遠を目的とする新しいイスラエルが創造されます。新しいイスラエルは、神の国です。
血肉のイスラエル王国は、神のひとり子イエスを生みました。御霊の創造される新しいイスラエル王国は、神の御子キリスト・イエスを王として迎える神の国です。
神は、肉の割礼と文字の律法に仕えるイスラエルを古いとされました。神のひとり子イエス・キリストの御霊によって新しく生まれ、心に割礼を受けるイスラエル(神の民)、御霊に聞き従うイスラエルが、神の国であり、永遠のいのちを得る新しい創造のイスラエルです。
神は、モーセの律法や預言者や詩篇に書かれたメシアをイスラエルに遣わすことを約束しておられました。イスラエルを助ける救い主キリストです。
神は、御自分の民イスラエルに、御自分のひとり子を遣わされました。天から来られた主キリストです。彼は、預言どおり、ダビデの町ベツレヘムで処女から生まれました。そして、ナザレの町で、ナザレ人として成長されました。
イエス・キリストは、イスラエルが待ち望んだ救い主です。天から遣わされたメシアです。この世の者ではありません。天に属する神のひとり子です。
神がイスラエルに約束しておられた救い主は、ダビデの王座に着くとこしえのイスラエルの王です。イエスは、レビ族の大祭司アロンの系図とユダ族のダビデ王の系図を持つ処女マリアから生まれ、マリアの許嫁の夫であるダビデ王の子孫ヨセフのもとで育ちました。
イエスは、天から来られたまことの祭司です。メルキゼデクに等しい祭司と言われています。メルキゼデクは、義の王であり、平和の王、サレムの王です。父もなく、母もなく、系図もなく、いのちの終わりもなく、神の子に似た者とされ、いつまでも祭司として留まっています。
イエスは、罪の贖いの子羊の血を携えて天のまことの聖所に入り、今も、祭司の務めをしておられる、とこしえの祭司です。イエスは死から甦られて、永遠に存在されるキリストであり、とこしえに代わることのない祭司の務めを持っておられます。
キリストは、いつも生きていて、ご自分によって神に近づく人々のために、執り成しをしておられます。したがって、キリスト・イエスは、ご自分によって神に近づく人々を完全に救うことがおできになります。(へブル7:24,25)
父なる神は、御自分のひとり子イエス・キリストの御名によって祈られる祈りに耳を傾け、お聞きになられるからです。
イエスは、天から来られたまことの預言者です。聖書に書かれた預言をご自身においてことごとく成就させ、神のことばを語られます。
神のことばは、地に落ちることがありません。イエスは言われます。
「この天地は滅びます。しかし、わたしのことばは決して滅びることがありません。」(ルカ21:33)
イエスは、天から来られるまことの王です。イエスのつけられた十字架には、「ユダヤ人の王」という罪状書きが掲げられていました。ユダヤ人には捨てられましたが、死から甦られた主キリストは、ご自分の神の国イスラエルを治めるために、再び天から来られるイスラエルの王です。
死に勝利し、死から生まれたキリストは、永遠に生きる者の王です。土から取られた肉なるイスラエルではなく、肉に死んでキリストの御霊によって死から生まれた新しい創造のイスラエルの王です。血肉のユダヤ人ではなく、キリストの御霊を受けたイスラエルの王です。
神のひとり子イエスは、キリストの御霊によって新しく生まれ永遠のいのちを得る人々の新しい創造の神の国、新しいイスラエル王国の王です。永遠に生きるキリストが、永遠に生きる神の子どもたちの王となられます。
死から甦られたキリスト・イエスが、再び、イスラエルの地に来られるまで、神は、神の御子イエス・キリストによって御自分のもとに近づく人々に、助け主を遣わされました。真理の御霊です。神格を持たれる、もうひとりの助け主です。
神は、初めに、御自分に立ち返る者たちのために、救い主イエス・キリストを遣わされました。救い主イエス・キリストが、神に命じられた御救いのわざを成し遂げて天に帰られると、次に、真理の御霊を遣わされました。
真理の御霊は、神の御子イエス・キリストを信じる人々のうちに住まわれ、イエスのことばを思い起こさせ、真理を教え、いのちの道へと導いてくださいます。
救い主イエス・キリストが遣わされる以前は、祭司や預言者や律法や詩篇によって、天地を造られた主から助けを受けていた神の民イスラエル。イスラエルの助けは、天地を造られた主の御名にありました。
祭司と預言者と王との三つの油を持つキリストが十字架につけられて罪の贖いの血を流され、死から復活されて、父のみもとに帰られると、もうひとりの助け主、キリストの御霊が遣わされました。御霊によって新しく生まれたイスラエルの助けは、神のひとり子イエス・キリストの御名によって遣わされた御霊にあります。
御霊は、神のひとり子イエス・キリストを主とするへりくだった者のうちに住まわれ、弱い私たちを助けてくださいます。
「私たちは、どのように祈ったらよいのかわからないですが、御霊ご自身が、言いようもない深いうめきによって、私たちのために執り成してくださいます。」(ローマ8:26)
御霊は、神の御心に従って、聖徒のために執り成してくださるのです。私たちの助けは、キリストを信じる私たちのうちにおられる御霊です。神格をお持ちの御霊が、地に住む土の器(肉のからだ)の私たちのうちに住んで、慰め励まし、「これが道だ。これに歩め。」と導いてくださるのです。
「主は、すべてのわざわいから、あなたを守り、あなたのいのちを守られる。
主は、あなたを、行くにも帰るにも、今よりとこしえまでも守られる。」(詩篇121:7,8)
終わりの時代、神は神の民イスラエルに、神のひとり子イエス・キリストによって、永遠のいのちを得させてくださいます。死んでいく肉のからだのイスラエルではなく、永遠に生きる御霊を宿すイスラエルに造り変えられるのです。
ユダヤ人も異邦人もありません。神は、神のひとり子イエス・キリストによって新しい契約をお与えになり、御霊によって新しい創造を受けたイスラエルを、イスラエルの王、永遠に生きる神の御子キリストのために用意されるのです。
私たちの助けは、天地を造られた主が遣わされた、神のひとり子イエス・キリストの御霊にあるのです。